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こんにちは!ぽんぽんです。
先月末より新型コロナウイルス感染者数が再度増加しておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
3月からはいよいよ司法試験全国模試が本格化!ということで、
最近、質問箱の方にも「全国模試までに何をすべきか?」とのご質問をよく頂くようになりました。
もちろんいつもお話している通り、司法試験合格に必要なことは受験生一人一人異なると思いますが、それでも「ここは全員押さえておくべきだ」というポイントは確実に存在します。
今回のコラムでは、
全国模試を単なる「どれくらい点数・順位が出るかの指標」にとどめず、
本試験合格に向けてのダイレクトチなャンスに変えるために、模試前にやるべきこと・意識して頂きたいことについて具体的にお話します。
是非ご一読いただき、準備万端で司法試験全国模試に臨んで頂ければと思います。
それでは早速、見ていきましょう!
司法試験全国模試では、短答・論文の全科目につき点数と順位、成績ランク(A~E)そして自分の成績の位置図(合格圏内であるか)が掲載された成績表が返却されます。
それまでは各ロースクール内での期末試験や各予備校の答練でしか具体的な成績を出されたことがなかったのに、突然、何百人が全国規模受けてくる試験での自分の立ち位置をダイレクトに示されるわけですから、
全国模試にどう向き合うか、そして結果をどう受け止めて本試験に活かすか?ということが、本試験超直前期のすごし方に大きな影響を与えると言っても過言ではないでしょう。
私は計4回の司法試験受験のうち、すべての年で全国模試を受験しました。
「司法試験全国模試で1位を取った人が本試験に落ちたらしい」
「模試の成績ランクと本番の成績は比例しないらしい」
「全国模試の短答は難しすぎるから、受けないほうが良い」
…等、全国模試にまつわるネガティブな話は多数聞いていたのですが、
無事に合格した今、振り返って考えても、やはり全国模試を受けて正解だったと思います。
その理由は2つあります。
ひとつは、本試験で論文を書き切るために必要不可欠な基礎知識のヌケが存在する部分を確認できたことです。
これは単に、基礎知識の暗記具合を指すわけではありません。
例えば、行政法の原告適格をどのように書き始め、個別法の理解をどのように答案に示し、表現していくのか?
業務上横領罪の各構成要件の定義・規範について、どこにどのような論点があるのか、どんな事実をあてはめるのか?
全国模試では本番と同じ制限時間の中で初見の問題を解くわけですから、
このように具体的な「書き方」も併せて理解できていなければ答案を完成させることはできません。
4回目に合格した年の全国模試ではこの点を強く意識し、
「定義・規範を覚えてはいたけど上手く使えなかった…」という事態が試験中に発生したら、すぐに具体的にメモし、模試後に直ちに改善を試みることで、本番までに「書き方もわかっている!」との自信を付けることができました。
もうひとつの理由は、本試験になるべく近い状況の中、心身のコンディションをベストに保つ方法を連日試せたことです。
お昼に何をどの程度食べるか?どこで調達するのか?
隣の人が机を揺らしたり、ため息をよくつくタイプだったら?
…等、まずは自分にとってのストレス源を正確に把握することに努めました。
司法試験前は「人生で一番」と言っても過言ではないくらいピリピリしますし、
自分でも意外な点でイラっとすることもあります。
ストレス源を正確に把握し、軽減するための対処方法を実際の試験会場で試すことで、
「何があってもまあ大丈夫だろう」との安心感を持って本試験に臨むことができました。
成績表が明示される以上全く意識しないことは不可能ですし、
「気にしないでマイペースに勉強しよう」というのもあまり現実的ではないと私自身は思います。
良い成績であっても、悪い成績であっても、それを受けて本試験に向けての行動に確実に結び付けることで成績を昇華していくために、以下で『全国模試に向けてのチェックリスト』をぜひ確認しましょう!
私自身、「全国模試をしっかり活用できたな」と感じたのは合格した4回目受験の年のみでした。
ここでは、当時の自分の勉強記録に基づいて、実際に私が行っていたことを以下にまとめました。項目をご自身で増減して頂きながら、ぜひオリジナルのチェックリストを作ってみてくださいね!
