政府は「2026年には司法試験・予備試験のパソコン受験を開始する目標」だと発表しているように、司法界にもデジタル化の波が押し寄せています。
そこで活用したいのが、アプリ上で法令や判例などを検索できる六法アプリ。
六法アプリを活用すればデジタル文書を読む訓練にもなりますし、外出先での司法試験・予備試験勉強も可能です。
この記事では六法アプリの特徴や、おすすめの活用シーンなどをご紹介します。
また、六法アプリ以外にも司法試験・予備試験受験勉強に役立つアプリを集めてみました。
六法アプリや学習支援アプリを活用して、試験勉強の効率アップにつなげてみてくださいね!
【目次】
1.六法アプリを今こそ使いたい3つの理由
1-1.デジタル化やパソコン受験対策がはじめられる
1-2.検索機能も充実しているから外出先での勉強に役立つ
1-3.学習ツールの軽量化ができる
2.Androidおすすめ六法アプリ2選
2-1.判例も参照できる『And六法+判例』【無料】
2-2.好きな法令を選んで入れられる『法令ハンドブック』【無料】
3.iOSおすすめ六法アプリ3選
3-1.メモ書きやマーカーが入れられるのが便利な『六法』【無料】
3-2.三省堂から出ている信頼のアプリ『六法 by 物書堂』【一部無料】
3-3.カメラ検索機能がユニークな『みんなの法令』【無料】
【コラム】六法アプリ以外にもいろいろ!司法試験受験生におすすめアプリ
4.シーンに分けて使いこなしたい紙とデジタル教材のメリット・デメリット
4-1.紙の教材のメリットとデメリット
4-2.デジタル教材のメリットとデメリット
4-3.大切なのは特性に合わせて使い分けること!
司法試験も六法アプリを使いこなしてパソコン受験対策を始めよう!
2026年から司法試験のパソコン受験がスタートするため、受験生にとってデジタル化に対応した学習方法に切り替えることは避けて通れなくなっています。
だからこそ、普段の受験勉強でも取り入れてみたいのがスマホやタブレットなどで法令や判例を探せる六法アプリ。
デジタル文書に慣れ親しむ最初の一歩としても便利な存在です。
なぜ、今こそ六法アプリを使ってみるべきなのか、まずはその理由を探ってみましょう。
司法試験のパソコン受験では、画面上に表示されるデジタル文書を読んで回答していくスタイルが予想されています。
そうなると、紙に印刷された文章に書き込みを入れながら読解していくのではなく、画面上に表示された文章を読むのに慣れておきたいところです。
そこで、紙に書かれた文書ではなくデジタル文書を素早く・正確に読み、全体像を把握する練習として、取り入れてほしいのが六法アプリ。
法令や過去の判例をタブレットやスマートフォンで読め、まさにデジタル文章に慣れるのにぴったりのツールです。
六法アプリの良いところは、なんといってもタブレットやスマホ上で法令や判例を検索・閲覧できる手軽さです。
電子版六法なら、検索機能があり、すぐに読みたい箇所にたどり着けるため気になる条文や判例を探す際にも便利です。
たとえば、通勤・通学中に気になることがあったときもアプリをインストールしたスマホやタブレットさえあれば電車やバスの中でもサッと読みたい条文を検索できます。
試験会場でも、直前にチェックしたい箇所があればすぐに確認できるので、試験前のお守りとしても役立ちます。
自宅以外で勉強するために重たい参考書や六法を持って外出するのは大変です。
特に社会人で、出勤前や仕事終わりにカフェや自習スペースで勉強する場合、毎日参考書を持って通勤しようと思うと荷物が多くなってしまいます。
そうなると、移動中の荷物が重いと疲れも蓄積しやすいものですよね。
だからこそ、移動中はできるだけ荷物を軽くして身軽にすることで、受験勉強にエネルギーを注げれば効率的。
六法アプリはスマートフォンやタブレットがあれば持ち歩けるので、荷物が軽量化できます。
また、タブレット学習をしている人なら、画面分割して六法アプリの内容を参照しながら勉強できるので、ノートも参考書も持たずに試験勉強をこなせます。
六法アプリは、AndroidとiOSではそれぞれ使えるものが違います。
両方に対応しているものがあれば良いのですが、現状なかなか見つからないため、お持ちの機種にあった六法アプリを探してみましょう。
まずは、司法試験や予備試験対策に役立つAndroid対応の六法アプリを2つご紹介します。
画像出典:GooglePlay And六法+判例
『And六法+判例』は、アプリ上で法令の条文番号からの検索や、キーワード検索ができるアプリ。
