新司法試験 選択科目の選び方②(短期習得可能!予備試験合格者おススメ選択科目)

短期習得可能!予備試験受験生にオススメな選択科目4科目(経済法・国際私法・国際公法・環境法)を紹介

 ご存知の通り、司法試験と予備試験の大きな違いの1つに『選択科目』有無があります。
 予備試験合格発表の9月から学習を始めたとしても、選択科目に割ける時間は8か月しかありません。しかもその8か月も選択科目にのみ割けるわけではなく、他の主要7科目をいわば司法試験仕様に変える対策も必要なわけですから、それほど時間をかけれないという点で短期で選択科目を終わらせることが必要になってきます。

 そこでBEXAでは、『短期習得』という視点にのみ特化してオススメの選択科目4科目をご紹介いたします。もちろん、労働法租税法などの基本講義はご用意させていただいている上、秋には知的財産法の基本講義も配信予定ですが、殊短期習得という1点にのみ特化した場合には以下の経済法・国際私法・国際公法・環境法が良いのではと考え、ご紹介させていただきます。

 

4科目を比較した一覧表を公開

インプット・アウトプット比重
 インプットとアウトプットの比重は総学習量を10と考えた場合の割合です。また、各数値は4科目を比較した場合のものです。他の選択科目とも比較した場合には、変動する可能性があります。

講座や市販本の充実度
 予備校の講座や市販本(基本書・演習書)の充実度を比較してみました。

判例集の必要性
 基本書やテキストを読んで済むのか、それとも基本学習の後に判例学習も必要なのかという点に特化して比較してみました。
 

  インプット比重 アウトプット比重 予備校講座や本の充実度 基本書の充実度 演習書の充実度 判例集の必要性
経済法 2 8
国際私法 5 5
国際公法 7 3 × ×
環境法 4 6 × ×

※「◎」「○」「△」「×」は4科目を比較した場合のものです。他の選択科目とも比較した場合には、変動する可能性があります。
 

4科目の特徴を各側面からご紹介

 どの科目も労働法や倒産法に比べて短期で習得することが可能なことは、皆さんご存知の通りです。そこで今回は、受験者数・出題傾向・インプット・アウトプット・その他勉強法や特徴などを4科目でまとめました。
※各法の題名をクリックすると詳細な記事に飛ぶことができます。

経済法インプットは最小限!あてはめ勝負!ビジネスのトレンドや相場観がわかればあてはめはかなり楽に

国際私法資料や市販本は比較的豊富!知識だけで最低点は取れるがアウトプットもバランスよくしないと高得点は望めない!?

国際公法インプット・暗記が得意な方にはオススメ!類似問題が繰り返し出題されており演習の比重は低い!

環境法行政法と民法で重複する部分が多い!特に行政法対策にそのまま役立つ側面が強い!

受験者数
 平成29年度司法試験の全体で占める受験者割合と近年の推移。
 司法試験は相対評価である以上、何名の受験生がいるかは点数に影響を与えます。特に予備試験合格者が選択しやすい科目は答案のレベルが上がり、点数が上がりづらい傾向にあります。

出題傾向
 どういった問題が出題されるのか。
 各科目に出題の型や分野の偏りがあるので、ご自身に合った科目を選択される参考にしてください。

インプット・アウトプット
 有名・定番な市販本の有無や予備校講座の有無、再現答案の入手可能性。
 インプットが簡単と言われてもどの程度の分量になるのか不明確であったため、可能な限り市販本のページ数を表記するようにしました。また、市販の演習書の答案例の有無なども可能な限り記載しました。