(1)全国模試を受ける前のチェックリスト―勉強編
✓①合格者が確実に書けるAランクの定義・規範+論文での書き方を確認
✓②自分が避けてきた科目や分野、論点を洗い出す
✓③自分の「頭真っ白」ポイントを把握する
①合格者が確実に書けるAランクの定義・規範+論文での書き方を確認
民法の177条「第三者」の定義や刑法の窃盗罪における不法領得の意思などの合格者が確実に書けるAランクの定義・規範に加え、これらを答案でどのように書けるかについて確認していきます。
私は、趣旨規範ハンドブックを開き、★マーク+答練で出題された論点について論証のキーワードを言えるか確認し(文章ではなく単語レベルで言えるか)、さらにどういう流れでその論証を書くかを白紙に書けるか確認する(ここでも文章ではなく単語で)という方法を行っていました。
知識の暗記そのものだけでなく、理解しているかの確認も同時に行うことで、知識を血肉にできたと思います。
②自分が避けてきた科目や分野、論点を洗い出す
論証集や問題集、基本書の目次を見ながら、自分が勉強を避けてきた科目や分野、論点にマルを付けて、穴があることを認識します。
これは自分でも意外だったのですが、自分が避けてきた苦手と向き合うことで「全国模試前なのに、ここを勉強していないのはヤバい!」と思い切って勉強するきっかけにもなりましたし、「嫌だったけど、やってみれば案外できた」「克服できた」「とりあえず着手はした」と学習に弾みをつけることが出来、とても有益でした。
司法試験は「狭く深く」より「広く浅く」の方が合格につながりやすい試験なので、可能であれば全国模試前に少しでも理解を深めて暗記を進め、時間的に厳しければ全国模試後にこれらの穴を短期間で重点的に詰めることをおすすめします。
③自分の「頭真っ白」ポイントを把握する
短答式試験でも、論文試験でも、あまりにも難しい問題に当たってしまい、まさに「頭が真っ白」になることがありました。
不合格を重ねていたときは「頭が真っ白になる」原因をよく分析せず、「知識量が足りないからだ」と極めて抽象的で短絡的な答えに走ってしまっていたのですが、
合格した年は答練を受けることにより敗因分析をする習慣が付いていたので、「どんな状況のときに頭が真っ白になるのか?」そのポイントを事前に把握することが出来ました。
私の「頭真っ白」ポイントは、本当に知識が足りず、何の問題かはわかるけど論証が思い出せない場合+何の問題かもわからずに極度の焦りが生じた場合でした。
これらの対処法として、とりあえず上記①により知識を堅固なものにすること、そして現時点の知識では対応できない場合は、条文引用⇒条文の趣旨(最悪でっち上げる)⇒趣旨を踏まえて規範定立⇒あてはめの流れで書くとあらかじめ決め打ちしていました。こうすることで、「全く分からないけど、とりあえず法律科目の論文は書いた」という状況にすることができました。
(2)全国模試を受ける前のチェックリスト―その他
ここでは、試験の内容に直接的に関わるわけではないけれども、あらかじめ検討・確認しておくと安心な事項をまとめました。こちらもぜひ確認してみてくださいね。
①交通機関・買い物・会場設備
✓会場までの経路を時間も併せて確認(有料特急を使うか、電車が止まった場合の代替手段も検討)
✓会場の周辺施設を確認(コンビニ、カフェetc…)
✓会場の自販機、ゴミ箱、トイレの位置や数を確認
✓会場の出入り口の位置と数を確認
②食事関係
✓昼ごはんの内容を検討
✓休み時間に食べるもの、飲むものを検討
✓本試験に水筒は持ち込めないので、ペットボトルで対応する
③会場に何を着ていくか、何を持っていくか
✓本試験と若干時期はズレるが、靴やカバン、座布団を持参するかなどを確認
✓自分がラクな服装について検討
✓休み時間の勉強に何を持って行くか、科目ごとに検討
✓会場に持参するペンや替え芯の本数を検討
全国模試を最大限有効活用するために一番必要なことは、やはり「全国模試を受ける意義を明確にしておく」ことだと思います。
今の自分が司法試験に対して漠然と抱いている「不安」「心配」を突き詰めていくことが、模試前にどんな勉強をすべきか?自然と見え、勉強に向かうきっかけになります。
この記事が受験生の皆さんが全国模試を受ける意義をご自身で明確にされる一助になることを願っています。
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私のことは「先生」ではなく「ぽんぽん」と気軽に呼んで頂けると嬉しいです。
大阪市立大学法学部を卒業後、東京大学法科大学院未修コースに進学・卒業し、
その後は実家に戻り社会人受験生を約4年にわたり続けた末にようやく合格、
現在、第74期司法修習生として奈良で司法修習中の元社会人司法試験受験生です。
普段はTwitter(@ponponazarashi)及びnote(『司法試験cafe room』)にて 未修×多浪×社会人受験生の失敗談・後悔に基づく勉強方法を発信しつつ、 弁護士求人ナビにて法律事務所就活ライターをしています。
なお、メンタルケアについての資格を取得しているわけではないので、専門的な知見を申し上げることはありません。
2022年2月13日 ぽんぽん
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