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民法2-4-11問2。民法の答案は基本的に原告の請求→被告の抗弁で論述する場合が多いかと思いますが、本問のように問が抗弁に当たる場合には論述も上記の基本にはのらず抗弁から書き始めても問題ないと考えてよろしいでしょうか。また本問のような問でなくても絶対に請求権→抗弁の形で書かなくてもいいのでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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本問のような問であれば、Bの解除の抗弁から書き始めても問題はありません。
問題文の書きぶりから、Cの代金請求権の行使が前提とされているからです。
また、Cが債権譲渡を受けて代金請求権を取得したという請求権の部分は問1で処理済みなので、この部分を問2で繰り返さなくてもよいとも読み取れます。
もっとも、問題文によっては請求権の内容から書いた方が望ましい場合もあり得ます。例えば、前提となる請求権に関する事情が多い場合であれば、書いた方が無難です。
このように、何をどのように・どれくらい書くかはあくまで問題文の書きぶりから相対的に決まってくるので、日頃の学習から問題文としっかり対話することが重要となってきます。
そして、民法は思考過程を示すことが重要なので、本問のような問でない場合は、請求権(メインの検討事項でなければ簡潔に書く)→抗弁の順番で書く方が基本的には安全です。
つまり、絶対に請求権→抗弁の形で書かなければならないというものではなく、問題文の書きぶりから相対的に決まります。
論文式試験は臨機応変さも問われますので、固定的な何かを決め打ちせずに、問題文と対話して何をどのように・どれくらいの分量で書くべきかをその都度判断することが必要ですが、日頃の学習から問題文をしっかり検討していけば大丈夫です。 (さらに読む)
検討段階とそれを実際に答案で論述する/しないの判断基準などがあれば教えて頂きたいです。例えば民法2-4-11の問2の答案例でCの466条~467条までの一連の検討を論述せずにBの解除の論述から始まっているのは、Cが466~467について問題なく満たすため省力しているという認識で正しいでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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その認識で大丈夫です。
本問では466~467条の債権譲渡については、問1で466条の処理をしていることから、この処理を前提として問2では解除から検討します。すなわち、債権譲渡自体は問1で処理しているという発想です。
論述する/しないの判断基準としては、問題文の事実の量・設問ごとの相関関係から現場で柔軟に判断します。
本問であれば、問1の部分で債権譲渡を前提として軽く触れ、問2では問1を前提としているので債権譲渡の大展開は不要だと考えることができます。また、債権譲渡に関する事実は事案1の②くらいしか書かれていないので、事実の分量が少ないことからそれほど問題にならないと考え、簡潔に書くにとどめるとなります。 (さらに読む)
未回答の質問
表現の自由の保障対象外と判定する方法は具体的にはどう為されるのでしょうか。岐阜県青少年事件では表現の自由の内在的制約(調査官解説308頁)該当性としていますが、内在的制約に当たるとするならそれは如何なる場合なのでしょうか。犯罪扇動でもその害悪性の程度を考慮していますが、こういった害悪(低価値)表現の21条1項保障性を否定する基準なるものが分からないので御教授頂けますと幸いです
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民法の短答対策が論文にもなるというのは具体的にどのような意味でしょうか。例えば論パタの物権的請求パターンにおける所有権に基づく土地の返還請求権で原告所有を基礎づける論パタで扱っていない所有権取得原因をおさえることで解法パターンを増やし結果論文に活きてくるというような意味でしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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挙げていただいたように、知識や解法パターンを増やすという意味ももちろんありますが、より本質的な意味としては「条文単位の思考過程を身につける」という点にあります。
民法の論文では、論点単位の発想では解きにくい問題が出やすいです。このタイプの問題については、条文に定位して地道に考えていくことが求められるところ、短答対策を通じて条文知識を増やしたり、あるいは選択肢を条文単位で考えたりすることで、この「条文単位の思考過程」が身につきやすくなります。もちろん、その過程で知識や解法パターンも増やすことができます。
したがって、知識や解法パターンを増やすという点に加え、常に条文に定位して考える姿勢を身につけるという意味で、短答対策が論文にもなると言われたりします。 (さらに読む)
民法の基本書、『民法の基礎』佐久間毅 のソクラテスメソッドの講座は、ありますか?
