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刑法の共犯が聞かれた時に、共同正犯が否定される場合(どうみても共同正犯が否定される場合の除いて)でも一応、一言共同正犯が認められないことを指摘して従犯の論述に入ったほうがいいでしょうか。共同正犯から検討している姿勢を伝えるために。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 お考えの通り、一言共同正犯が認められないことを指摘して従犯の論述に入ったほうが望ましいといえます。
 共犯の処理においては、基本的には共同正犯で処理し、そこからこぼれたものを狭義の共犯(教唆犯・幇助犯)で処理するので、共同正犯とはならない点を簡潔に触れた方が無難です。 (さらに読む)
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民法2-4-11問2。民法の答案は基本的に原告の請求→被告の抗弁で論述する場合が多いかと思いますが、本問のように問が抗弁に当たる場合には論述も上記の基本にはのらず抗弁から書き始めても問題ないと考えてよろしいでしょうか。また本問のような問でなくても絶対に請求権→抗弁の形で書かなくてもいいのでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 本問のような問であれば、Bの解除の抗弁から書き始めても問題はありません。
 問題文の書きぶりから、Cの代金請求権の行使が前提とされているからです。
 また、Cが債権譲渡を受けて代金請求権を取得したという請求権の部分は問1で処理済みなので、この部分を問2で繰り返さなくてもよいとも読み取れます。

 もっとも、問題文によっては請求権の内容から書いた方が望ましい場合もあり得ます。例えば、前提となる請求権に関する事情が多い場合であれば、書いた方が無難です。
 このように、何をどのように・どれくらい書くかはあくまで問題文の書きぶりから相対的に決まってくるので、日頃の学習から問題文としっかり対話することが重要となってきます。

 そして、民法は思考過程を示すことが重要なので、本問のような問でない場合は、請求権(メインの検討事項でなければ簡潔に書く)→抗弁の順番で書く方が基本的には安全です。
 つまり、絶対に請求権→抗弁の形で書かなければならないというものではなく、問題文の書きぶりから相対的に決まります。
 論文式試験は臨機応変さも問われますので、固定的な何かを決め打ちせずに、問題文と対話して何をどのように・どれくらいの分量で書くべきかをその都度判断することが必要ですが、日頃の学習から問題文をしっかり検討していけば大丈夫です。 (さらに読む)
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検討段階とそれを実際に答案で論述する/しないの判断基準などがあれば教えて頂きたいです。例えば民法2-4-11の問2の答案例でCの466条~467条までの一連の検討を論述せずにBの解除の論述から始まっているのは、Cが466~467について問題なく満たすため省力しているという認識で正しいでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 その認識で大丈夫です。
 本問では466~467条の債権譲渡については、問1で466条の処理をしていることから、この処理を前提として問2では解除から検討します。すなわち、債権譲渡自体は問1で処理しているという発想です。

 論述する/しないの判断基準としては、問題文の事実の量・設問ごとの相関関係から現場で柔軟に判断します。
 本問であれば、問1の部分で債権譲渡を前提として軽く触れ、問2では問1を前提としているので債権譲渡の大展開は不要だと考えることができます。また、債権譲渡に関する事実は事案1の②くらいしか書かれていないので、事実の分量が少ないことからそれほど問題にならないと考え、簡潔に書くにとどめるとなります。 (さらに読む)
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民法の短答対策が論文にもなるというのは具体的にどのような意味でしょうか。例えば論パタの物権的請求パターンにおける所有権に基づく土地の返還請求権で原告所有を基礎づける論パタで扱っていない所有権取得原因をおさえることで解法パターンを増やし結果論文に活きてくるというような意味でしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 挙げていただいたように、知識や解法パターンを増やすという意味ももちろんありますが、より本質的な意味としては「条文単位の思考過程を身につける」という点にあります。

