第2回:自分達の「商品」を知らないと顧問契約はとれない

2015年12月28日  

一般記事 - 瀬本 博一『弁護士「新時代へのマーケティング」講座』 - ビジネスモデルの神様が伝授する「儲かるしくみ」

「素材」を売ろうとして「商品」を売らない弁護士さん

 皆さんこんにちは。マーケティング・コンサルタントの瀬本です。本連載は「弁護士さんが中小企業の顧問先を増やし、収益を上げる」為の講座です。


 さて、判例や六法を昼も夜も勉強して「さあ、お客さんいらっしゃい」と言っても誰も来ませんよね。なぜなら知識や経験は「素材」であって「商品」ではないからです。弁護士事務所のホームページを見ると、そのほとんどが「コンプライアンス構築、企業法務、紛争解決、M&A、企業再生」などと「素材」だけを紹介していますが、「商品」がどこにも紹介されていません。法律事務所の名前が違うだけで内容はほぼ同じ。だから知り合いに「誰でも良いから弁護士を紹介して」と依頼して顧問契約をしてしまう。つまり人脈でしか顧問先が拡がらないのです。(もっとも人脈はとても大事です)

 例えば初めて入ったレストランで「この玉葱は新鮮でおいしいですよ。いかがですか?」と言われても戸惑ってしまいますよね。あるいは「これをそのまま炒めて玉ネギ特有の甘味を体験してもらいます。5千円です。」と言われてもピンとこないし、不安になる。なぜなら、料理のビジュアルや味をイメージできず、5千円の価値があるかどうか判断できないから。でも、TVに出ている有名シェフから同じ事を言われると期待値が上がって「お願いします」と言ってしまうかも知れません。なぜなら、そのシェフ自体が「商品」だからです。弁護士さんも同じ事。一生懸命に素材の良さをアピールしてはいるものの、顧問契約したい会社には伝わらない。会社側からすれば「この弁護士に依頼すれば、会社の未来はこうなる」がイメージできない。だから顧問契約まで結びつかないのです。
 

 「自分達が売るべき商品がわからない」ではビジネスはできません。繰り返しますが、「企業法務」とか「紛争解決」は商品ではなく素材、あるいは方法論です。ということで、今回も含めてしばらくはマーケティングの出発点である「弁護士にとって商品とは何か?」を理解して頂きます。それを知らないでは、どんなにマーケティング手法を学んでも顧問先を増やし、収益を上げることはできませんから。

 

 

弁護士が提供する「商品」とは会社や経営者の明日

 素材と商品の違いを別の言葉で言い換えれば「モノ」と「コト」の違いということになります。生命保険は「モノ」(素材)であり、それに入ることによって「安心するコト」が商品。高級ワインは「モノ」であり、それを飲むことによって「幸せな気分になるコト」「ステータスを感じるコト」が商品です。人はその「モノ」を買ったり、飲んだりして得られる成果(コト)にお金を払うのです。もうわかってもらえましたか?弁護士による紛争解決は「モノ」「手段」であり、そのことによって「安心してビジネスに集中できるコトが商品です。あるいは従業員からの残業代請求訴訟を解決することは「モノ」であり、それによって「訴訟問題が解決するだけでなく、今後も労務問題に振り回されなくなるコト」が商品です。つまり会社や経営者の明日を創ることが弁護士の商品なのです。目の前の問題やニーズの解決が商品ではありません。それがわからないと単発の問題解決受注で終わり、顧問契約にはつながりません。都合良く利用されてお終いとなるでしょう。


 どのような業種でも顧客は良い商品かどうかはわからないものです。ましてや性能なんかわからない。でも、その商品を買うとどうなる?何を得られる?がイメージできれば購買するもの。弁護士も同じで「この弁護士さんを顧問にすれば会社の未来はこうなる」ということがイメージでき、期待値が上がれば顧問契約に結びつく可能性がグンと上がります。つまり、経営者がワクワクするような提案ができれば顧客は増えるのです。

 

 本稿も冒頭2行に商品部分を紹介しました。例えばその部分に「弁護士の為のマーケティング手法を紹介します」というように素材を紹介しても、おそらく興味を持って読んではもらえなかったでしょう。

 どうですか?「商品とは何か」を理解できましたか?これまでの説明で分からなかった人(これだけの説明で分かった人は逆にビジネス感がある人でしょう)の為に、次回はもう少し分かり易く、詳しく「商品とは何か」「どうすれば売れるのか」を説明します。1月15日にアップしますので、その時にまたお会いしましょう。

講師紹介

瀬本 博一

米国PWU大学院でPh.D(経営学博士号)を取得。

1957年生まれ

米国系コンサルティング会社主任コンサルタントを経て

㈱CESを設立。代表取締役。

2000年に弁護士、税理士等の全国組織「NPO法人PRENET21」を設立し、

事業再生の第一人者として中小企業の競争力UPを指導。300社にのぼる会社を優良企業に成長させた実績を持つ。

近年は弁護士事務所や税理士事務所のビジネスモデル改革を指導し、収益力UPを実現。

15社の社外取締役等も務める。

著書に「御社だけのビジネスモデルを創りなさい」「CLマネジメントの時代」「事業承継の考え方と実務」他多数。経済誌「コロンブス」にて事業再生ノウハウを連載中。
 

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