行政法2-4-4答案例51行目の反論は、どの要件に対する反論なのでしょうか?①指導に従う意思がない旨を表示した、②真摯かつ明確のどちらかでしょうか?
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こちらについては、強いて言えば①への反論と考えられます。
51行目にある「金銭補償で付近住民との紛争を解決」という事実は、行政指導に従ったゆえの行為なので、①に関連して、行政指導に従う意思の表れと捉えることができるからです。 (さらに読む)
【行政法論パタ】第31回 2-4-1。手続上の違法を検討するにあたり、行手法12条に該当する処分基準なるものがないと講義でおっしゃられていましたが、参照条文の地方公務員法27条は、行手法12条にいう処分基準には該当しないのでしょうか?
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処分基準とは行政規則の一種であり、この行政規則は行政機関内部のルールであって、外部的には効力を有しないものです。
すると、地方公務員法27条の規定は法律による規定であるところ、法律は国民に対し外部的効力を有するものであるため、行政規則・処分基準には当たりません。 (さらに読む)
【行政法論パタ】第33回 2-4-1の講義内終盤の復習で、先生が、手続き的違法で、適用除外されたら個別法を検討する手順は皆気づかないからオプションとありました。これはその後の処理として通常通り適用除外されないとして行手法から違法事由を調達すればいいのか、行手法違反には触れず実体的違法を検討すればよいのかどちらの趣旨でしょうか?
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この場合は、①個別法の手続的違法事由、②個別法の実体的違法事由の2つを検討するのがおすすめです。
まず、行手法が適用除外となる場合に、行手法を適用除外されないとして検討すると論理矛盾のリスクがあります。そこで個別法の条文から手続規定を見つけて、その個別法の手続規定に照らして手続的違法事由がないかを検討します。この場合には、行手法で習った理由付記などを想起するのが一手です。そのうえで、個別法に則して、さらに実体的違法事由が無いかを検討します。
以上より、本問のような問題の処理の流れとしては、①行手法の適用除外である点を認定し、②個別法を読み解きながら実体的違法事由・手続的違法事由の2つを考えるとなります。 (さらに読む)
『刑法の法的因果関係の書き方』あてはめで行為の危険性を設定する際は、自分がもっていきたい結論(通常は因果関係を肯定する方向)に沿うように危険の内容を書けばいいのでしょうか?そして、その危険の内容は、問題文に書いてある事情(現実化した危険・結果)を使って逆算的に書くということでもいいのでしょうか?また、試験の相場として法的因果関係を検討させる場合、条件関係が否定されることはあまりないのでしょうか?
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おおむねその理解で大丈夫です。
あてはめにおいては、自分が採りたい結論を自然かつ合理的に導けるように、事実の摘示・評価を常識的に行えれば大丈夫です。
危険の内容については、問題文の事情から逆算などして常識的な説明ができれば良いです。また試験の相場として法的因果関係を検討させる場合、条件関係が否定されることはあまりないと考えられます。
条件関係が否定されるとそもそも危険の現実化の話に行かないので、法的因果関係として危険の現実化の検討を出題意図とする場合は、その前提となる条件関係は認められるような事実関係になると考えられます。
因果関係に限らずあてはめにおいては、結論とそれに至る事実の摘示と評価に常識外れがないかを気をつけると説得的に書けます。 (さらに読む)
刑法2-3-5の答案例74行目~で、Bに対する傷害罪の共同正犯の検討において、共同実行の事実と構成要件的故意の認定をして、共同実行の意思や正犯意思を書いていないのはAに対する共同正犯で書いているから省略したという認識で正しいでしょうか?また、本問で仮に甲が積極的加害意思を有するとの事情がなく、かつ制限従属性説に立たない場合、甲の正当防衛は成立か不成立どちらで結論づけるべきでしょうか?
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挙げていただいたご認識に加え、答案を88行以内に収めるという判断でそのような記述になっています。
また、挙げていただいた仮の事情に立つ場合には私見になりますが、Aに対しては正当防衛が成立する余地もあり得ると考えます。制限従属性説に立つかどうかというよりも、積極的加害意思がなければ、甲は正当防衛の要件を満たし得るからです。Bに対しては、積極的加害意思がなければ、乙と同様に責任故意阻却→過失傷害罪になると思われます。 (さらに読む)
刑法2-3-6甲の罪責で、窃盗罪ではなく業務上横領罪を成立させるのは厳しいでしょうか?