 民法の論文では、論点単位の発想では解きにくい問題が出やすいです。このタイプの問題については、条文に定位して地道に考えていくことが求められるところ、短答対策を通じて条文知識を増やしたり、あるいは選択肢を条文単位で考えたりすることで、この「条文単位の思考過程」が身につきやすくなります。もちろん、その過程で知識や解法パターンも増やすことができます。
 したがって、知識や解法パターンを増やすという点に加え、常に条文に定位して考える姿勢を身につけるという意味で、短答対策が論文にもなると言われたりします。 (さらに読む)
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4S基礎講座論パタ民法 2-5-1設問2のZのYに対する返還請求と、2-3-2のCのBに対する同請求について。前者はZの所有権取得原因であるXZ売買につき177条を反論として処理し、後者はCの所有権取得原因であるAC売買につきBの取得時効を反論としその再反論で177条を処理しています。 共に相手方が所有権を原始取得する場合で、請求側が背悪であるのに処理が異なる理由がわからず、教えて頂きたいです。
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 両者は背信的悪意者は保護されないという点では同じでおり、その説明方法として、①177条の「第三者」の解釈論と背信的悪意者排除論という物権法からの説明(2-3-2)と、②背信的悪意者からの請求は権利濫用とする法定債権&民法総則からの説明(2-5-1)という違いになります。

 まず、①の2-3-2は明らかに物権法だけの問題ですので、物権法からのアプローチをしています。ここでは、二重譲渡類似の関係となるので177条の問題と捉え、同条の「第三者」の定義を起点にして背信的悪意者排除論を使います。ここでは、物権法のアプローチで解いています。
 
 次に、②2-5-1では、不法原因給付という事情がありますので、不当利得という法定債権を設問1で使っています。そして、設問2では不当利得という法定債権&所有権に基づく物権請求を考えています。すると、ここでは所有権に基づく物権請求に加え、法定債権としての不当利得返還請求権も合わせて想起されています。
 そこで、物権請求&不当利得請求を共に封じるロジックとして、総則の規定である権利濫用を使っています。すなわち、背信的悪意者排除論はあくまで物権法の規定ですので、不当利得という法定債権にも直ちに妥当するわけではありません。
 そのため、不当利得請求も合わせて封じるために、物権法・債権法両方に及ぶ総則の規定である権利濫用を使ったという違いが生じます。 (さらに読む)
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相互利用補充関係と因果的共犯論の違いがわかりません。特に承継的共同正犯を相互利用補充関係で書いた方が安定すると仰っていたのですがそれとの関係でどのような違いがあるのかを教えて下さい。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 両者は、共犯が一部実行全部責任で処罰される根拠に関する説です。
 相互利用補充関係説は、行為者どうしで犯罪の一体的実現をするにあたり、各関与者が他の関与者と協力して自分たちの犯罪を遂行しようという意識の連絡のもと、実際にも重大な寄与をして構成要件を実現するという相互利用補充関係を処罰根拠とします。
 他方で、因果的共犯論は、共犯者が間接的に法益侵害またはその危険を惹起した点を処罰根拠とします。
 平たく言えば、共犯者間で互いに利用し合う関係性を重視するのが相互利用補充関係説、法益侵害やその危険という結果面を重視するのが因果的共犯論と考えられます。
 
 さて、因果的共犯論の場合は、承継的共同正犯の否定説につながります。
 この理由として、後行行為の因果性は遡及しないため、先行行為により構成要件該当事実の一部が惹起されたのであれば、後行行為が構成要件該当事実全体に因果性を及ぼすことはできないといえるからです。 
 この場合に因果的共犯論の立場から共同正犯を認めるためには、処罰の必要性という政策的理由から因果性を拡張し、承継的共同正犯の場面においては、後行行為の結果に対する因果性があれば足りると解釈するのがあり得ます。
 
 一方で相互利用補充関係説であれば、互いに利用し合う関係があればよいので、先行行為を後行者が積極的に利用し合う関係が見いだせれば承継的共同正犯の限定肯定説につながります。
 
