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2023年1月11日
刑法の論パタ2-1-1(上智大学法科大学院2007年度)の問題についてです。 (1)問題文のなおがきの事情は使わなくても良いのでしょうか。 保護責任者遺棄致死罪、不作為の殺人罪については成立しないと結論づけるとしても論述は不要なのでしょうか。 よろしくお願いいたします。
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ご質問ありがとうございます。

下記の通り、回答いたします。

(1)
 なお書きの事情は、おそらくですが不作為犯の検討を除外する趣旨だと思うので、答案例では敢えて使っていないのだと考えます。
 まず、なお書きの事情は、直ちに救命措置を講じてもAが助からなかったとするものですが、この事情はおそらく不作為犯に関するものと考えられます。
 すなわち、救命措置を講じれば助かったのであれば、壺を投げた後に助かるはずだったAを、このままでは死亡すると認識してYが殊更に放置したという事情を見出し、その事情に殺人罪の不作為犯を検討する余地があると思います。しかし救命措置は意味がない旨のなお書きとなっている以上、これは救命措置を講じれば助かった(≒壺を投げた後に、助かるはずだったAを殊更に救命しなかった不作為犯を検討せよとの誘導)という事実を排斥するものなので、本問の検討で、壺投げ後に殊更に救命措置を採らなかったという殺人罪の不作為犯の検討を排除する趣旨と考えられます。
 そのためなお書きは、本問で、壺投げ後に救命措置を殊更に講じなかったという不作為を受験生が深読みしてしまい、不作為犯を検討するのを防ぐための誘導だと考えます。
 このように考えることで、本問のなお書きは不作為犯ではなく、傷害致死罪と正当防衛の成否・共同正犯と正当防衛の処理という本問のメインテーマだけを集中的に検討できるように配慮されたものだと考えます。

(2)
 本問では、作為による傷害致死罪が成立することから、保護責任者遺棄致死罪・不作為の殺人罪は検討も論述も不要です。
 ここでは、Yが怒りに任せて壺を投げつけるという作為の形で犯罪を行っているので、作為犯を検討します。保護責任者遺棄致死罪・不作為の殺人罪は、いずれも期待された行為をしないという不作為犯なので、壺を投げつけた作為犯である本問では問題となりません。
 また、Yの主観面を見ると、怒りに任せているものの明確に殺意を持ってはいないので、殺人罪は罪名選択から外れます。
 
 このように、刑法では「犯罪となる行為を的確に抽出する」ことと、「抽出した行為について、その行為の性質や態様(客観面)、行為者の主観面を総合的に見て罪名を選択する」ことの2点がキモになります。
 そのため本問では、犯罪となる行為が壺投げつけという明確な作為であって不作為ではないという点、Yに殺意まではないという点を考慮して、保護責任者遺棄致死罪・不作為の殺人罪はそもそも選択・検討・論述しないのです。
 
 また(1)で見たように、なお書きの趣旨として不作為犯の検討を排除するものと考えられるので、この点からも保護責任者遺棄致死罪・不作為の殺人罪の検討は求められていないと考えます。
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2023年1月09日
4S論パタ民訴について質問です。 2-3-2にて、「請求」を特定するのに必要なのは「事実」のみであり、法的構成は裁判所の職責である以上、それを訴状に明示する必要はない旨の解説がありました。 しかし、2-2-1では、訴訟物たる環境権に基づく本問計画の実施差止請求権を「いかなる実体法上の権利なのか~特定されなければならない」とあります。 2-3-2の解説と矛盾するように思いますので解説お願いします。
ご質問ありがとうございます。

まず2-3-2の事案は、交通事故に遭ったので治療費等を請求したいというものです。この事案を抽象化すると、「契約関係にない当事者が損害賠償を求めている」となり、この場合の法律構成は法定債権たる不法行為だろうとアタリをつけることができます。
 そのため、不法行為という法律構成を裁判所に気づいてもらうためには、不法行為の要件に該当する具体的事実を訴状に記載すれば足りるのです。
 すなわち本問では、訴状を記載した弁護人・それを受領した裁判所の共通前提として、「契約関係にない当事者の損害賠償請求は、法定債権たる不法行為などが使われるだろう」というものがあります。そのため、本問のような交通事故案件は「契約関係にない当事者の損害賠償請求」であるので、不法行為の要件を基礎づける具体的事実を記載すれば、裁判所も不法行為という法律構成を正しく選べるのです。

