近年の司法試験行政法は、基本的な問題ではあるものの、問題文の分量が多く、処理量が多いという傾向になってきています。そのため、短時間で答案を最後まで書き上げるには事前に個別法の条文を読む視点を知っておく必要があります。
そこで、本講義では、行政法の過去問を分析すると同時に、個別法の条文をどのように読んでいくのかについて問題文を読み進めながら、どこの条文のどの要件に注目するかを検討します。要件や効果については条文の構造などからどのように解釈をするのかを含めて解説を加えています。
個別法の読み方というと単に、建築基準法などの法律の読み方を指すように思う方も多いと思います。しかし、司法試験でも実務でも法律では大枠しか決めておらず実際の運用の基準は施行令や施行規則などの政省令、法律の委任を受けた条令などの法規、そして、要綱や通達など内部規則により具体化されています。こうした法令の構造などは、行政法の授業でも判例学習などでも抽象的にしか行っていないことが多いと思います。
しかし、司法試験では、こうした法令の構造を理解してどこが問題になっているのか、事実関係との適用関係などを検討することになります。そのためこうした理解は必要不可欠なのです。
そこで、本講義では過去問を使って過去問の分析という具体的な法令の構造の理解と適用を示しながら、一般抽象的などの問題でも使えるような法令の読み方の基礎的な手法も提供しています。
本講義を受講すれば初見の問題に対するアプローチ方法や視点、相場観などを習得することが可能になります。多くの条文から、何を糸口に紐解いていけばよいのか学ぶことが可能になります。
担当講師は平成27年予備試験行政法A評価、平成28年司法試験行政法A評価で合格された清水啓示先生です。
行政法の論文試験では多少順番の差はあれど、設問・会議録・事案をしっかり読み、論点を明確にしていれば解答を大きく外すことはないと言われています。解答の筋は間違えていないはずなのに点数が伸びないのはなぜか、苦手意識が払拭されないのはなぜか。
それは行政法には他の科目にはない「個別法解釈」があるからではないでしょうか。判例集や基本書で知識を習得しても、行政法の論文試験ではそのまま役に立つということはそう多くはありません。点数の多くは個別法を用いた要件充足性や効果の有無の検討、条文構造の理解や制度趣旨を分析する、「個別法解釈」に多くの点数が割かれている場合が多いです。
⇒本講義で行政法上位合格者の「個別法解釈」メソッドを習得することで、深い検討・分析が可能になり、点数を伸ばし、行政法を得意科目にすることが可能です。
行政法の点数が伸びない人、苦手意識を持っている人に多く見られるのが、事案や誘導から論点はわかるけれども、答案構成で思考が止まってしまうという点です。その原因は、条文を紐解く入口、手がかりをつかむことができないからではないでしょうか。
入口・手がかりをつかむことができないために条文をザッと眺めても、何から紐解けば良いのかがわからず、答案構成が詰められないまま答案を書き始めてしまうという悪循環に陥ってしまいます。
⇒本講義では、大量の条文の中からどのようにして手がかりを探すのかというアプローチ方法を解説しております。そのアプローチ方法を習得すれば思考停止に陥るリスクを減らすことが可能です。
行政法の個別法解釈は行政法特有の出題傾向といえます。刑法のようにあらかじめ出題範囲が類型化されているわけでもなく、民事訴訟法のように概念や趣旨を暗記・理解して解答するというものでもありません。
ほぼ初見の条文から、その制度や構造を紐解き、文言と文言をつなぎ合わせ、解釈をしなければならないのです。いくら判例や行政法概念を覚えても論文試験で点数が伸びない理由はここにあるのではないでしょうか。行政法の個別法解釈は超現場思考が求められるものなのです。
⇒本講義は司法試験行政法の過去問を用いて現場での思考の流れを追っていく講義です。条文と条文の間、文言と文言の関連性などの現場思考能力を高めることが可能になります。
本講義は個別法の読み方や視点を鍛えることに特化した講義になります。
司法試験行政法論文式試験過去問平成23年~平成28年の6年度分の問題文を使用します。
特にレジュメや参考答案はつきません。ご受講の際には、お手元に各該当年度の問題文をご自身でご用意ください。
平成28年~平成23年後半まで(全12回) 全回配信中
講義時間:
約6時間40分
配信状況:
全講義配信中
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