 このように、承継的共同正犯の肯否に当たって、①因果性が遡及しない点を理由に否定説につながるのが因果的共犯論(この場合に承継的共同正犯を認めるためには、因果性を拡張して結果への因果性あればよいと論証する必要あり)、②相互利用補充関係が見いだせればよいので限定肯定説につなげられる相互利用補充関係説という違いが見出せます。 (さらに読む)
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刑法2-3-11甲の罪責 致傷結果が丙の加功後に生じたものと断定できる場合、問題文一段落目の甲のいきなり手拳でAを殴打した行為には何罪が成立するのでしょうか。この場合でも、①一連の行為としてまとめて検討して240条を成立させるのか、②二段落目の行為は介在事情として因果関係の議論に流すのか等が思いついたのですがどれが正解なのでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 この場合は、①になると考えられます。
 ここでは、殴打して財物を奪取しているものの致傷結果は生じていないので、まずは強盗罪となります(答案例12~15行目)。そのうえで、最終的に後半の行為が強盗致傷罪まで行くので、この強盗致傷罪に吸収されて強盗致傷罪一罪になると考えます。
 殴打行為は強盗罪で完結しているので、因果関係の介在事情とするのはあまり一般的ではないと考えます。因果関係が問題となるのは、実行行為と結果との間に介在事情がある場合ですが、殴打行為は強盗罪として結果まで一旦は完結しているので、介在事情とは言いにくいです。 (さらに読む)
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刑法2-3-9答案例67~69の記述が理解できません。 特に、事後強盗罪の本質は財産犯→窃盗という身分によって構成すべき犯罪になる流れが分かりません。どのような問題意識があるのでしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 67~69行目は、事後強盗罪を「窃盗」という身分が必要な身分犯と考えた場合(身分犯説)、身分のない人が身分犯に加功した場合には、身分のないその人にも身分犯が成立するという65条1項の処理をしています。
 まず、65条1項は、身分のない人が身分犯に加功した場合には、身分犯が成立するとしています。これを本問に当てはめると、窃盗の身分ない乙が、窃盗の身分ある甲に加功した場合には、甲と同じ身分犯である事後強盗罪になるという処理になります。

 さて、事後強盗罪の本質は財産犯→窃盗という身分によって構成すべき犯罪になる流れは、事後強盗罪と共犯の処理について身分犯説・結合犯説の対立があるところ、身分犯説を採り65条1項でシンプルに処理するという点を述べています。
 まず身分犯説は、事後強盗罪を真正身分犯と考えます(真正身分犯と考えない見解もありますが、試験対策では真正身分犯と考える説を採る方が処理が楽です)。この説は、事後強盗罪が「窃盗」でなければできない犯罪と捉え、真正身分犯だと捉えます。すると、窃盗でない者が事後強盗罪に加功した場合は、真正身分犯への加功として処理されます。この場合は、65条1項の述べる「身分のない人が身分犯に加功した場合は、身分犯と同じ刑で処理するよ」に当たるので、身分のない人も事後強盗罪で処断されます。
 この身分犯説の良いところは、65条1項でシンプルに処断できる点です。つまり、事後強盗罪を「窃盗」のみができる真正身分犯と捉えるならば、それに加功した身分のない人は65条1項の場面に当たるので、同条項でそのままシンプルに事後強盗罪成立とできます。

 この身分犯説に対し、結合犯説という考えもあります。
 これは、事後強盗罪を窃盗+暴行の2つの行為に分けることを重視します。すると、窃盗でない者が事後強盗罪に加功した場合には、暴行の部分に加功したと考え、前半の窃盗については承継的共同正犯として処理します。
 つまり、結合犯説は、窃盗→暴行という2つの行為に区切って事後強盗罪を理解するので、窃盗でない者が後から加功した場合には、後半の暴行に加功したと捉え、前半の窃盗については後から加功したとして承継的共同正犯のロジックで処理します。
 しかし、受験対策として考えるのであれば、承継的共同正犯という難しい解釈をする結合犯説よりも、真正身分犯からの65条1項で処理できる身分犯説の方が書きやすいとなります。