本問で、甲が占有する他人A株式会社(後任部長)所有の書類としても、委託信任関係で切れるのでしょうか?また、乙の建造物侵入の共犯ついて、管理権者をA株式会社として、A株式会社の推定的意思に反する侵入とするのは間違いでしょうか?法人に管理権や意思が認められるのかが疑問です。
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本問における業務上横領の成立は、やや厳しいですがあり得なくないと考えます。
まず出題趣旨には「仮に,新薬の書類に対する甲の占有が失われていないとしても,後任部長にも新薬の書類に対する管理権が存在するとすれば,新薬の書類を持ち去る甲の行為は,共同占有者の占有を侵害することとなる点に注意が必要である。」とあり、仮にという形ですが、甲の占有を認定する余地があるように書かれています。
そのため、甲の占有を認定する余地が排斥されているとまでは言いにくいので、業務上横領罪の成立はあり得なくはないと考えられます。
そして、甲が占有する他人A株式会社所有の書類としても、甲がA社の社員であることから、委託信任関係はA社との間では認められると思われます。
もっとも採点実感には「業務上横領罪とした答案は,新薬開発部部長が占有の主体であるとしつつも,甲が暗証番号を知っていることからその占有は失われないとするものが多数であったが,出題の趣旨でも述べたとおり,後任部長にも新薬の書類に対する占有があることは明らかであって,これを的確に把握できていなかったといえる。」とあります。
そのため、甲の占有があるとして業務上横領罪にしてしまうと、後任部長との共同占有という問題が出てきて処理が非常に複雑になるので、ここは甲が部署異動したこと等を踏まえて甲の占有を否定し、窃盗罪の成否を検討するのが簡潔明瞭です。
次に、乙の建造物侵入罪の共同正犯については、成立を認めても試験現場では許容されると考えます。書類を持ち出す前提として、会社に立ち入ることが想定されるからです。
本問で乙の建造物侵入罪の共同正犯に言及がないのは、乙は厳密には書類を持ち出すことのみを甲にお願いしている(問題文3の4~5行目)ことから、この部分を重視して建造物侵入罪を除外したという整理になります。
建造物侵入罪については、答案例5行目にあるように、各部長という人の看守する建造物とすれば問題ありません。 (さらに読む)
刑法2-3-8の115条について。本問で115条に試験対策的に気づくとしたら、あてはめで①正犯意思➁共同実行の意思③共同実行の事実④故意の、どの段階で気づくべきでしょうか?または、問題文で放火+保険の事情があったら、115条を使うかも、とホットラインで覚えてしまってもいいでしょうか?
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これについては、問題文で放火+保険の事情があったら115条を使うかも、とホットラインで気づけるようにした方が安全と考えます。
挙げていただいた①~④の当てはめは60条の共同正犯の成立要件ですが、これは検討罪名を正しく選択したうえで検討するものであるところ、115条は検討罪名に係る条文ですので、上記のホットラインで気づけるようにした方が処理は安定すると考えます。 (さらに読む)
刑法2-3-6住居侵入罪について
本問で、甲が新薬開発部の部屋に入った行為について住居侵入罪を検討されていますが、A社の本社ビルに入った時点では、住居侵入罪は成立しないのでしょうか?
