<基本のスキル>
当然ながら皆さんには大学、仕事、プライベートなど受験勉強以外の生活があります。また、試験対策経験の有無や考え方の千差万別でしょう。そういった環境や考え方との相性により、最短コースに向いている人とそうでない人は分かれます。
○最短コースに向いている人の条件
第1に、可処分時間が確保できる人でしょう。
最短コースといっても、必要最低限の学習は必要になってきますが、司法試験・予備試験ではその必要最低限の学習時間が膨大になります。
実際、各種予備校のいわゆる「最短合格コース」では少なく見積もっても500~700時間の学習時間が講義時間として提示されています。これに加えて自学自習の時間を獲らなければならないため、最短で合格するためには短期間で可処分時間を多く確保できる必要があるでしょう。
第2に、予備試験の勉強法が確立されている人であることも重要です。
予備試験をはじめて受ける、今まで勉強したことがないという人であれば、おそらく知識を覚えることにまずは集中するでしょう。
しかし、司法試験・予備試験の天王山と言われている2次試験の論文試験は、知識を覚えていることだけでは足りず知識を使うということが重要になってきます。そして、知識を使うためには演習メインの学習をする必要がありますが、「覚える」から「演習」にシフトすることは人によっては非常に難しく時間がかかります。
実は1次試験の短答試験も同様で、覚えた知識で問題を解けるようになるためには、過去問演習が必要になりますが、これも人によっては「覚える」から「演習」にシフトすることが難しく時間がかかる場合があります。
「いつかは演習をやる」ではなく、学習初期段階から演習の重要性を理解した勉強をしている人が最短コースには向いているといえるでしょう。
第3に、"とりあえずやってみよう"という失敗を恐れない人であることも重要です。
前述の通り、予備試験の勉強は量も多い上に、質も重要になってきます。ただ講座を消化するだけだと成果が見えづらい上に、本当に自分の勉強法が正しいのかわからない状態に陥りがちです。
そのため、失敗してもいいから"とりあえずやってみる"という方が向いているといえるでしょう。
最短コースで走り抜ける人は限られている
さらにいえば、これらの条件が整い最短コースを獲ったからといって、必ずしも最短コースで走り抜けられるとは限りません。
多くの最短コースを獲った人たちも、この勉強方法が自分に合っていないということに気づきシフトすることがあります。
たとえば、予備試験受験ではなくロースクールコースにシフトする人もいれば、基本書で学び直す人もいます。
このように、一般化された最短コースは必ずしもあなたにとって最適なコースであるとは限らず、走り抜けられるとは限らないのです。
2022年9月9日 愛川拓巳 大瀧瑞樹 国木正 中村充 矢島直 吉野勲
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