無い様でしたら、是非お願いします。m(._.)m
ご質問をいただきありがとうございます。
大変申し訳ございませんが、
現在 当該講座の提供は行なっておりません。
いただきましたお声は担当部署とも共有し、
今後の参考とさせていただきます。
この度は、貴重なご意見をいただき感謝申し上げます。
引き続き、よろしくお願い申し上げます。 (さらに読む)
刑法2−3−13に関連して質問です。
「被利用者に規範的障害がなかったといえるか」という間接正犯の要素について、この規範的障害は構成要件ごと与えられていると考えなくて良いのですか?
乙には「傷害罪」の限度で規範的障害があるから、甲に殺人罪の間接正犯は成立しないとされていますが、乙には「殺人罪」の規範的障害がないので、甲に殺人罪の間接正犯が成立すると考えられないのでしょうか。
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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本問のように、軽い犯罪の故意しかない者を利用した場合には、重い犯罪について間接正犯を認めることは可能です(『基本刑法Ⅰ』313~314頁)。この場合には、重い罪について一方的に支配・利用されているので、重い罪との関係では間接正犯といえるからです。したがって、構成要件ごとに規範的障害を見るという理解になると考えられます。
そのため、本問においても、殺人については認識のない乙を道具として、殺人罪の間接正犯と見る余地ももちろん可能です。このことは、答案作成上のアドバイス②にも書いてありますので、殺人罪の間接正犯として処理するルートもあり得ます。
しかし、本問の特殊性として、乙は積極的にあれこれ動いています。この乙の果たした役割の重要性を考慮するならば、殺人罪について一方的に支配・利用されたというよりも、殺人罪と重なり合う傷害致死罪の限度で甲とは積極的な相互利用補充関係にあるといえるので、重なり合う限度での共同正犯と見る方がおそらく完全解だろうといえます。
したがって、本問では乙が積極的に動いているという特殊性を踏まえ、一方的に支配・利用されて殺人罪の間接正犯になるというよりも、殺人罪と重なり合う傷害致死罪の限度では相互利用補充関係あるので共同正犯だろうと見立てて処理しています。 (さらに読む)
未回答の質問
経済法速習講義第2版のp58(2)の2文目で、「指名業者を意のままに操る」という部分がピンときません。非指名業者がどういう意味で指名業者を意のままに操っているといえるのでしょうか?個別調整の前提として基本合意の存在が不可欠なものとなっていることから、何となくは理解できる気もするのですが、言語化ができません。回答よろしくお願いします。
4S基礎講座論パタ民法
2-5-1設問2のZのYに対する返還請求と、2-3-2のCのBに対する同請求について。前者はZの所有権取得原因であるXZ売買につき177条を反論として処理し、後者はCの所有権取得原因であるAC売買につきBの取得時効を反論としその再反論で177条を処理しています。
共に相手方が所有権を原始取得する場合で、請求側が背悪であるのに処理が異なる理由がわからず、教えて頂きたいです。
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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両者は背信的悪意者は保護されないという点では同じでおり、その説明方法として、①177条の「第三者」の解釈論と背信的悪意者排除論という物権法からの説明(2-3-2)と、②背信的悪意者からの請求は権利濫用とする法定債権&民法総則からの説明(2-5-1)という違いになります。
まず、①の2-3-2は明らかに物権法だけの問題ですので、物権法からのアプローチをしています。ここでは、二重譲渡類似の関係となるので177条の問題と捉え、同条の「第三者」の定義を起点にして背信的悪意者排除論を使います。ここでは、物権法のアプローチで解いています。
