第13回: 経営者はNo2を求めている 顧問先にないピースを埋めれば「パートナー型」契約がとれる

 皆さんこんにちは。マーケティング・コンサルタントの瀬本です。本連載は「弁護士さんが中小企業の顧問先を増やし、収益を上げる」為の講座です。

 

顧問先に足りないピースを埋めてあげよう

 前号では、4つの契約パターンを紹介しました。「プロジェクト型」は大きな収益が得られる半面、狩漁型ゆえの不安定さがあり、「ワークショップ型」で食べていける人は少数、「アドバイス型」はプロジェクト案件を取る為の手段であり、高い収益は見込めない。そして安定して高収益を得られる農耕型の「パートナー型契約」の領域が空いていることを紹介しました。

 でも、そう簡単にパートナー型契約が取れないからこそ、この領域が空いているわけです。なぜか?それは、良く言えばリーガル面のプロフェッショナル、悪く言えば「専門バカ」だと経営者が思っているからです。したがって、経営者は専門家には、その専門領域に関するアドバイスを求めます。それは、決して弁護士が経営面を理解しているとは思っていないからです。それはそうですよね。自分で会社を経営したわけではなく、ましてや資金繰りの苦しみを味わったこともない、単に「法律に詳しい人」でしかない弁護士に経営の相談をするはずはありません。

 でも、会社には必ず人材面の空白、足りないピースがあります。そして、その多くがNO2的な人財です。このような人を雇おうとすればかなりの高額な給与を払わなければなりませんし、また、そのような人財が中小企業に来てくれるはずもありません。せいぜい、大企業をクビになったか、リタイアした人であり、大企業の管理職だったことだけが唯一の自慢である人しか雇えないのが実態。

 

使えない大企業出身者

 このような人達は組織で動く大企業では通用しても、オールラウンドに経営面を見ることを求められる中小企業では通用しない人達です。大企業時代の人脈を駆使してどんどん契約をとってきてくれれば素晴らしい「人財」ですが、それができずに、ただ座っているだけで、大企業の管理職気分が抜けずに部下に指示を出し、それを管理することしかしない「人在」が大半。それでも良い方で、心の奥では中小企業を上から目線で見て「前の会社ではこうだった、こんなこともできていない」と自分が構築したわけでもない大企業のしくみを見よう見まねで中小企業に押し付け、会社に混乱を招くような「人罪」がすごく多いのです。それでも中小企業の経営者は懲りずにこのような人罪を採り続けています

 

それでも経営者はNo2を求めている

 オーナー経営者の下には、社長の顔を見て仕事をする幹部が大半。確かにそのような番頭を求めている経営者がほとんどです。一方で経営者は心の奥では自分と対に意見をぶつけてくれる人財も求めています。しかし、そのような人財は社内では育ちません。社長にモノ申すような社員は役員になれないからです。それではどうするか?私は経営者達に「それなら外部にNo2を置けばいいじゃないか」と指導しています。外部の人材であれば、今はやりの「第三者の厳しい目」で経営者にモノ申すこともできるし、内部の役員に招くより安い費用で済む。気に入らなければ切ることもできる。さらにそれこそ別業種の目で種々のアドバイスをしてもらえる。そのような立場でのNo2は弁護士に向いている役割なのです。

 会社には内部にいるNo2と外部にいるNo2が必要です。内部のNo2は番頭として、外部のNo2は経営者の参謀として。そして、後者のピースが埋まっていないのです。これを「パートナー型契約」で埋めることができれば、競合弁護士と差別化された弁護士となれます。

 とは言え、弁護士であれば誰もがN02になれるわけではありません。中小企業の経営者が求めるアドバイザーとはどんな人でしょうか?次回7月4日では私の体験を通してパートナー型契約を取れる人財の条件をお伝えします。

 

講師紹介

瀬本 博一

米国PWU大学院でPh.D(経営学博士号)を取得。

1957年生まれ

米国系コンサルティング会社主任コンサルタントを経て

㈱CESを設立。代表取締役。

2000年に弁護士、税理士等の全国組織「NPO法人PRENET21」を設立し、

事業再生の第一人者として中小企業の競争力UPを指導。300社にのぼる会社を優良企業に成長させた実績を持つ。

近年は弁護士事務所や税理士事務所のビジネスモデル改革を指導し、収益力UPを実現。

15社の社外取締役等も務める。

著書に「御社だけのビジネスモデルを創りなさい」「CLマネジメントの時代」「事業承継の考え方と実務」他多数。経済誌「コロンブス」にて事業再生ノウハウを連載中。
 

ビジネスモデルの神様が伝授する「儲かるしくみ」バックナンバー

講師著作の紹介

2016年6月16日  

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