 このように、事後強盗罪の性質に絡んで、①「窃盗」という身分(主体)に着目して真正身分犯として処理するのか、②窃盗→暴行という2つの行為が続いている点にならって結合犯として処理するのかという問題意識があります。
 そしてここでは、事後強盗罪の本質は財産犯である→財産犯とは平たく言えば物盗りである→物盗りとは「窃盗」のことであるので事後強盗罪も「窃盗」という点に着目する→事後強盗罪とは「窃盗」という身分がある故に行える犯罪であるとイメージで、身分犯説を採用しています。 (さらに読む)
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刑法2-2-5横領罪の検討 講義内で「横領」のあてはめで、委託の内容を特定してそれに背いているか検討し、本問でも委託の趣旨に背いているので横領を満たすと説明されていました。ここで質問ですが、横領の定義①委託の趣旨に背いて➁その物につき・・・・処分する意思は、①を満たせば➁も通常満たすという関係なのでしょうか? 講義内でも、①を主に検討している感じがしたのですが、これは本問特有の話でしょうか。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 この場合は事案によりけりですが、①②は一応分けて検討した方がより緻密な分析になると考えます。①を満たせば通常②も満たす場合がほとんどと思われますが、念のため決め打ちせずに検討した方が無難です。

 本問では、委託をしてきたのがウイスキーの所有者(本犯被害者)ではなく、その盗品のウイスキーを持ってきただけの乙です。
 つまり、ウイスキーの所有者本人から委託を受けたのではなく、所有者ではない乙から委託を受けているので、本権の裏付けのない委託であっても「委託を受けて」といえるかという特殊性があります。そこで本問では、①が重点的に説明されており、ウイスキーを勝手に全部処分した点は争いなく②に当たるといえるので、さらっと流しています。 (さらに読む)
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民法2-3-3、問1後段、問2 どちらも言い分は金払えですが、法的構成が違います。問1後段では、解除構成で検討してますが、121条構成で、金払えの言い分を実現することは不可能なのでしょうか?両者の法律構成の使い分けについて教えてください。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 本問では、どちらも言い分は金払えですが、トラブルの性質が異なりますので、法的構成が違ってきます。 

 まず、問1後段では、Bの取消しによって遡及的無効(121条)となりますので、AC間は履行不能となります。すると、甲土地という物自体を引き渡すことはできなくなっているので、物が駄目ならお金で解決となり、履行不能からの解除と損害賠償請求を行います。
 ここでは、当事者がACであるところ、転売を受けたCは甲土地を入手できないので履行不能となり、この履行不能というトラブルを解決するために、債権法の規定である解除・損害賠償を使っています。そして、このAC間は問2の取消しの場合ではないので、121条構成とはなりません(理由は最後の方に後述します)。

 次に、問2では、BがAにあることないこと吹き込んでいるので、AB間には契約の当初から問題があったとして、錯誤取消し・遡及的無効&原状回復義務を法律構成として使います。ここでは、問1後段と異なり、解除は使わず、錯誤取消しと原状回復、それに加えて不法行為を使います。

 さて、両者の法律構成の使い分けとしては、①問1後段のAC間は履行不能からの解除&現状回復義務と損害賠償、②問2のAB間は錯誤取消しと遡及的無効&原状回復+不法行為という使い分けになります。
 両者の違いは、当初からトラブルがあったかor事後的にトラブルになったかという点になります。
 まず、①のAC間では当初はトラブルがありません。AはBを騙していますが、あくまでBを騙しただけであって、AはCを騙しておらず、Cも特にAから何かされたわけでもありません。しかしその後、Bが取り消したことで遡及的無効となり、履行不能となります。
 このように、当初は詐欺・錯誤・強迫といった意思表示のトラブルは当事者間(AC間)にないが、事後的に物を渡せなくなった等の場合には、事後的トラブルの問題と考えて、債務不履行(履行遅滞や履行不能、不完全履行)の問題とし、解除や損害賠償を使います。