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甲がA社の本社ビルに入った時点で建造物侵入罪(会社ビルなので住居侵入罪ではなく建造物侵入罪となります)が成立する余地も十分あると考えられます。しかし、甲は社員であり建物自体には自由には入れること・A社は各部が互いに独立した部屋で業務を行っていることから、新薬開発部の部屋に入った時点で建造物侵入罪(以下、本罪)の成立を認めるのが緻密な処理と思料します。
まず甲はA社の社員であることから、A社の建物自体は自由に入れます。そのため、本社ビルに入った時点での本罪成立は、成立時期がやや早すぎるきらいがあります。つまり、甲は本社ビルに入る権限はある以上、単に本社ビルの入り口に入った時点では、意思に反する立ち入りと確実に認定できるか若干疑義があると思われます。
他方、A社では各部が独立しており、新薬開発部も他の部から独立した部屋で業務を行っています。そのため、新薬開発部の部屋に立ち入った時点で、同部屋への新薬開発部後任部長の意思に反する立ち入りがあったと確実に認定できるので、この段階で本罪を成立させるのが確実といえます。
したがって、本社ビルに入った時点で本罪を成立させても間違いではないと思われますが、上記の事情を踏まえると、新薬開発部の部屋に入った時点での本罪成立の方が緻密な検討になると考えます。 (さらに読む)
商法論パタ2-1-6小問(2)で、新株発行の割当が例えば、EではなんくDになされた場合、828条の無効原因で取引安全を考慮する必要はない(Dは役員であり、会社内部事情を容易に知り得る)として、当然に無効原因は認めれるのでしょうか?また上記場合において、別の法律構成でBは、なにか別の主張・請求ができるのでしょうか?
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これについては、当然に無効原因とまでは認められず有効にすべきと考えます。
まず、取締役会決議を欠く新株発行は無効原因とならないとするのが判例(最判昭和36年3月31日)の立場です。
この理由として、公開会社の募集株式の発行は会社の業務執行(一般の取引行為のような経営事項)に準ずるものとして取り扱われていることから、当該募集株式の取得者を保護し、取引の安全確保に重点を置いていると説明されます(髙橋美加先生の『会社法』(弘文堂、いわゆる紅白本)319頁)。
すると、内部事情を知る取締役Dに発行したのであれば、取引安全の要請が下がるので、無効原因といっても良さそうに思えます。
しかし、発行相手がD・Eのいずれであっても、本問は取締役会決議を欠く新株発行であり、公開会社の募集株式の発行は会社の業務執行(一般の取引行為のような経営事項)に準ずるという点は同じです。
また本問のA社は公開会社であるところ(問題文冒頭に(ただし、定款に株式の譲渡制限の定めはない)とあるため)、Dの下に新株がとどまらない可能性があることはEの場合とおそらく変わりません(答案例43~44行目)。そのため、Dから事情を知らない第三者に新株が譲渡される可能性があるので、第三者の取引安全という要請はDの場合にもあり得ます。
したがって、公開会社の募集株式の発行は会社の業務執行(一般の取引行為のような経営事項)に準ずることや、A社が公開会社でありDから第三者に新株の譲渡可能性あることを理由に、Dに発行した場合でも無効原因とはならないとする方が無難です。
また、事前の発行差止請求・事後の発行無効確認の訴え以外の手段としては、Bの気持ちになって考えると、対立するCを排除したいとして、Cを役員から解任するように株主総会で求める(339条1項)ことがあり得ます。しかし本問では、BがCの解任を求めているなどの事情がなく、新株の発行に関する問題ですので、解任は問われていないと処理します。 (さらに読む)
論パタの1問に対する復習時間の目安を教えて下さい。学生なので可処分時間は多いです。
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目安としては、1問あたり45分とするのが一手です。
初学者段階では、スピード感を持ってその科目を周回することが大事です。そして、早めに1周することで知識や解法が濃縮されるので、1問あたり45分前後が良いかと考えます。
目安としては3周ほど論パタの全問題を周回できた後は、苦手な問題だけ丁寧に解き直したり、あるいは条解の講義を受講して知識をまとめてインプットするのが一手です。 (さらに読む)