次に、②2-5-1では、不法原因給付という事情がありますので、不当利得という法定債権を設問1で使っています。そして、設問2では不当利得という法定債権&所有権に基づく物権請求を考えています。すると、ここでは所有権に基づく物権請求に加え、法定債権としての不当利得返還請求権も合わせて想起されています。
そこで、物権請求&不当利得請求を共に封じるロジックとして、総則の規定である権利濫用を使っています。すなわち、背信的悪意者排除論はあくまで物権法の規定ですので、不当利得という法定債権にも直ちに妥当するわけではありません。
そのため、不当利得請求も合わせて封じるために、物権法・債権法両方に及ぶ総則の規定である権利濫用を使ったという違いが生じます。 (さらに読む)
相互利用補充関係と因果的共犯論の違いがわかりません。特に承継的共同正犯を相互利用補充関係で書いた方が安定すると仰っていたのですがそれとの関係でどのような違いがあるのかを教えて下さい。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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両者は、共犯が一部実行全部責任で処罰される根拠に関する説です。
相互利用補充関係説は、行為者どうしで犯罪の一体的実現をするにあたり、各関与者が他の関与者と協力して自分たちの犯罪を遂行しようという意識の連絡のもと、実際にも重大な寄与をして構成要件を実現するという相互利用補充関係を処罰根拠とします。
他方で、因果的共犯論は、共犯者が間接的に法益侵害またはその危険を惹起した点を処罰根拠とします。
平たく言えば、共犯者間で互いに利用し合う関係性を重視するのが相互利用補充関係説、法益侵害やその危険という結果面を重視するのが因果的共犯論と考えられます。
さて、因果的共犯論の場合は、承継的共同正犯の否定説につながります。
この理由として、後行行為の因果性は遡及しないため、先行行為により構成要件該当事実の一部が惹起されたのであれば、後行行為が構成要件該当事実全体に因果性を及ぼすことはできないといえるからです。
この場合に因果的共犯論の立場から共同正犯を認めるためには、処罰の必要性という政策的理由から因果性を拡張し、承継的共同正犯の場面においては、後行行為の結果に対する因果性があれば足りると解釈するのがあり得ます。
一方で相互利用補充関係説であれば、互いに利用し合う関係があればよいので、先行行為を後行者が積極的に利用し合う関係が見いだせれば承継的共同正犯の限定肯定説につながります。
このように、承継的共同正犯の肯否に当たって、①因果性が遡及しない点を理由に否定説につながるのが因果的共犯論(この場合に承継的共同正犯を認めるためには、因果性を拡張して結果への因果性あればよいと論証する必要あり)、②相互利用補充関係が見いだせればよいので限定肯定説につなげられる相互利用補充関係説という違いが見出せます。 (さらに読む)
刑法2-3-11甲の罪責
致傷結果が丙の加功後に生じたものと断定できる場合、問題文一段落目の甲のいきなり手拳でAを殴打した行為には何罪が成立するのでしょうか。この場合でも、①一連の行為としてまとめて検討して240条を成立させるのか、②二段落目の行為は介在事情として因果関係の議論に流すのか等が思いついたのですがどれが正解なのでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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この場合は、①になると考えられます。
ここでは、殴打して財物を奪取しているものの致傷結果は生じていないので、まずは強盗罪となります(答案例12~15行目)。そのうえで、最終的に後半の行為が強盗致傷罪まで行くので、この強盗致傷罪に吸収されて強盗致傷罪一罪になると考えます。