 他方2-2-1の事案は、環境権に基づく実施差止請求をしています。この場合、上記の交通事故案件と異なり、そもそもどんな法律構成をするのかが不明です。つまり、交通事故案件の場合は法定債権たる不法行為が法律構成になるという共通前提があるのに対し、環境権に基づく差止請求の場合は、そもそもどの条文のどの要件を満たせばよいのかという法律構成の手掛かりが全くありません。
 そこでこの場合は、どの法律構成によるのかを裁判所に正しく伝えるために、いかなる実体法上の権利なのか(例えば、憲法13条の幸福追求権によるのかなど)を特定できるレベルでの事実の記載が必要です。
 本問の答案例32~34行目には、「訴訟物が如何なる実体法上の権利なのか、訴状の「請求の~原因」‥の記載等で特定されなければならない」とあります。
 これは法律構成(実体法の権利)について、どの構成で行くのかを請求原因事実の記載によって特定できるようにすべきである旨を述べており、これは2-3-2と同様、法律構成を正しく匂わせる具体的事実を記載するように求めるものです。
 
 つまり両問とも、法律構成を正しく選択できるように具体的事実を記載すべきという点では同じです。
 2-3-2の場合は、交通事故案件では法定債権たる不法行為が法律構成になるという共通前提があるので、不法行為の要件を基礎づける具体的事実を記載すれば足ります。
 他方2-2-1の場合は、環境権に関してどの法律構成で行くのかという共通前提がないので、いかなる実体法上の権利で行くのかが分かるレベルで具体的事実を記載するように求めているのです。
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未回答の質問
4期商法の製本テキストは会社法改正されてますが、pdfも改正されたファイルをいただけますでしょうか。
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2022年11月23日
「元データ」をダウンロードしたところ、行政法と刑訴法で、書込のない論パタ用テキストデータがございました。他の5科目についても書込みのないデータをいただきたいです。
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このたびは、ご回答までにお時間がかかりご不安な思いそして学習面でご迷惑をおかけし申し訳ございません。

書き込み無しのテキストデータについてご用意をさせていただきました。

【第3期】4S基礎講座受講ページの「この講義について」に「・テキストデータ・音声データのダウンロード」という見出しがございます。
そちらに「書き込みなしデータダウンロードページ」というものをご用意いたしました。
そちらから、ダウンロードいただければと思います。何卒よろしくお願い申し上げます。 (さらに読む)
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2022年10月03日
民訴法の条解テキストの元データで、38条から53条の分が見当たりません。ご確認頂けますでしょうか
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平素よりお世話になっております。
BEXA事務局でございます。

ご回答が遅くなり、
大変申し訳ございません。

ただいま確認しておりますので、
お時間いただけますでしょうか。

ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんが、
何卒よろしくお願い申し上げます。
(さらに読む)
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未回答の質問
再受講プランとアップデートプランの違いが分からないため、御教示いただけますと幸いです。
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未回答の質問
平成28年度予備試験の書き方で:をつける方法を教えて下さいましたが、この方法は司法試験で同じような設問が出た際にも使っても大丈夫でしょうか。
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2022年5月11日
民法2-2-1 1 設問1(1)でAが無効を主張できるかについて、「無効が取消しとは異なり主張者を限定していない(120条参照)ことからAも主張しうる。」でも問題はないでしょうか?
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本問は相対的無効であるため、「無効が取消しとは異なり主張者を限定していない(120条参照)ことからAも主張しうる。」とは書かない方が良いです。
 
 94条の無効は、表意者保護のためのものであり、表意者本人は主張できるが、それ以外の者からの無効主張は制限されるという相対的無効です。
 そのため、相対的無効との関係で、表意者でないAも無効主張できるかという問題が出てきます。そして、Aの主張を認める必要性等から、Aの主張を認めます。
 「無効が取消しとは異なり主張者を限定していない(120条参照)」というのは、絶対的無効の場合なので、この場合にこれを記述すると、94条が相対的無効であることを理解していないと採点者に思われるので、書かない方が良いです。 (さらに読む)
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2022年5月12日
民法2-1-2 設問2(1)の責任財産減少について、登記の移転まではしていなかった等の事情があった場合には結論が変わりうるのでしょうか? 設問2(2)で424条の5は使えないのでしょうか?
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質問前段
 これは、事案によりけりだと思いますが、登記移転が無かったとしても、甲土地の売買契約があること自体が財産流出に直結するので、売買契約だけで登記移転が無い場合でも責任財産減少あるとして、詐害行為があるとなるでしょう。
 本問では、売買契約後に登記移転しているので、詐害行為として売買契約を取消し、そのうえで甲土地の登記を債務者Bのもとに戻します。
 