その他勉強法や特徴
 ○出題傾向でご紹介し切れない部分で特記事項。
 

経済法

インプットは最小限!あてはめ勝負!ビジネスのトレンドや相場観がわかればあてはめはかなり楽に

受験者数 平成29年受験者割合14.6%
近年の司法試験受験者数減少にもかかわらず、800名中盤と概ね同数の受験者数をキープしており、全体の受験者割合は増加傾向にあります。国際私法と合わせて予備試験受験生が選択しやすい科目です。
出題傾向 主に独占禁止法の適用に関する問題が出題されます。毎年、事例中に登場する事業者の行為についての「独占禁止法上の問題点を検討しなさい。」という問われ方をされています。
問題となっている行為が独占禁止法のどの条文の問題なのかを選択し(条文選択)、各構成要件該当性を検討し、あてはめていくという解答パターンになります。
インプット 定番の市販本は商事法務『独占禁止法〔第2版〕』です。全11章の内、1章~5章・7章で必要な知識は賄えます。ページ数は420ページ中250~300ページ程度ですので、習得にそこまで苦労はしないでしょう。他にも、有斐閣『独占禁止法概説 第5版』(464ページ)や弘文堂『独占禁止法 第5版』など市販本は多く販売されています。経済法判例・審決百選は必須ではなく、メインで使用する人もいれば、補助資料として使用する人もいます。
予備校の講座は伊藤塾や辰巳法律研究所が開講しています。
アウトプット アウトプット用の論証・用語集は辰巳法律研究所の『一冊でシリーズ経済法』が有効です。過去問の再現答案もまとまっているため、まとめ用にも最適です。
演習書は法学書院『演習ノート経済法』や商事法務『論点解析 経済法〔第2版〕』などがあります。しかし、論点の解説のみでどのように書けばよいのかという点が欠けています。
勉強法や特徴 インプット量が絶対的に少ない反面、アウトプット特にあてはめが勝負になる科目です。ビジネスの相場観やトレンドを理解しているか否かがあてはめの肝になってきます。相場観やトレンドを身に付けるには、過去問を分析するのが一番の有効手段です。
答案の型が決まっていることや規範の理由付けが不要な点が刑法に類似しているといわれています。

○BEXA講座のご案内
 BEXAでは酒本隆弘先生の『経済法速習講義』の配信を行っております。
 適切な解説で、理解の誤りをすることなく最短で知識の習得ができます。また、アウトプットで課題のあるビジネスのトレンドや相場観を、過去問の解説を通じて最短で習得することが可能です。

酒本隆弘「経済法速習講義
基本講義・過去問講義単品購入可

・酒本隆弘公式ブログ『法学で酒が美味い
・Twitter『法学で酒が美味い

○BEXA的経済法習得の最短ルート
 必要な知識は市販本で賄える可能性が大きいため、有名・定番な基本書を一読することをオススメします。知識や規範のまとめには『辰巳一冊でシリーズ経済法』が有益です。ただし、アウトプット面での演習書不足を解消する必要があります。過去問分析は『経済法速習講義』の過去問講義単品で十分に賄えます。
 

国際私法

資料や市販本は比較的豊富!知識だけで最低点は取れるがアウトプットもバランスよくしないと高得点は望めない!?

受験者数 平成29年受験者割合13.0%
近年の司法試験受験者数減少にもかかわらず、700名~900名の受験者数をキープしており、全体の受験者割合は微増傾向にあります。予備試験導入時から予備試験受験生が選択しているため、ある意味人気科目です。
出題傾向 日本以外の国の私人と日本の私人の間の家族法や取引法(財産法)の適用に関する問題が出題されます。
日本以外の私人との法律関係が問題になった場合に、どの国の法律が適用されるべきなのか(どの国の法律に準拠するべきなのか)、日本の民事管轄は適用されるのか、当事者能力・当事者適格・訴訟能力があるのかなどが出題されます。
取引法分野では条約の適用について問われています。
インプット 有斐閣『国際関係私法入門 第3版』や法律文化社『国際関係私法講義〔改題補訂版〕』などが定番の基本書になります。ともに400ページ程度ですので、知識習得の負担は大きくありません。国際私法判例百選もすべておさえておく必要はなく、最高裁判決をおさえておけば最低限は問題ないといえます。
予備校はLECや辰巳法律研究所が開講しています。
アウトプット 予備試験受験生に人気であるため、近年アウトプット用の書籍が増えてきました。
アウトプットまとめ用であれば辰巳法律研究所の『一冊だけシリーズ国際私法』が有効です。過去問の再現答案もまとまっています。上位合格者の中に国際私法受験者が増えてきており、再現答案を入手するのも困難ではなくなってきています。
オススメの演習書は有斐閣『演習国際私法 CASE30』です。2016年10月に発売しているため新しい論点も網羅している上、解説や答案例も充実しています。
勉強法や特徴 予備試験合格者増加に合わせて受験生のレベルが上がってきているといわれ、一部では問題の難易度も上がるのではといわれています。その一方で、正確な知識を習得しておけば最低限の点数(40~45点程度)は取れるともいわれています。
人気科目であるがゆえに来年度は難化するかもしれないという意見もあり、来年度以降の動向や傾向が比較的不透明になりやすい科目です。

○BEXA講座のご案内
 BEXAでは森田雄二先生の『国際私法速習講義』の配信を行っております。
 知識だけで最低限の点数が取れるのであれば、まずは確実な知識・理解を習得しましょう。本講義は、国際私法定番の基本書有斐閣の『国際関係私法入門 第3版』を用いて国際私法の知識を網羅するのはもちろんのこと、同書の行間を埋める理解まで習得可能です。過去問だけでなく有斐閣『演習国際私法CASE30』を用いてアウトプットまでフォローします。

森田雄二「国際私法速習講義
基本講義・過去問講義単品購入可
 

 

国際公法

インプット・暗記が得意な方にはオススメ!類似問題が繰り返し出題されており演習の比重は低い!