殴打行為は強盗罪で完結しているので、因果関係の介在事情とするのはあまり一般的ではないと考えます。因果関係が問題となるのは、実行行為と結果との間に介在事情がある場合ですが、殴打行為は強盗罪として結果まで一旦は完結しているので、介在事情とは言いにくいです。 (さらに読む)
刑法2-3-9答案例67~69の記述が理解できません。
特に、事後強盗罪の本質は財産犯→窃盗という身分によって構成すべき犯罪になる流れが分かりません。どのような問題意識があるのでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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67~69行目は、事後強盗罪を「窃盗」という身分が必要な身分犯と考えた場合(身分犯説)、身分のない人が身分犯に加功した場合には、身分のないその人にも身分犯が成立するという65条1項の処理をしています。
まず、65条1項は、身分のない人が身分犯に加功した場合には、身分犯が成立するとしています。これを本問に当てはめると、窃盗の身分ない乙が、窃盗の身分ある甲に加功した場合には、甲と同じ身分犯である事後強盗罪になるという処理になります。
さて、事後強盗罪の本質は財産犯→窃盗という身分によって構成すべき犯罪になる流れは、事後強盗罪と共犯の処理について身分犯説・結合犯説の対立があるところ、身分犯説を採り65条1項でシンプルに処理するという点を述べています。
まず身分犯説は、事後強盗罪を真正身分犯と考えます(真正身分犯と考えない見解もありますが、試験対策では真正身分犯と考える説を採る方が処理が楽です)。この説は、事後強盗罪が「窃盗」でなければできない犯罪と捉え、真正身分犯だと捉えます。すると、窃盗でない者が事後強盗罪に加功した場合は、真正身分犯への加功として処理されます。この場合は、65条1項の述べる「身分のない人が身分犯に加功した場合は、身分犯と同じ刑で処理するよ」に当たるので、身分のない人も事後強盗罪で処断されます。
この身分犯説の良いところは、65条1項でシンプルに処断できる点です。つまり、事後強盗罪を「窃盗」のみができる真正身分犯と捉えるならば、それに加功した身分のない人は65条1項の場面に当たるので、同条項でそのままシンプルに事後強盗罪成立とできます。
この身分犯説に対し、結合犯説という考えもあります。
これは、事後強盗罪を窃盗+暴行の2つの行為に分けることを重視します。すると、窃盗でない者が事後強盗罪に加功した場合には、暴行の部分に加功したと考え、前半の窃盗については承継的共同正犯として処理します。
つまり、結合犯説は、窃盗→暴行という2つの行為に区切って事後強盗罪を理解するので、窃盗でない者が後から加功した場合には、後半の暴行に加功したと捉え、前半の窃盗については後から加功したとして承継的共同正犯のロジックで処理します。
しかし、受験対策として考えるのであれば、承継的共同正犯という難しい解釈をする結合犯説よりも、真正身分犯からの65条1項で処理できる身分犯説の方が書きやすいとなります。
このように、事後強盗罪の性質に絡んで、①「窃盗」という身分(主体)に着目して真正身分犯として処理するのか、②窃盗→暴行という2つの行為が続いている点にならって結合犯として処理するのかという問題意識があります。
そしてここでは、事後強盗罪の本質は財産犯である→財産犯とは平たく言えば物盗りである→物盗りとは「窃盗」のことであるので事後強盗罪も「窃盗」という点に着目する→事後強盗罪とは「窃盗」という身分がある故に行える犯罪であるとイメージで、身分犯説を採用しています。 (さらに読む)
刑法2-2-5横領罪の検討
講義内で「横領」のあてはめで、委託の内容を特定してそれに背いているか検討し、本問でも委託の趣旨に背いているので横領を満たすと説明されていました。ここで質問ですが、横領の定義①委託の趣旨に背いて➁その物につき・・・・処分する意思は、①を満たせば➁も通常満たすという関係なのでしょうか?
