皆さんこんにちは。マーケティング・コンサルタントの瀬本です。本連載は「弁護士さんが中小企業の顧問先を増やし、収益を上げる」為の講座です。
マーケティングの基本的な法則に「緊急性と重要性の法則」というものがあります。商品、サービスの購入動機はこの2つのいずれかです。緊急性とは文字通り「緊急性を要する問題」を解決する為のものであり、重要性は同じく「重要な問題」を解決する為のものです。
皆さんはどちらがビジネスに直結すると思いますか?すでに小見出しに答えを書いてしまいました。ほとんどの場合、「緊急性」を解決できる商品やサービスが売れ、「重要性」を解決できるものはあまり売れないのです。
例えば歯科医院に通う患者のほとんどは緊急的な問題、つまり歯の痛みを解決する為に来院します。つまり緊急ニーズによって来院します。ということは緊急ニーズが無くなれば来院しなくなるわけです。実際、多くの医院では「とりあえずの痛みは抑えたけれども、根本的な治療はこれからです」と説明して次回の予約をもらったにも関わらず、かなりの割合でドタキャンが発生しているようです。
つまり緊急性は解決したけれども重要性は解決していないにも関わらず、ニーズが緊急から重要に変わった時点で患者の来店動機が薄れてしまったわけです。ここで必要なのは「重要性を緊急性」に変えるしくみです。これはそれほど難しくありません。「今、一時的に痛みは止めていますが、次回からは根本的な治療を行います。もし、それをしないと大変なことになりますよ」と脅せば良いのです。その大変さがどれほどのものかをリアルに話せればほとんどの患者はリピートします。
「緊急性」が購買動機を創ります。でもリピートには繋がりません。リピート率は「重要性」もしくは技術力や接客態度や評判等の付加価値によって高まるのです。しかし、前述したように重要性だけではリピートが生まれません。なぜなら人は別の緊急性の解決の方を優先するからです。だから、多くの企業は「緊急性」から「重要性」へとリンクさせるビジネスモデルを必死に考えるわけです。そして、緊急ニーズを満たす為の「集客商品」を揃え、重要性に導いて「収益商品」を売るのです。
弁護士事務所も同じです。人や法人は「緊急性」を解決する為に弁護士に相談や依頼をします。上記のような法則を知っている弁護士事務所は、それを「重要性」に変えるビジネスモデルを創り、収益商品に相当する「顧問契約」まで導きます。弁護士の多くは狩猟型ビジネスをしています。狩猟型とは緊急ニーズにフォーカスしたビジネスモデルです。しかし、それでは事務所の経営は安定しません。農耕型、つまり「重要性」にフォーカスすればするほど安定した経営ができるようになります。
顧問契約を取る方法も歯医者と同じ。会社の緊急性を解決し、顧問契約による根本治療を提案することです。根本治療とは2つしかありません。1つは「リスクヘッジ」、2つめは「業績UP」です。前者を行う為の顧問弁護士は多くいますが、後者を行える弁護士はほとんどいません。
レッドオーシャンからブルーオーシャンを目指すならば後者を選択することです。その方法はこれまでの連載で紹介しましたよね。それでもピンとこない、具体的に聞きたいという人は私のところに相談に来て下さい。下記にメールをもらえれば、いつでも相談にのります。
メールアドレスはsemoto@cesm.jp
最近、弁護士からのコンサルタント依頼が増えています。本講座はこれで終了しますが、これを機に、やる気のある若手弁護士さんの収益を上げて育てて行きたいと思っています。直接会ってもっと具体的なマーケティング手法を伝授するセミナーも企画したいと思います。それではその時にまたお会いしましょう。
最後に一言、「出口を制する者がビジネスを制する」のです。
米国PWU大学院でPh.D(経営学博士号)を取得。
1957年生まれ
米国系コンサルティング会社主任コンサルタントを経て
㈱CESを設立。代表取締役。
2000年に弁護士、税理士等の全国組織「NPO法人PRENET21」を設立し、
事業再生の第一人者として中小企業の競争力UPを指導。300社にのぼる会社を優良企業に成長させた実績を持つ。
近年は弁護士事務所や税理士事務所のビジネスモデル改革を指導し、収益力UPを実現。
15社の社外取締役等も務める。
著書に「御社だけのビジネスモデルを創りなさい」「CLマネジメントの時代」「事業承継の考え方と実務」他多数。経済誌「コロンブス」にて事業再生ノウハウを連載中。
2016年9月2日
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