受験者数 平成29年受験者割合1.4%
予備試験導入時から受験者数は100名台とかなり少数です。平成29年度に至っては81名と100名を切りました。短答不合格者も中にはいるため、実質的に採点対象になる受験生はもっと少ないものと思われます。
その反面、平成28年度で国際公法自体の最低ライン点未満者(いわゆる科目足切り)は0人でした。
出題傾向 国家間で生じる紛争や問題に関する解決策を答えさせる問題が出題されます。紛争や問題に対する解決策を提示させ、提示した解決策の可否を解答させる問題が頻出です。
「国家の行為」という点でイメージが持ちづらいですが、規範の定立→あてはめ→結論という三段論法は変わりません。
インプット そもそも試験範囲がどこからどこまでなのかがわからないという方が大半です。試験範囲は国際法・国際経済法・国際人権法の3つですが、国際経済法の出題可能性は著しく低いです。
市販本は有斐閣『現代国際法講義 第5版』や『講義国際法 第2版』、信山社『プラクティス国際法講義〈第3版〉』などがあります。それぞれ500ページ程度です。併せて国際法判例百選も必須ですが、どれも版が古いため最新の分野や判例を判例集で補填する必要があります。判例の補填には三省堂『国際法基本判例50 第2版』が最適です。
予備校の基本講座は0に等しいです。
アウトプット 趣旨規範ハンドブックなどの定番のまとめ本はありません。また、受験者数が少ないため再現答案の入手可能性は極めて低いです。
もっとも、過去問の傾向は同じ分野が繰り返し出題されており、裏を返せば過去問の演習のみで必要十分といえます。また、出題趣旨や採点実感は年度が最新になるほど丁寧に解説されています。そのため、過去問の演習だけで「一応の水準」以上の点数を取ることが十分可能になります。
演習書は信山社『《演習》プラクティス国際法』が事実上唯一の演習書といえるでしょう。過去問の演習・分析が済んで余裕があれば取り組めばよいという程度です。
勉強法や特徴 受験者数が少なく穴場といえる科目です。
内容面については、経済法や国際私法に比べてインプット量が若干多い反面、アウトプット対策は比較的容易といえるでしょう。他の科目との大きな違いは規範定立に当たる部分の根拠が条文にあるのではなく、判例や慣習法にあるという点です。判例や慣習法さえ覚えてしまえば、後はあてはめるだけです。
イメージを持ちづらい科目であるため勉強のコツを掴むまでに時間を要する可能性はありますが、インプットさえしてしまえば過去問演習を繰り返すという対策でアウトプットが済んでしまうため、時間はかからないでしょう。

○国際公法の問題を見てみよう

国際公法の問題を見てみよう
 

○BEXA的国際公法の薦め~国際公法合格者からのインタビュー~

【勉強の取り組みやすさ】

 国際公法(試験科目名は国際関係法(公法系)の範囲は国際法、国際経済法、国際人権法で構成されています。一見すると、とても広いように感じますが、国際経済法、国際人権法は「国際法(国際公法)の体系に含まれる範囲において」(平成22年7月14日司法試験委員会決定)と範囲が限定されています。よって、実質的には国際法のみが範囲と言っても過言ではないでしょう(実際にも国際経済法からの出題は初年度の平成18年のみ、国際人権法からは平成23年のみ出題されているだけ。さらに、平成28年度司法試験用法文から「関税及び貿易に関する一般協定(GATT)」がなくなったことから、国際経済法に関しては出題可能性が著しく低くなっています。) 。

 他方で、国際公法は他の選択科目に比べて演習書が少なくて取り組みにくいのではないかという反論があるでしょう。確かに、国際公法の演習書は事実上一冊(『演習プラクティス国際法』(信山社))しか存在しない。しかし、司法試験国際公法の問題は過去問の繰り返しがとても多いため、過去問の演習のみで演習は必要十分であり、演習書は余裕がある場合に取り組めばいい程度の存在です。また、司法試験国際公法の出題趣旨、採点実感は年度が最新になるほど丁寧な解説となっており(平成28年度出題趣旨は6頁、採点実感は5頁)、判例集(判例百選等)、過去問に取り組むことで、「一応の水準」以上の点数を取ることが十分に可能となっています。