法令だけでなく過去の判例も参照できるので司法試験・予備試験受験者にとってはありがたいところです。
また、初期に搭載されている法令だけでなく現行の法令を検索できる「eGov法令検索」からも好きな法令を追加できるため、全て加えれば約8,000の法令に対応していることになります。
判例は、原文に飛べるリンクもあります。より詳細な情報を見たい際にも使い勝手が良いでしょう。
<ダウンロード先>
https://play.google.com/store/apps/details?id=abuttha.android.project&hl=jp
画像出典:Google Play 法令ハンドブック
司法試験や予備試験受験時に、選択する科目以外の法令がアプリに入っていると「データが重くならないかな?」と心配なら、無料で使えるAndroidの六法アプリ『法令ハンドブック』がおすすめです。
『法令ハンドブック』は好きな法令を選んでダウンロードすることで、使える六法アプリです。
「e-Gov法令検索」から必要な法令だけを入れればいいので、使わない法令のデータでスマホやタブレットのメモリ容量を使う心配がありません。
アプリ自体の使い勝手としては、マーカー機能がついているなど、シンプルでありながら必要十分な機能が嬉しいところ。
「重たい六法を持ち歩きたくない」「デジタル表示される法令を読む練習に使いたい」という受験生は、まずこちらをダウンロードして使い勝手を試してみるのも良いでしょう。
ちなみに、初期設定では法令が何も入っていません。アプリをインストールした後に、ダウンロードするひと手間が必要な点は頭に入れておきましょう。
<ダウンロード先>
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.nid3ro.android.houreihandbook
次にご紹介するのはiOSのタブレットやスマホで使える六法アプリです。
iPadをノート代わりに使っている方にとっては、こちらのiOS対応のアプリをインストールしておけば、タブレット1台でノートと法令集を持ち運べます。
司法試験や予備試験対策に使えるアプリは次の3つ!早速一緒に見ていきましょう。
画像出典:App Store「六法」
事前に収録されている法令以外に、最新の法令を「e-Gov法令検索」からダウンロードできるiOSの六法アプリで代表的なのが、『六法』です。
ほとんどの法令に対応しており、無料で使えるのが魅力。施行前の法令もダウンロードして使えるので、最新の情報を常にアプリに反映できます。
受験生に嬉しいのがしおりやマーカーがつけられたり、メモ書きできたりするなど機能が充実している点も見逃せません。
条文を音声で読み上げる機能もあるので、ノートや本を広げられない移動中にも、耳から学習できる点が魅力です。
画像出典:App Store「六法」
ただし、無料版は広告が表示されます。広告を消したい場合は課金すれば非表示になるので、まずは使ってみて使い勝手がよかったら検討してみると良いでしょう。
<ダウンロード先>
https://apps.apple.com/jp/app/%E5%85%AD%E6%B3%95/id1272669652
画像出典:六法by物書堂
三省堂から出版されている、判例付き六法『模範六法』が収録された六法アプリ。
無料版に加えて、1万4,000以上の判例要旨や民事訴訟等手数料一覧などが収録された有料版も課金して追加できるアプリです。
無料版では憲法・民法・会社法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法と第1条の判例要旨と参照条文のみ見られます。
無料版でも一部の判例要旨や参照条文が見られるので、司法試験・予備試験受験対策に使うなら、まずは無料版で使い勝手を確認してから課金するかどうか判断するのが懸命です。
また、アプリ内で課金すれば、毎年最新の『模範六法』がダウンロード可能になります。
機能としては、縦書き/横書きのレイアウトを変えられたり、条文のカッコ書き部分が小さい文字で表示されたりする機能が魅力。
全体の骨子が把握しやすいアプリです。
また、タブレットなら、画面を分割して使えます。
検索機能や付箋を活用した分類などをして使い込めば、自分のスタイルに合った参考書になるでしょう。
<ダウンロード先>
