第7回: 他業種とのコラボで実現できる総合医への道

 皆さんこんにちは。マーケティング・コンサルタントの瀬本です。本連載は「弁護士さんが中小企業の顧問先を増やし、収益を上げる」為の講座です。

 

全てを自分でやろうとするな。作業員から脱皮せよ。

 士業の悪い癖が2つあります。ひとつは「これは専門だがこれは専門ではない」「これはできるが、これはできない」として依頼業務を選別してしまうこと。2つめは「一から十まで自分でやろうとする」ことです。

 顧客を増やせない士業の方を見て下さい。ほとんどがこのクセを持っている。そのくせプライドだけは高い。「他の弁護士に相談した」とか言われるだけでいやな顔をします。人の力を借りたり、組もうとはしない。

 弁護士に限らず質の高い業務をしている人は必ず他者と組んでいます。ひとりで全てをやっている人に限って「忙しいのに儲からない」と言って悩んでいる。業績が振るわない中小企業の社長の多くは「自分がやらなければ進まない」と言って忙しく現場を飛び回っています。飛びまわれる範囲は限られているのに自分でやらなければコトが進まない。「経営」ではなく「作業」をしています。自然、思考は狭くなり短期的になる。結果、大きな仕事ができずに「作業員」になってしまっている。こうして負のスパイラルに陥ってしまうのです。

 私はそんな経営者には「その仕事は外注に出しなさい」「もう一人の自分を雇いなさい」と指導しています。外注費や人件費がかかっても、それ以上の収益が生まれれば良いのですから。弁護士業も同じです。あなたは大丈夫ですか?

 

「総合医」になるための2つの方法

 企業コンサルタントの世界では専門医は作業員です。オーケストラで言えばバイオリン奏者であり、ピアノ奏者。それぞれが優秀なプロであってもオーケストラでは指揮者の下で限定された役割を受け持っている立場です。作業員と同じ。もちろん、一流の医者や奏者であれば一人で演奏会を開けますが、相当な自信と覚悟が必要です。

 一方、総合医は指揮者です。それぞれの楽器については専門家ではありませんが、専門家をまとめて大きな演奏会をリードします。マネジメントが役割です。企業顧問の役割は専門家(作業員)ではなく、専門家をまとめる(マネジメント)仕事です。

 総合医になる方法は2つ。

① 「全てができる総合医になること」。
② 「他者あるいは他業種と組むこと」
です。

 ①は本物の総合医ですが、そうなる為には時間がかかります。でも指揮者がピアノやバイオリンの専門家である必要はないでしょう。ただ、一通り分からなければ指揮もとれませんので、いずれ本稿の読者を対象に、総合医になる為のセミナーを開講するつもりです。

 総合医になるには②が早道です。今でも多くの法律事務所では会計士や社労士と組んではいますよね。でも、それは当たり前。差別化にはなりません。私が言うのはもっと多くの専門家とのネットワークを創ることです。再生の専門家、M&Aの専門家、投資家、ビジネスマッチングの専門家等、企業の業績を上げたり、悩みを解決できる専門家を全て揃えることです。

 私はこの仕組みを創りあげたことによって、顧問企業のニーズや悩みを全て解決することができるようになりました。私を顧問にすることで、経営者は私のネットワークを使えますので、何十人の専門家と契約するのと同じことになります。そうであれば、20万、30万の顧問料は安いものです。全国の私の専門家と企業ネットワークを使ってビジネスを拡大できるのですから。では、どうすればそのようなネットワークが創れるかについては次回、4月1日に。

講師紹介

瀬本 博一

米国PWU大学院でPh.D(経営学博士号)を取得。

1957年生まれ

米国系コンサルティング会社主任コンサルタントを経て

㈱CESを設立。代表取締役。

2000年に弁護士、税理士等の全国組織「NPO法人PRENET21」を設立し、

事業再生の第一人者として中小企業の競争力UPを指導。300社にのぼる会社を優良企業に成長させた実績を持つ。

近年は弁護士事務所や税理士事務所のビジネスモデル改革を指導し、収益力UPを実現。

15社の社外取締役等も務める。

著書に「御社だけのビジネスモデルを創りなさい」「CLマネジメントの時代」「事業承継の考え方と実務」他多数。経済誌「コロンブス」にて事業再生ノウハウを連載中。
 

ビジネスモデルの神様が伝授する「儲かるしくみ」バックナンバー

講師著作の紹介

2016年3月16日  

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