 次に、②のAB間では、当初から錯誤・詐欺という意思表示のトラブルがあります。BはAにあれこれ吹き込んでいるので、Aは契約の当初から錯誤・詐欺という意思表示のトラブルを抱えています。このように、当初から錯誤・詐欺・強迫といった意思表示のトラブルが当事者間(AB間)にある場合には、取消しからの遡及的無効と原状回復(121条系のルート)となります。

 すなわち、「当初から当事者間に意思表示のトラブルある場合」には「取消し+遡及的無効&原状回復(121条系ルート)」、「当初は当事者間に意思表示のトラブルはないが事後的に債務不履行というトラブルになった場合」には「解除&原状回復(540条系ルート)+損害賠償(415条)」という使い分けになるのです。
 換言すると、当初からトラブルあれば取消し、事後的なトラブルであれば解除という使い分けになります。 (さらに読む)
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民法95条1項柱書きのあてはめで、主観的因果関係「基づく」と客観的因果関係「錯誤が・・・重要」がズレることはありうるのでしょうか? 例えば、主観的には因果関係がないが、通常人においてみると因果関係がある場合などです。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 両者は異なる要素であるため、ズレることも想定されます。

 まず、主観的因果関係とは、その表意者個人の認識を基準にして、その錯誤がなければその意思表示をしなかっただろうということを意味します。ここでは、その表意者の主観を基準にしています。
 次に、客観的因果関係は、表意者ではなく通常人を基準にした場合でも、その錯誤がなければその意思表示をしなかっただろうということを意味します。この客観的因果関係は重要性の要件とも呼ばれ、主観的因果関係がある場合でも、その錯誤が重要といえないのであれば要件を満たさないとなります。すなわち、その表意者であれば意思表示をしない場合でも、通常人を基準とするなら意思表示をするといえるのであれば、客観的因果関係(重要性)が否定されます。
 ちなみに、主観的因果関係がない場合は、そもそもその錯誤に基づく意思表示がないと考えられますので、主観的因果関係があるうえで(錯誤に基づく意思表示があるうえで)、その錯誤が重要か(客観的因果関係があるか)という流れになると思われます。

 したがって、例えば、売主を人違いで間違えたまま契約をした場合、表意者からすれば売主が違っているので意思表示しなかったといえる場合でも、通常人を基準とすれば意思表示をしても問題なかろうというのであれば、客観的因果関係(重要性)が否定され、錯誤の要件を満たさないとなります。
 この客観的因果関係(重要性)が否定される場合としては、売主や賃貸人の同一性の錯誤がそれに当たるとされています。 (さらに読む)
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刑法235死者の占有。殺害後に奪取意思が生じ、財物奪取した場合、被害者の生前の占有が、殺害行為者との間では要保護性ありとありますが、殺害行為者以外との間では要保護性がないということでしょうか?この理由の違いについて教えてください。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 挙げていただいた通り、殺害行為者以外との間では要保護性がない等を理由として、遺失物横領罪又は占有離脱物横領罪になると考えられています。

 両者の違いについては、刑法の法益保護機能と自由保障機能とのバランスから考えてみるのが一手です。
 まず、法益保護機能からすれば、殺害直後の被害者の占有は法の保護に値するとして、窃盗罪を成立させるべきだという価値判断になります。これは、殺害により被害者からその財物の占有を離脱させた自己の先行行為を利用して奪取したという一連性も重視することと相まって、窃盗罪にすべきとの価値判断になります。
 他方で、自由保障機能からすれば、何でもかんでも刑罰で罰すべきではなく、必要最小限にすべきだという価値判断になります。
 
 そこで、両者のバランスを考えて、殺害行為者との関係では生前の占有を保護して窃盗罪とし、それ以外の行為者との関係では窃盗罪までは成立させず、遺失物横領罪又は占有離脱物横領罪にとどまるとなります。 (さらに読む)
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2024年12月27日
勉強方法について質問です。 今年短答171点、論文不合格でした。 短答合格から論パタ講義を受講しており、残り刑法、行政法、商法です。 勉強時間としては週に平均20時間で1日に1時間短答過去問潰し、2時間論パタ受講です。 短答はギリギリの合格でしたので、今の進め方で良いのか、それともより良い方法があるのか教えてほしいです。 論文再現答案があるのでカウンセリングの機会があれば申し込みしたいです。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 まずは、予備試験のご受験、お疲れ様でした。
 短答に通過という点だけでも質問者様が頑張ってきたことが伝わってきますので、頭が下がる思いです。