民法2-4-4で、EのAに対する、乙不動産の登記と建物を所有権に基づく物権的請求権と構成するのは本問では、登記の所在が問題文では書かれていないこと、占有が誰にあるのか不明であることから結論がでないという認識で、物権的構成で書くのはやめておいてほうがいいでしょうか。
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本問は物権的構成で書くのはやめておいた方がいい問題ですが、その理由は登記や占有絡みではなく、「当事者間に契約関係がある」からです。
まず、当事者間に契約関係がある場合には、その契約関係に基づいて物の引渡しや金銭の支払いを請求できないかを考えます。本問では売買契約という契約関係があるので、この契約関係に基づいて乙不動産の登記や引き渡しができないかを考えます。
これに対し、物権的請求権が出てくる場合は「当事者間に契約関係がない」場合です。当事者間に契約関係がない場合には基本的に何も請求できませんが、その場合でも誰に対しても主張できる物権的請求権は使用可能です。しかし本問は、当事者間に売買契約がありますので、契約関係に基づく請求を行います。
このように当事者間に契約関係があるかないかを見ることで、使うべき法律構成を正しく選びやすくなります。本問のように契約関係がある場合には、その契約に関する条文を債権法や総則から探して使います。
一方で契約関係がない場合には、物権的請求権・法定債権3つ(事務管理・不当利得・不法行為)・相続や時効・債権者代位権や詐害行為取消権あたりが候補になる場合が多いです。 (さらに読む)
4S工程での「言い分」と「法的構成」が一致した場合でも「言い分」をより具体的に言語化したほうでいいでしょうか。例えば、民法2-4-3小問(1)で先生が講義で解説された言い分が思いつかず、言い分として「解除したい」とほぼ法律構成と同じ言い分が思いついてしまいました。本問では先生も、契約555条→解除で結果としては同じだったのでよかったのですが、結果(法律構成)が違う場合もあり得るのかとおもいました。
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この場合は、「言い分」をより具体的に言語化することは必須ではないと考えます。言い分は法律構成を正しく想起するためのトリガーですので、法律構成が正しく想起できるのであれば、言い分を具体的に言語化する必要はそれほど高くないからです。
挙げていただいた民法2-4-3小問(1)であれば、言い分が解除したいでも大丈夫です。解除したいの言い分としては、「もう嫌だ」というのがあり、要するに「契約をしたくない・縁を切りたい」というのが言い分です。そこで、契約を切るための法律構成として解除が想起できると良いというものです。
言い分と法律構成で違いが生じる場合の一例としては、「物よこせ!」という言い分に対して不当利得返還請求権(703条)という法律構成を使う場合です。「物よこせ!」という言い分は、基本的には物権的請求権や売買契約等に基づく引渡請求権に対応しますが、裏口入学・不倫や賭博といった不法原因給付が絡む事案であれば、法定債権である不当利得返還請求から論じた方が題意に答えやすくなるという問題もあります。 (さらに読む)
民法2-3-5答案例35行目の記述で「原則である。」というのはどのような意味があるのでしょうか?
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これは、37行目の94条2項類推適用という例外的処理との関係で、「原則である。」と記述しています。
まず、所有権や共有持分権を持たない無権利者から権利の売却を受けた場合でも、その権利を得られないのが原則です。しかし例外的に、94条2項類推適用などの法律構成で権利を得られる場合があります。
このように、無権利者からの権利取得はできないのが原則→94条2項類推適用などで例外的に保護されるという原則・例外があります。そして37行目では、Fについて94条2項類推適用で例外的に保護される余地があるので、この37行目の例外との関係で、35行目では権利移転しないのが「原則である。」と記述しています。 (さらに読む)
刑訴の捜査パターンについて。任意捜査の「正当な目的」のあてはめで、問題文中に「〇〇の目的で」、「△△のため」等のヒントがない場合は自分で「正当な目的」を設定する必要があると思います。抽象的な質問になってしまうのですが、上記のような場合、どのような観点から自力で目的の設定を行えばよいでしょうか?また、この目的の設定が上手くできないとその後の要件検討にも影響がでるのでしょうか?