 他方、もし登記移転が無かった場合でも、売買契約自体はあるので、この契約を詐害行為取消権で取り消すという流れになります。
 契約さえ否定すれば、甲土地は債務者Bの所有権下に戻るので、登記移転が無い場合でも詐害行為取消権を行使する実益は大いにありますし、売買契約自体で甲土地所有権はCに移転しているので(176条)、売買契約をしただけでも十分に詐害行為と言えるからです。

 
質問後段
 設問2(2)で、詐害行為取消権の対象とできるのは、あくまで債務者・受益者間の行為です。
 本問では、債務者B・受益者Cであることから、取消し対象とできるのは、あくまでB・C間の行為であり、C・D間を対象とすることはできません。そこで、債務者をCと見立てて、詐害行為取消権を行使しています。
 
 424条の5は、債務者・受益者間の行為を対象として無効にし、転得者へは債務者・受益者間の行為が無効であるがゆえに返還を求めるという条文です。
 つまり、本問で424条の5を使うのであれば、債務者B・受益者CをターゲットにしてBC間の行為を詐害行為で取消し、転得者Dに対しては、BC間が無効なので甲土地を返せという構成になります。
 しかし本問では、BCではなく、CDを詐害行為取消しのターゲットにしているので、424条の5は使えません。同条が使えるのは、債務者B・受益者CをターゲットにしてBC間の行為を取消し、転得者Dに対して、BCが無効だからDも権利取得が無いので返還せよという場面です。つまり、債務者でないCDを直接のターゲットにはできず、同条は使えません。
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未回答の質問
オプション中村充「4S基礎講座」7目で、アップデートプランと、再受講プラントは、どう違うのでしょうか?教えてください。
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未回答の質問
4Sのアップデート 1,2期と4期は内容的にかなりの違いがあるのでしょうか? 説明を見ると結構あるような書き方ですが
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未回答の質問
第4期条解テキストはそれまでのものと比べ、誤字や誤植等は訂正されるのでしょうか?
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2022年6月01日
論パタ民法2-3-5において、Eに特定遺贈がなされた以上ワイン工場は相続財産から除外され、単独相続の承認があってもBは無権利者となり、そのBから工場を得たFもDも無権利にならないのでしょうか?
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相続と物権変動についての考え方によりますが、そもそも特定遺贈により、ワイン工場は相続財産に含まれないという見解もありえなくはないです。(BがAの包括承継人なのでEはBに対して相続財産にワイン工場が含まれていないと主張するのに登記は不要であるということを重視すればこの考え方もあり得ると思います。)もっとも、その場合書くことがほとんどなくなってしまうので試験上は点数が稼げないと思われます。一つの考え方としてですが、いわゆる不完全物権変動(移転登記を了するまでは完全な所有権を取得しない)を前提とすると、やはり、BとEに不完全な所有権がある状態で、典型的な二重譲渡の事例と異なるので分かりにくいですが、BはAの包括承継人なのでEとFが二重譲渡類似の対抗関係にあると考えるのが座りが良いと思います。 (さらに読む)
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2022年6月01日
民法論パタ2-3-5第二問について、567①により解除等一切不可と考えたのですが、この筋は誤りでしょうか。
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2-3-5第2問については本問では危険負担における滅失等の時期が引渡し前なので、買主による危険負担の場面ではないので567①の適用はないと思われます。 (さらに読む)
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2022年7月04日
民法論パタ2-2-3問(2) 137条1号の類推(又は趣旨の適用)によってBが残代金債務の期限の利益を主張することは許されない(Aは295条や533条を主張できる)、という論理展開は加点になりますか。
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同条の趣旨は債務者の財産状況が悪化した状態において期限の利益を認めると債権者の利益が不当に害されることから、期限の利益の喪失を認めたものですから(民法の基礎1第4版327頁)、債務者の財産状況が悪化していると考えられる本問でも類推の基礎はあるように思われます。したがって法的根拠を137条類推適用として、参考答案に近い論理展開で回答しても加点は得られるものと思われます。 (さらに読む)
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2022年6月01日
民法論パタ2-3-6問(3)について 金銭請求につき703条構成をとられていますが、単純に249条2項を用いることはできないのでしょうか。