 さて、学習の進め方としては、一旦は4S論パタの受講をメインで進めるのがよいといえます。
 短答は大きく分けると、①論文用の条文・解釈論の知識で解ける問題、②短答プロパー用の細かい知識を問う問題の2つに分かれます。このうち、①については論文対策でカバーできると省力化が可能であり、また、②を解く前提として①をしっかり習得する必要があります。
 そのため、まずは残りの論パタを受講いただき、論文対策を済ませるのがベターです。論文対策を正しく行って処理手順・重要基本事項を身につけておくと、上記②の知識が覚えやすくなると同時に、短答・論文ともに行き当たりばったりで問題を解き散らかすという危ない動作を減らすことができます。
 
 したがって、当面の間は論パタをメインに進めて論文対策を行い、処理手順・重要基本事項をしっかりと習得いただくのが短答対策にも直結します。 (さらに読む)
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2024年12月24日
既判力の4S処理で基準時について検討だけする場合と、検討かつ答案でも基準時について論述する場合の違いを教えてください。私見、2-4-3のように、前訴基準時に提出を期待できないような事実の検討ができる場合には基準時の論述をすべきなのかと考えています。
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ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 挙げていただいたように、基準時に係る処理を正面から行う場合には、基準時について論述する場合が多いです。
 既判力については、客観的範囲・主観的範囲・基準時(時的限界)と遮断効といったいくつかの領域でそれぞれの問題点が発生します。このうち、検討すべき問題点が発生する領域については、答案上はある程度厚く論述する場合が多いです。
 したがって、2-4-3のように、前訴基準時に提出を期待できないような事実の検討ができる場合には、基準時(時的限界)と遮断効に係る問題点を正面から検討するのが題意と捉えて、基準時をある程度厚く論述するとなります。 (さらに読む)
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2024年12月24日
4s図以外の答案構成①は必要ないのでしょうか? 私はむしろ①のほうが、得点に結びつきやすいと思っていて、その部分を練習できていないことが不安です。 ここでいう①とは以下のようなもです。 (ナンバリングを振ったミニ答案を作る、 問われている論点の名前を書き出す、 問題文の拾いたい事実に番号を記してミニ答案に反映する)
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 4S図以外の答案構成は、必要であれば作成・使用しても全く大丈夫です。その方が答案作成しやすいのであれば、むしろ使う方が得策と考えます
 挙げていただいたように、ミニ答案を作成するやり方であっても、質問者様にとってマッチしているのであればそのやり方で大丈夫です。
 
 答案構成のやり方は、唯一絶対のものがあるわけではなく、ご自身にマッチするやり方を採用いただければ問題ありません。4S合格者の私も、4S図自体は念頭に置いた上で、実際の答案構成自体は簡単な文章やメモ書きのような形で行うことの方が多かったです。
 そのため、挙げていただいたミニ答案のような形がやりやすいのであれば、それを無理に変える必要はまったくございません。 (さらに読む)
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2024年12月21日
[予備試験・司法試験]【2年受講プラン】中村充『4S基礎講座』を受講開始した者です。講義を聞いているといきなり4S(?)を開始したり、J所(多分裁判所のこと?)など、すでにある程度講義を聞いた者が対象者のように見えます。 質問は、 この講座の前に受けておく講義がなにかありますか? です
参考リンク
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 4S基礎講座の前に受けておくべき講義は特にありません。そのため、いきなりこの講座を受けていただいて大丈夫です。
 法律は全体がつながっている構造になっている面もありますので、はじめのうちは、4S基礎講座に限らず戸惑うこともあるかと思います。しかし、講義を受講していくうちに徐々に慣れていきますので、心配は不要です。