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捜査目的については、捜査の制度上の目的から検討してみるのが一手です。
捜査の制度上の目的とは、一般には公訴の提起ないし維持の準備であり、その上で捜査の類型ごとの個別の目的として、被疑者の逃亡や証拠隠滅の防止(身体拘束系の捜査)、証拠収集によって犯人性や事件性を明らかにする(証拠収集系の捜査)というものがあります。
そのため、捜査の制度上の目的としては、公訴提起・公判維持の準備として、逃亡や証拠隠滅の防止、証拠収集により事案の真相を解明というものがあるので、これらの目的を念頭に置いて問題文の事情から考えるのが一手です。
また、捜査目的の認定で大きくミスをしてしまうと、捜査の必要性の当てはめが書きにくくなります。捜査の必要性においては、捜査目的を達成するためその捜査が欠かすことができないという不可欠性や、他の方法によっては捜査目的を達成できないという補充性を検討します。
これらの不可欠性・補充性は捜査目的との関係で問題となるので、捜査目的というゴールの認定で大きくミスをすると当てはめしにくくなります(以上につき『リーガルクエスト刑事訴訟法』35~37頁を参照) (さらに読む)
民訴2-3-6答案例8行目で、221条1項の要件を満たさなければ「本問申立てを却下すべきである」と書いてあります。この効果の根拠規定は221条1項から導かれたのでしょうか?
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却下の根拠規定については、223条7項とするのが考えられます。
『基礎からわかる民事訴訟法』の366頁には、「文書提出命令の申立てを却下する場合も認容して発令する場合も、裁判形式は「命令」ではなく「決定」であることが注目される(223条1項前段、7項)」と説明があり、却下の根拠条文として223条7項が示されています。
そのため、223条7項の「決定」という文言に位置付けるのがおすすめといえます。 (さらに読む)
民訴法の訴訟要件穴埋め表の暗記事項で「職権調査事項」かつ「弁論主義」の範囲に属する訴訟要件は当事者が証拠収集可能とのことですが、これは裁判所側からの当事者側に対する強制力はあるのでしょうか?例えば、裁判所が上記訴訟要件を確認したいが、当事者側が証拠収集に協力的でない場合にどうなるのか気になります。
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この場合は、当事者への強制力までは認められないだろうと考えられます。
まず『新民事訴訟法』(成文堂)の237~238頁には、「職権調査というのは当事者の申立てがなくとも、職権によって顧慮するというだけであって、顧慮してその点を取り上げた後で、それに関する資料の収集をどうするかは職権調査とは別の領域の問題である」とし、その上で職権調査事項かつ弁論主義の範囲に属する訴訟要件である「任意管轄、訴えの利益、当事者適格(対世効のないもの)に関する資料収集は弁論主義による」との説明があります。
この説明からすると、裁判所は職権調査によって上記訴訟要件を顧慮することはできるものの、実際の資料収集については弁論主義によって当事者に任されていると読めます。
そのため、資料収集自体は当事者の責任かつ権能となり、当事者が上記訴訟要件について協力的でない場合には、裁判所が強制することもなく、資料が足りなければ訴訟要件を満たさないという扱いになると考えます。 (さらに読む)
解釈論は、条文の要件に形式的にあてはまらない場合や、あてはめた結果、妥当な結論ではない場合に主に出現するものと把握しております。
それを前提に民訴2-4-1の答案例「第1 当事者」の解釈論は具体的にどの条文との関係で問題となってくるのでしょうか?