 さらに、選択科目は7法に比べて勉強時間を確保するのが難しく、多くの人にとって何冊も演習書をこなすのは困難でしょう。そのような実情を踏まえるとむしろ①範囲が広くなく、②演習書が限定されており、③出題に過去問の繰り返しが多く、④過去問の解説が詳しい国際公法は他の科目に比べて短期間で合格点を取りやすい科目と言えます。予備試験導入当時はそのような科目として国際私法が挙げられていましたが、近年は予備試験合格者の国際私法の受験者が増加して、受験者層のレベルが上がり、かつ問題の難化傾向が指摘される国際私法は、もはや当てはまらないのではないかと思わます。

【試験問題の難易度】

 司法試験における国際公法の難易度は極めて標準レベルであす。上述の通り、問題は過去問の繰り返しが多く、全体としても基本的事項を中心に問われているのみで、ひねったことは聞かれません。採点実感でも24年度から28年度にかけて毎年「国際法に関する基礎的な知識、すなわち国際法の基本的な概念・原則について、その内容を正確に理解」することの重要性を述べています。

 さらに25年度から27年度の採点実感では「国際公法を選択する受験者に対して一言述べれば、選択科目に割くことのできる学習時間には限りがある中で、国際法のテキストに共通して記載されている基本的事項及び基本的な判例集に掲げられている判例等について、内容をしっかり「理解」して学習してほしい」と受験生に対する配慮すら感じさせることも述べています。基本的事項が重要かつ、それで十分であることはこの一文で十分伝わるのではないでしょうか。少なくとも国際公法では、受験生が基本的事項を理解していれば解くことのできるレベルの問題が作られており、それ以上のことは求められていないのです。

【就職等の有用性】

 国際公法を選択するのに躊躇する一番の原因は、まさにこれでしょう。国際公法を勉強しても、将来実務家になって役に立つのかという悩みが一番多いのではないでしょうか。

 確かに、国際法を実務として使うのは外交官がメインであり、国際法を仕事として扱う弁護士はほとんどいないでしょう。しかし、日本でも大手法律事務所において、弁護士が国際法案件に関わることが増えています。例えば、国際投資案件でアンチダンピングの申請代理人となる場合や、政府から依頼を受けてWTOの紛争解決に関与する等が挙げられます。最近は弁護士が経済産業省に出向し、通商を中心とする国際法案件に関わる事例も増えており、今後、弁護士が国際法を扱う機会は一層増えると言われています。このように現在は国際法が本格的に弁護士の仕事となる可能性が大きく高まっている状況にあります。

 一方で、国際公法を勉強している司法試験受験生はかなり少なく、予備試験合格者においてはほとんど存在しません。予備試験合格者は大手法律事務所への就職を志望する方が多いですが、国際公法を勉強しているだけで存在感を放つことができ、就活の際の大きなアピールになるのではないでしょうか。

【半年で国際公法を完成することは可能なのか】

 先に述べた通り、国際公法の試験問題は難しいものではなく、「基本的事項」を抑えることができれば合格答案を作成することができます。さらに範囲も広くはないため覚えることが膨大にあるわけではありません。よって、半年で基本的事項を抑えて、国際公法を完成させることは十分に可能です。

 しかし、一方で採点実感の24年度から27年度では、基本的事項の理解が及んでいない答案が相当数存在することを指摘しています。採点実感が4年連続で「基本的事項」の重要性を説いているのにもかかわらず、なぜこのような事態が発生するのか。それは、そもそも「基本的事項が何か?」ということをわかっていない受験生が大量に存在することが原因だと思われます。国際公法は全体の受験母体が少ないため、周りに勉強している人を見つけるのが困難であり、かつブログや予備校の講座、さらに予備校本すら存在しません。そのため、「国際公法の勉強の仕方がわからない」、「国際公法の答案の書き方がわからない」受験生が大量に発生してしまっていると考えられます。

 そこでBEXAは9月頃に国際公法の講座をリリースする予定です。同講座では国際公法の基本的事項が何かをしっかりと教え、かつ答案の書き方も伝授し、基本的事項のみで過去問を解くことができるということを受講生に理解してもらうコンセプトを計画しています。