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249条2項については、今年の試験では改正法が出題範囲に含まれないので249条2項がないものとして判例同様不当利得による処理となりますが、改正法が出題範囲となった後はご質問の通りの処理でよいと思います。 (さらに読む)
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2022年6月01日
先月から4S講座を受講しております。初学者です。 論文講座では、4Sを①から書きながら、同時に答案作成しておりますが、現場では4S作成を1から4までしてからの答案作成になりますか?
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試験現場では、4S図を書かなくても答案構成ができてしまう状態になっている合格者もいますし、そうなるくらい論文過去問を繰り返し解くことが合格に近づくことになります。ただし、問題によっては4S図から書いたほうが整理しやすい場合もあるので、現場で解答筋が思いつかず困ったときに4S図から書くと効果的でしょう。 (さらに読む)
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2022年6月01日
民法論パタ92回について EのDに対する192条説主張について、いくら188条による無過失の推定が働くとしても、本問売買時点において甲につきD抵当権登記が存在する以上、無過失が覆らないのでしょうか。
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無過失が覆らないかという点については、まず、無過失の対象が問題となります、本件では無過失が推定されるのは前占有者の権利の適法性(論パタ92回48:20あたり~)です。過失の有無はいわゆる規範的要件ですが、抵当権の設定の登記があるだけで過失を基礎づける評価根拠事実となるというのは難しいと思われれます。抵当権が設定されているのはあくまで甲であって庭石ではないですから、庭石を買うときにその所在地の登記を確認する調査確認義務があるとまではいえないように思います。 (さらに読む)
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2022年6月01日
論文の書き方について 前に書いたことを繰り返すときに、先生は「前記第1の1」など丁寧に記載されますが、やはり「前記のとおり」だけですと採点に差がでるのでしょうか。試験時間との兼ね合いから迷っています。
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引用は正確にすればどの部分か採点者に伝わりやすいですし、4Sの参考答案では記載した内容をそのまま引用する形になっていますのでそのほうが望ましいと考えられます。もっとも合格答案や再現答案の多くがご質問にあるような「前記のとおり」等といった記載で済ませているところもありますので、実際の答案では必ずしも厳密に引用しなければならないわけではないと思われます。採点への影響ですが、正確に引用したほうが加点をもらえる可能性はありますが、そこまで大きな差はつかないと思われますので、試験時間内に答案をまとめることを優先するなら「前記のとおり」と記載して問題ないと思われます。 (さらに読む)
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2022年5月12日
ロースクールに通いながら受講しております。 進め方に悩んでおります。 どう進めればよろしいでしょうか? どうぞよろしくお願い致します。
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まずは、ローの授業がある平日に、4S論文解法パターンの受講を進めて下さい。平日は時間が取りにくいと思うので、講義の受講だけで大丈夫です。可能であれば、3時間ほど講義の受講に充てられると理想的です。
 論パタの受講に当たっては、「問題文のどこを読み、どんな風に考えれば書くことを思いつけるか」を強く意識して、受講しましょう。4Sのウリは解法パターン・思考プロセスの言語化にあるので、問題に対する考え方を意識して受講して下さい。

 そして、ローの授業が無いであろう土日には、①講義受講がある程度進んでいれば、受講した部分の復習を行う、②講義受講が芳しくなければ、まとめて受講するといういずれかを選択して、実行してください。
 復習としては、論パタ掲載の問題を思考過程を意識しながら、解いてみて下さい。講義内容を無理に思い出すのではなく、「問題文のどこを読み、どんな風に考えればよいか」を意識して、解きなおしてみましょう。
 要するに、「同じ問題を忘れたフリして何度も解く」ことで、知識だけでなく思考回路ができてきます。

 受講する科目としては、質問者さんがローで今習っている科目から優先的に受講して下さい。1科目分の受講が終わった段階で、その科目の復習と新科目の講義受講を並行して進めて下さい。
 
 また、ローの予習・復習としては、無理のない範囲で付き合えば大丈夫です。ローの授業や課題は、深入りすると泥沼になるので、つかず離れずくらいがちょうどいい塩梅です。
 結局のところ、条文や規範の記憶・基礎的な問題の網羅的な演習・過去問演習が合格に最も寄与するので、それらに役立つ限度でローの授業を活用しましょう。
(さらに読む)
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21-40/49 2/3
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