講義内でも、①を主に検討している感じがしたのですが、これは本問特有の話でしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
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この場合は事案によりけりですが、①②は一応分けて検討した方がより緻密な分析になると考えます。①を満たせば通常②も満たす場合がほとんどと思われますが、念のため決め打ちせずに検討した方が無難です。
本問では、委託をしてきたのがウイスキーの所有者(本犯被害者)ではなく、その盗品のウイスキーを持ってきただけの乙です。
つまり、ウイスキーの所有者本人から委託を受けたのではなく、所有者ではない乙から委託を受けているので、本権の裏付けのない委託であっても「委託を受けて」といえるかという特殊性があります。そこで本問では、①が重点的に説明されており、ウイスキーを勝手に全部処分した点は争いなく②に当たるといえるので、さらっと流しています。 (さらに読む)
行政法2-4-6設問1について質問です。
講師答案はシンプルに「安全上支障がない」とは言えないから違法としています。解答として、「裁量権の範囲を超え」ているから本件認定は違法という筋はダメなのでしょうか。流れ下記します。
・条例4Ⅱ裁量認められる。狭い(消極目的、専門技術有)
・考慮不尽、他事考慮
・違法
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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本問は、裁量権ルートで解答しても、実戦的には合格ラインに乗ると考えられる問題です。相対評価の視点でいえば、受験生のほぼ全員が、本問を文言解釈ではなく裁量権の問題だと決め打ちするだろうといえるからです。
そのため、挙げていただいたような裁量権ルートの解答過程でも、実戦的には問題ありません。
本問が「安全上支障がない」という文言解釈で処理しているのは、受験対策として、裁量権ルートの一辺倒ではなく、裁量権以前の条文の文言解釈というルートも押さえておく方が理想的だからです。
そのため、頭の使い方としては、まずは条文の文言を素直に解釈してみる(文言解釈ルート)→裁量権がありそうな建付けになっていれば裁量権ルートを想起とするのがおすすめです。 (さらに読む)
予備試験経由で最終合格を目指している者です。
4S講座で取扱いがないものの過去、予備試験で問われている論点に関しての勉強の優先度を教えてください。
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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この場合は、予備論文過去問・予備短答過去問で出題された論点のうち、4S講座で取扱いのないものをその都度押さえて下されば大丈夫です。
優先度としては、民事系3科目→刑事系2科目の順に押さえる方が望ましいです。民事系3科目は知識量・演習量が最も問われるからです。その上で、刑事系2科目に進むのがベターです。最後に余裕があれば公法系を見ます。
予備試験ルートで合格を目指す場合に習得すべきものとしては、①4S論パタ、②予備試験の短答&論文過去問となります。そのため、②予備試験の短答&論文過去問で出題された事項のうち、論パタに掲載のない論点をその都度押さえていただくのがセオリーとなります。
そのうえで、②を終えた後に又は②と並行しつつ、条解講義を受講できると理想的です。 (さらに読む)
民法2-3-3、問1後段、問2
どちらも言い分は金払えですが、法的構成が違います。問1後段では、解除構成で検討してますが、121条構成で、金払えの言い分を実現することは不可能なのでしょうか?両者の法律構成の使い分けについて教えてください。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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本問では、どちらも言い分は金払えですが、トラブルの性質が異なりますので、法的構成が違ってきます。
まず、問1後段では、Bの取消しによって遡及的無効(121条)となりますので、AC間は履行不能となります。すると、甲土地という物自体を引き渡すことはできなくなっているので、物が駄目ならお金で解決となり、履行不能からの解除と損害賠償請求を行います。
ここでは、当事者がACであるところ、転売を受けたCは甲土地を入手できないので履行不能となり、この履行不能というトラブルを解決するために、債権法の規定である解除・損害賠償を使っています。そして、このAC間は問2の取消しの場合ではないので、121条構成とはなりません(理由は最後の方に後述します)。
次に、問2では、BがAにあることないこと吹き込んでいるので、AB間には契約の当初から問題があったとして、錯誤取消し・遡及的無効&原状回復義務を法律構成として使います。ここでは、問1後段と異なり、解除は使わず、錯誤取消しと原状回復、それに加えて不法行為を使います。