https://apps.apple.com/jp/app/%E5%85%AD%E6%B3%95-by-%E7%89%A9%E6%9B%B8%E5%A0%82/id1162020155
※参考:「六法 by 物書堂」製品情報
https://www.monokakido.jp/ja/statute/moroku/
画像出典:AppStore「みんなの法令」
『みんなの法令』は、法令名をカメラで撮影するだけで読みたい法令に辿り着けるというユニークな機能を搭載している六法アプリ。
法律出版社の第一法規株式会社が配信しています。
司法試験や予備試験受験生だけでなく、企業の法務担当者や法律について知識を深めたい経営者にも使いやすいよう設計されているのが特徴です。
デザインも使いやすく、最新の法改正がプッシュ通知されるなど他のアプリにはない使い勝手の良さがある反面、2023年10月時点でタブレットでは使えないのが難点。
移動中にスマホでサクッと法令を参照したい時などに使うのが良いでしょう。
<ダウンロード先>
https://apps.apple.com/jp/app/%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AE%E6%B3%95%E4%BB%A4/id1450787468?mt=8
【コラム】六法アプリ以外にもいろいろ!司法試験受験生にBEXAおすすめアプリ
司法試験や予備試験受験生におすすめのアプリは、六法アプリ以外にもいろいろあります。
BEXA講師陣がおすすめするアプリを3つご紹介しましょう。
・辰已法律研究所の「肢別本」がアプリに!『辰巳の肢別』
画像出典:App Store「辰已の肢別 [司試・予備・LS]」
短答式試験の過去問を細かに分解し自分の知識をチェックできる、辰已法律研究所の『肢別本』は、司法試験受験生にとってお馴染みの教材です。
そんな『肢別本』がスマホやタブレットから使えるのが『辰巳の肢別』アプリ。
平成30年の憲法・民法・刑法の問題を90問収録。まずは無料版で試してみましょう。
年度別の肢別本憲法、民法1・2、刑法、行政法、商法などはアプリ内課金で購入できます。
電車内など移動中の学習にもぴったりです。
・勉強の進捗やスケジュール管理なら『Studyplus』
画像出典:Google Play Studyplus(スタディプラス) 勉強記録・学習管理
司法試験や予備試験受験生のみならず、何かを勉強している人のモチベーション維持やスケジュール管理を助けてくれるのが『Studyplus』です。
日ごと・週ごと・月ごとの学習量が可視化できるので、自分が頑張った軌跡を記録してモチベーションに繋げられます。
勉強時間は教材ごとやテキストごとに記録できます。
また、達成目標や週ごとの目標を設定できたり、ストップウォッチ機能がついていたり、受験生にとってあると嬉しい機能がたくさんあります。
共有機能も充実していて、同じ司法試験合格を目指す仲間とアプリで進捗状況を見せ合えば、さらにやる気もアップするかもしれません。
<ダウンロード先>
Android
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.studyplus.android.app
iOS
https://apps.apple.com/jp/app/studyplus-%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9-%E6%97%A5%E3%80%85%E3%81%AE%E5%AD%A6%E7%BF%92%E7%AE%A1%E7%90%86%E3%81%AB/id505410049
・オリジナルのオンライン六法が作れる『Evernote』
画像出典:Evernote公式サイト
クラウド上にテキストや、PDF書類、写真に撮った文書、インターネット上のページなどをまとめられるEvernoteは、司法試験受験生だけでなくビジネスパーソンの間でも長年人気のアプリです。
検索機能も充実しており、各ページに書かれている言葉を一括検索できるため、過去にストックした情報の中から同じ言葉を含む条文をまとめられます。
もちろん、自分で入力したテキストも検索対象になるので、過去にメモしたノートの内容を探したいときにも重宝します。
六法アプリのように最初からデータを一括でインストールするのではなく、必要な条例や判例、テキストなどをまとめてオリジナルオンライン六法をつくっていきたい人に向いている『Evernote』。