【国際公法選択を検討している方へ】

 予備試験の論文式試験を終えると、選択科目の勉強を始めてみようかと考えている人が多いと思われます。その中には、国際公法も候補の一つには入っているが、本を読んでから決めようと思っている方もいらっしゃるでしょう。そのような方にはまず、杉原高嶺『基本国際法 第2版(有斐閣 2014年)』をお勧めします。ソフトカバーの小さい本で、分厚さも軽く読むにはちょうどいい本です。さらに薄い本を読みたい方は、島田征夫『国際法(弘文堂 2011年)』をお勧めします。この本は基本書でありながら、読者の興味をそそるように小説、漫画等を章の初めに載せているとても珍しい本です。ただ、内容、分かり易さは杉原先生の本に分があると思われます。

 

環境法

行政法と民法で重複する部分が多い!特に行政法対策にそのまま役立つ側面が強い!

受験者数 平成29年受験者割合6.0%
平成28年度までは受験者数は400名~500名で、平成27年度・平成28年度は微増傾向でしたが、平成29年度は300名台と減少しています。
出題傾向 設問1、設問2で環境政策、環境訴訟がそれぞれ問われる傾向にあります。
環境政策は、特定の制度や政策についての妥当性や問題点などを指摘させたり、問題点の解決策を論述させるような問題が多いです。いわゆる環境10法(「環境10法」については「勉強法や特徴」を参照)の基本原則や制定理由・制定趣旨などにさかのぼって思考することになります。環境法の知識面の比重がかなり大きく出る部分ではありますが、その知識を前提にして現場思考させる問題ともいえます。
環境訴訟は、主に行政訴訟の問題(処分性・原告適格など)、民事訴訟の問題(不法行為・差し止め訴訟・当事者適格など)が出題されます。後は環境10法などの個別法解釈です。環境法が行政法や民法と被る部分が多いというのは、この環境訴訟があるがゆえでしょう。本年の予備試験行政法で出題された産業廃棄物処理法も範囲の法律の1つです。他の法令も行政法の事例問題集で使われているものもあり、馴染みのあるものです。それゆえに行政法の勉強と親和性が高いと言えます。
インプット 環境10法と呼ばれる10個の個別法が範囲とされており、一見範囲が広く、複数の基本書を読む必要があるようにも思えます(「環境10法」については「勉強法や特徴」を参照)。しかし、10法の中でも出題範囲は限定的であり、市販の基本書も弘文堂『環境法』で賄えます。ページ数は400ページありますが、実際に必要な範囲は200ページ程度とかなり限定的です。環境法判例百選も必要ですが実際は半分程度の掲載判例をおさえておけば十分です。
予備校の講座で有名なものは現状ありません。
アウトプット 趣旨規範ハンドブックなどの定番のまとめ本はありません。また、受験者数が少ないため再現答案の入手可能性は極めて低いです。市販本で効果的な演習書もこれといって見当たりません。
もっとも、出題傾向が行政法や民法(不法行為など)の訴訟選択と個別法解釈が半分を占めているため、過去問演習で出題傾向に慣れておくことで対策のほとんどが終了してしまいます。過去問演習・分析から出題された分野をつぶし、行政法の個別法解釈を行うだけで対策することが最も効果的です。
勉強法や特徴 環境訴訟の分野の出題傾向が行政法と民法の重複部分が大きいため、特化した対策を取る必要性が他の科目に比較して大きくないという点が大きな特徴です。
「環境10法」とは、環境基本法、環境影響評価法、水質汚濁防止法、土壌汚染対策法、大気汚染防止法、廃棄物処理法、自然公園法、循環型社会形成推進基本法、地球温暖化対策の推進に関する法律、容器包装にかかる分別収集及び再商品化の促進等に関する法律を指します。あらかじめ各法律の解釈や議論を求められる可能性は低く、どちらかといえば条文検索能力が求められます。

○環境法の問題を見てみよう

環境法の問題を見てみよう
 

○BEXA講座のご案内
 BEXAでは清水啓二先生の『環境法完全攻略講座』の配信を行っております。
 環境法の有益な対策方法の1つとして、過去問で取り扱われた分野から逆算して今後出題されそうな分野にあたりを付けるという方法があります。同講義は過去問から学ぶことができる、環境政策などの知識面、個別法解釈のノウハウ面の習得だけでなく、出題分野から今後出題可能性の高い分野も特定し、環境法の学習時間短縮もフォローします。


 

2017年7月15日   酒本隆弘  清水啓示  長尾健允  森田雄二 

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