 一応、講義前の準備体操ということであれば、伊藤塾の伊藤真塾長の『伊藤真ファーストトラックシリーズ』という市販の入門書がございます。そのため、このシリーズを読んでみると講義にスムーズに入れると考えられます。 (さらに読む)
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2024年12月16日
刑法2-3-9 事後強盗罪の対等型共同正犯で正犯意思のあてはめで、甲の窃盗と乙の暴行(4s図)とありますが、甲に暴行の意思、また乙に窃盗の意思は考えなくていいのでしょうか?
参考リンク
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 ここは答案例63~64行目にありますように、最終的に甲乙に事後強盗自体の正犯意思を認定するという処理になります。

 本問では、甲が通帳を摂取した後に乙が加勢して暴行を加えていますが、問題文の下から7行目に「総ての事情を了解し」とあるので、甲乙は最終的に現場共謀で事後強盗自体を行うことについてまで共謀ありと読めます。
 そのため、最終的には甲乙に対して、事後強盗自体の正犯意思と共同実行の事実、故意を認定する処理になり、これを記述したのが答案例の63~65行目になります。 (さらに読む)
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2024年12月16日
刑法2-3-12 乙の共犯からの離脱→中止犯の検討について。本問で丙丁に強盗既遂罪が成立しているので、乙に共犯からの離脱を認めたとしても、中止犯の前提となる43条本文の「犯罪の実行に着手しこれを遂げなかった者」に乙が当たるのでしょうか。
参考リンク
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 この場合には、未遂犯の更に前段階の予備罪にとどまると考えられるので、中止犯にもならないとの処理になると思われます。
 
 共犯からの離脱が認められた場合には、離脱後の行為について責任を負わなくなります。
 本問では、仮に乙に離脱が認められれば、強盗の実行行為着手前に離脱する形になるので、実行行為についても責任を負わず、予備罪の限度で責任を負います。そして、予備罪には未遂犯を観念する余地がないため、この場合は予備罪のみで処断され、予備罪について中止犯とはなりません(最大判昭和29年1月20日)。

 挙げていただいたように、乙に中止犯が成立する場合とは、乙が実行行為を行ったが未遂に終わった場合ですので、実行行為着手後で結果発生前の離脱であれば、中止犯を検討する余地が出てきます。
 しかし、本問のように実行行為着手前に離脱する場合は、実行行為の責任すら負わないため中止犯とはならず、あとは陰謀・予備罪を検討します。この陰謀・予備罪については中止犯は成立しないとするのが一般的です。 (さらに読む)
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2024年12月12日
刑法の傷害罪で、問題文中に傷害罪の故意を否定するような特段の事情が書いてない場合、基本的に故意は認めてしまっても大丈夫でしょうか。
参考リンク
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 刑法の傷害罪で、問題文中に傷害罪の故意を否定するような特段の事情が書いていない場合には、その行為者の行為態様から故意が認められる旨を簡潔に記述すれば足ります。
 例えば、「甲の行為態様から、傷害の「罪を犯す意思」(38条1項本文)も問題なく認められる」という形で、基本的に故意が認められる旨を簡潔に記述するのが一手です。 (さらに読む)
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2024年12月12日
民法2-4-9 危険負担536条→567条に至る経緯が理解できませんでした。536条だと何がまずいのでしょうか?
参考リンク
ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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 本問で、536条ではなく567条2項・1項後段になる理由は、松茸の引渡債務の履行を提供したといえる点にあります。

 本問では、21日の午後8時には松茸を乙倉庫で引き渡せるように準備完了しているので、「債務の履行を提供した」といえる段階になっています。
 すると、567条2項は「債務の履行を提供した」場合の条文ですので、松茸を乙倉庫で引き渡せるように準備完了したという一連の事実が567条2項の適用場面に当てはまるとして、567条2項からの同条1項後段を使うという流れになります。

 536条は債務の引渡し前・履行の提供前の条文なので、本問の松茸のように「債務の履行を提供した」といえる段階であれば、567条を使うこととなります。 (さらに読む)
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