さて、両者の法律構成の使い分けとしては、①問1後段のAC間は履行不能からの解除&現状回復義務と損害賠償、②問2のAB間は錯誤取消しと遡及的無効&原状回復+不法行為という使い分けになります。
両者の違いは、当初からトラブルがあったかor事後的にトラブルになったかという点になります。
まず、①のAC間では当初はトラブルがありません。AはBを騙していますが、あくまでBを騙しただけであって、AはCを騙しておらず、Cも特にAから何かされたわけでもありません。しかしその後、Bが取り消したことで遡及的無効となり、履行不能となります。
このように、当初は詐欺・錯誤・強迫といった意思表示のトラブルは当事者間(AC間)にないが、事後的に物を渡せなくなった等の場合には、事後的トラブルの問題と考えて、債務不履行(履行遅滞や履行不能、不完全履行)の問題とし、解除や損害賠償を使います。
次に、②のAB間では、当初から錯誤・詐欺という意思表示のトラブルがあります。BはAにあれこれ吹き込んでいるので、Aは契約の当初から錯誤・詐欺という意思表示のトラブルを抱えています。このように、当初から錯誤・詐欺・強迫といった意思表示のトラブルが当事者間(AB間)にある場合には、取消しからの遡及的無効と原状回復(121条系のルート)となります。
すなわち、「当初から当事者間に意思表示のトラブルある場合」には「取消し+遡及的無効&原状回復(121条系ルート)」、「当初は当事者間に意思表示のトラブルはないが事後的に債務不履行というトラブルになった場合」には「解除&原状回復(540条系ルート)+損害賠償(415条)」という使い分けになるのです。
換言すると、当初からトラブルあれば取消し、事後的なトラブルであれば解除という使い分けになります。 (さらに読む)
民法95条1項柱書きのあてはめで、主観的因果関係「基づく」と客観的因果関係「錯誤が・・・重要」がズレることはありうるのでしょうか?
例えば、主観的には因果関係がないが、通常人においてみると因果関係がある場合などです。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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両者は異なる要素であるため、ズレることも想定されます。
まず、主観的因果関係とは、その表意者個人の認識を基準にして、その錯誤がなければその意思表示をしなかっただろうということを意味します。ここでは、その表意者の主観を基準にしています。
次に、客観的因果関係は、表意者ではなく通常人を基準にした場合でも、その錯誤がなければその意思表示をしなかっただろうということを意味します。この客観的因果関係は重要性の要件とも呼ばれ、主観的因果関係がある場合でも、その錯誤が重要といえないのであれば要件を満たさないとなります。すなわち、その表意者であれば意思表示をしない場合でも、通常人を基準とするなら意思表示をするといえるのであれば、客観的因果関係(重要性)が否定されます。
ちなみに、主観的因果関係がない場合は、そもそもその錯誤に基づく意思表示がないと考えられますので、主観的因果関係があるうえで(錯誤に基づく意思表示があるうえで)、その錯誤が重要か(客観的因果関係があるか)という流れになると思われます。
したがって、例えば、売主を人違いで間違えたまま契約をした場合、表意者からすれば売主が違っているので意思表示しなかったといえる場合でも、通常人を基準とすれば意思表示をしても問題なかろうというのであれば、客観的因果関係(重要性)が否定され、錯誤の要件を満たさないとなります。
この客観的因果関係(重要性)が否定される場合としては、売主や賃貸人の同一性の錯誤がそれに当たるとされています。 (さらに読む)
刑法2−3−4の質問の続きです。
1項詐欺が2項詐欺かの区別と、占有もしくは権利の帰属が誰にあるのかという話がごちゃごちゃになって混乱しています。長い質問で申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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回答を貼付しましたので、ご確認くだされば幸いです。
1個目のご質問の回答に記述したように、預金債権だからといって直ちに財産上の利益になるわけではないという点にご注意いただければ大丈夫です。
誤振込と詐欺罪は結構難しい問題ですので、おいおい理解できれば問題ありません。 (さらに読む)
刑法2−3−4の質問の続きです。3点目ですが、乙がB銀行窓口から引出した作為は財産上不法の行利益を対象とする詐欺行為とならないのに、乙がB銀行窓口に謝振込であることを告げなかった不作為は財物を対象とする詐欺行為となるのは何故ですか?Aが乙に200万円を振込んだことで、財産上不法の利益はZに帰属し、財物はB銀行に占有が移転すると考えるのでしょうか?