授業のノートとして、オリジナルの参考書としてなど自分なりにカスタマイズしてみるのもおすすめです。
<サービスサイト>
https://evernote.com/ja-jp
<ダウンロード先>
Android
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.evernote&hl=ja&gl=US
iOS
https://apps.apple.com/jp/app/evernote-notes-organizer/id281796108
六法アプリのようなデジタル文書と紙の文書、どちらが記憶の定着や読解に向いているかという問題は、世界中の研究者の間で論争されています。
紙の方が読解力が深まると言う説もあれば、短いテキストを素早く読むのであればデジタルが向いているという説もあり、どちらが良いかはまだまだ結論が出ていません。
司法試験・予備試験の受験勉強に活用するのであれば、紙とデジタルの特性を踏まえて、効率的に使いこなしてみたいところ。
紙とデジタル教材のメリットとデメリットを最後にまとめてみました。
紙の教材の良さは、直接線を引いたり文字を書き込んだりできる点。
手を動かして内容を理解していくので、書かれている内容が記憶に残りやすいと言われています。
また、付箋などをつけておけば参照したい場所を片手で開ける点も便利です。
一方で、情報量が多くなればなるほど物理的なボリュームが増え、持ち運ぶ際は大変。
六法アプリなどのデジタル文書と違って、紙をなくしてしまえば全てのデータがなくなるため、例えばバッグを置き忘れてなくしてしまったら書き込みをした参考書が2度と戻ってこないというデメリットがあります。
対策としては、紙の文書をPDFスキャンするなどしてデジタル管理しておくこと。
万が一紛失してもデータの復元やクラウドサービスから再度ダウンロードできます。
端末に情報を一元化して持ち運べるデジタル教材。
デジタル教材には、PDF教材や映像・音声教材、そして六法アプリなどがあります。
デジタル教材のメリットの一つは、データとして保存しておけば、いつでも後から見返せるところです。もう一つは、参考書を写真に撮ったりスクリーンショットを撮ったりして画像をデータとして残せる点。
大量のノートや参考書を持ち歩かなくても、タブレットやPCなどで見返せます。
また、デジタル教材は文字情報を膨大なデータの中から検索できるので、特定のワードが含まれている条文や問題を探したい際には便利です。
ただし、デジタル教材は紙の資料のように、直接付箋をつけたりマーカーで印をつけたりできない点がデメリット。
ペンタブ付きのタブレットならできなくはありませんが、ペンさえあればいつでも書き込める手軽さは、やはり紙教材に軍配が上がるでしょう。
こうして改めて考えてみると、司法試験や予備試験の勉強で、デジタルと紙、どちらの教材を使うべきかは悩ましいところかもしれません。
大切なのは、自分の学習スタイルや記憶の定着しやすい方法は何かを考えて、自分に合った教材を使い分けることでしょう。
ただし、今後パソコン受験がスタートすることを考えると、デジタル教材を活用してデジタル文書を読む練習はしておきたいところ。
ぜひ、六法アプリなどを活用して、デジタル文書に慣れていくことが肝心です。
2026年からスタートする司法試験・予備試験のパソコン受験。
普段の学習で六法アプリなどのデジタルツールを取り入れることで、パソコン受験時に備えたデジタル文書を読む練習をするのも良いでしょう。
また、六法アプリやデジタル教材は、仕事や他の勉強をしながら司法試験や予備試験に挑戦している忙しい受験生も、移動中や外出先での空き時間などに、手軽に勉強できる頼もしい存在です。
特に六法アプリは重い本や参考書を持ち歩かなくて済むので、いつでも好きな場所で試験勉強できるようになるでしょう。
最近はタブレットやスマホで使える六法アプリや学習サポートアプリも種類が豊富。
いろいろ試してみながらご自身のスタイルに合ったアプリを見つけてみてくださいね!
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文:松本 有為子
編集:カワムラ ルイ(リベルタ)
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2024年1月24日
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