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この当事者については、訴訟要件である当事者実在との関係で問題となります。条文としては、第1編3章の「当事者」というタイトルに位置付けるのがあり得ます。
本問では、訴訟要件である当事者実在との関係で、誰を当事者とすべきかが問題となります。これは、論パタの1頁に掲載されている訴訟要件のうち、③当事者実在に係る問題と捉えます。この③に記載されている第1編第3章のタイトルである「当事者」に位置付けて解釈するのが一手です。
もっとも、答案作成という観点からは、第1編第3章という点は指摘する必要はなく、答案例のように単に「当事者」と記載すれば伝わります。 (さらに読む)
条文の文言を引用をする時の「」の有無について
答案例で条文の文言を「」で引用する場合とそうでない場合があります。(例、民法2-2-1答案例6行目~7行目)これについて、使い分けをしてる意味等ありましたら、教えていただきたいです。
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これについては、その問題における重要度や答案の読みやすさに応じて「」で括るかどうかを使い分けるという発想があり得ます。
まず前提としては、条文の文言は基本的にすべて「」で括るのが無難です。条文の文言を引用する際にすべて「」で括ることで、条文中心の思考を常に行えるようにするとともに、採点者に対して条文を適切に使用していることをアピールするためです。
しかし、常に条文の文言をフルスケールで引用する等のくどい引用をしてしまうと、ピンポイントで検討すべき条文の文言が分かっていないと採点者に誤解されたり、あるいは単純に読みにくい答案になったりするおそれがあります。
そこで、あまり重要でなさそうな文言や、形式面で読みにくくなる場合には、敢えて「」で括らずに地の文で書いてしまうことで、重要な文言だけにフォーカスして読みやすくするという書き方はあり得ます。
とはいうものの、条文の文言については『基本的にすべて「」で括る』という書き方の方が安全です。すべて「」で括ると割り切った方が試験本番で悩む時間を減らせますし、何より条文中心の思考をする上では条文の文言を「」で括るという方法が簡易かつ適切だからです。 (さらに読む)
伝聞法則の写実的証拠についてお伺いいたします。
写実的証拠については、伝聞法則の趣旨が該当しないとありますが、321条以下を検討することなく証拠能力が認められるのでしょうか。
ただ録音テープについては、録音内容の真実性が問題となる場合には伝聞証拠となり、伝聞例外を検討する必要があるのでしょうか。
とすると、署名・押印が不要になるとの意味合いに留まると考えます。
H26予備の問題を解いての疑問です。
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ご質問いただきありがとうございます。
これは写実的証拠の内容や使い方にもよりますが、その写実的証拠が犯行状況などを撮影した現場写真などの非供述証拠といえる場合であれば、伝聞証拠にはそもそも当たりません。伝聞証拠は供述証拠であることが前提なので、非供述証拠となるものについては、そもそも伝聞法則が適用される余地はありません。そのため、321条以下を検討することはありません。
この場合は、自然的関連性や違法収集証拠排除法則からの証拠禁止との関係で問題がなければ、証拠能力が認められます。
録音テープの場合には、その録音された会話などを話した原供述者が存在するため、その原供述者の供述過程が問題となり、伝聞証拠としたうえで後は伝聞例外を検討します。つまり、録音テープに録音された音声や会話といった録音内容の真実性が問題となる場合には、伝聞証拠となります。そしてこの場合は、録音された会話等の原供述者が被告人以外か被告人本人かに応じて、321条1項各号又は322条1項で伝聞例外を検討します。
最後に伝聞例外を検討する場合には、録音自体は機械的に行われており、供述録取者の供述過程に準じる過程が存在しないので、お考えのように署名・押印が不要となります。署名・押印は、捜査官などの供述録取者の録取過程に問題がなく、原供述者の供述の正確性を保証する意味合いがあるところ、録音テープの場合には機械的正確性をもって原供述者の供述が録音されており、録取の過程に問題がないからです。 (さらに読む)
●訴因変更の可否ついて
①公訴事実の単一性と②(狭義の)公訴事実の同一性、それぞれの違いは分かったのですが、どういう手順でどちらに当たるか検討すれば良いのかわかりません。
先に①を検討して一罪の関係になければ②を検討?②から検討する場合もある?等検討手順はあるのでしょうか?
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これは論文問題としては、②狭義の同一性について基本的事実関係の同一性・非両立性を検討すればよいケースがほとんどです。つまり、基本的には②を中心に検討し、①を併せて検討することはほぼありません。
論文問題で訴因変更の可否が出題される場合には、検事の設定した当初の訴因と裁判所が心証を得た事実にずれがあり、検事が有罪獲得に当たって当初の訴因を裁判所の心証どおりの事実に変更できるかが問われる場合が多いです。そのため、②狭義の同一性が問題となり、当初の訴因と裁判所が心証を得た事実に基本的事実関係の同一性・非両立性があるかを問題文の事実を使って検討します。
したがって、論文問題では②のみ検討すれば大丈夫な場合がほとんどです。①は、住居侵入罪と窃盗罪のように2つ以上の犯罪をしても牽連犯として一罪になる場合の話が典型例ですが、これが今の論文で問われることはほぼ無く、問題文の事実の検討をさせやすい②だけが出題される場合がほとんどです。 (さらに読む)