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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この理由は、誤振込の場合であっても、振り込まれた人は普通預金債権を取得すると考えられるからです(『刑法判例百選Ⅱ』の52事件)。すなわち、普通預金債権自体は認められるので、これが最終的な被害品たる財産上の利益になるというわけではありません。
しかし、誤振込の場合は組戻し手続を銀行が行えるため、預金についての銀行の占有には要保護性が認められます。そのため、要保護性との観点で、誤振込を受けた人はそれを告知する信義則上の義務を負い、この義務を果たさずに告知しなかった不作為について1項詐欺罪を認めます。
以上より、誤振込の場合でも普通預金債権自体は取得できることから、直ちに財産上の利益を対象とする2項詐欺罪になるわけではありません。
しかしこの場合でも、預金についての銀行の占有への要保護性から、振り込まれた人には誤振込の告知義務があり、この義務違反を不作為と構成し、引き出された現金に対する1項詐欺罪となります。 (さらに読む)
刑法2−3−4の質問の続きです。2点目ですが、乙がB銀行の窓口で100万円を引出した行為はどうして「人を欺いて」とは言えないのですか?預金を引出す権利(財産上不法の利益)が既に乙に帰属していると考えるからですか?既に乙に帰属しているとするとB銀行が処分行為を行い得ないということででしょうか?
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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この場合は、挙げていただいたように、乙に普通預金債権自体はあることから、単なる引き出し行為に直ちに2項詐欺罪が成立するわけではありません。
ここは、預金債権自体が直ちに財産上不法の利益にはならない点に注意です。普通預金債権自体は乙が取得しており(3個目の回答参照)、誤振込を黙ったまま引き出した現金100万円という「財物」が本問の被害品です。財産上不法の利益とは、お金・物以外で最終的な被害に遭った権利というイメージです。
すなわち、普通預金債権自体は乙に取得されているので、誤振込を告げなかった点に不作為を見出し、この不作為を1項詐欺罪の実行行為たる「人を欺く」行為(欺罔行為)と構成します。 (さらに読む)
刑法2−3−4について、3点質問があります。1点目ですが、答案を読んで、Aが甲に200万円を振込んだ時点で200万円(財物)に対する占有がAから甲に移転していると考えるのに対して、Aが乙に200万円を誤振込みした時点で200万円を引出す権利(財産上不法の利益)がAから乙に移転したと考えるものと理解しました。同じような200万円が一方で財物とされ、他方で財産上不法の利益とされる理由が分かりません。
ご質問をいただきありがとうございます。
今回、「刑法2−3−4について、3点質問が~」とご投稿を分けていただいておりますが、今後は「(例)刑法2−3−4」に対するご質問としておひとつの投稿におまとめいただけますと幸いでございます。何卒よろしくお願い申し上げます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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まず、Aの2回の振り込みについては、いずれも財物の移転となります。
1回目の200万円振り込みは甲の講座に現金200万円が振り込まれたので、財物の移転といえます(答案例12行目)。また、2回目の200万円振り込みも、乙の口座に振り込まれており、現金が口座に移転しているので、ここも財物の移転といえます。
そして、乙は誤振込された200万円のうち100万円を窓口でおろしていますから、ここも100万円という財物が被害品となります(答案例37~38行目)。乙は、あくまで誤振込によって預金債権を取得したのであり(答案例27行目)、この預金債権を使って誤振込の100万円という財物を掠め取っているという構図になります。本問における最終的な被害品は、引き出された100万円という現金ですので、この100万円という現金を被害品たる「財物」と構成します。
したがって、本問では被害品(客体)は、いずれも財物になります。おそらくですが、乙に預金債権があることから直ちに財産上の利益ありと混同してしまったかと思われますので、この部分にご注意いただければ大丈夫です。
本問では、預金債権を誤振込について黙秘したまま行使して誤振込の100万円を最終的に掠め取っていますので、被害品は財物たる100万円と考えることになります。そのため、本問で問題となる被害品はすべて「財物」となります。 (さらに読む)