今回は最近の重要判例「金沢市庁舎前広場事件」(以下「本判例」といいます)を題材に、大谷講師に、本判例のポイントについてインタビューしました。
金沢市庁舎前広場事件は、最新の憲法判例百選第8版でも追加されている重要判例です。
庁舎前広場には金沢市庁舎等管理規則というものがあって、この規則に申請手続や禁止事項が規定されていました。この5条12号の「示威行為」にあたるとして不許可にしました。
○金沢市庁舎等管理規則
https://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/reiki/reiki_honbun/a400RG00001494.html
その後何回か不許可になったんですけど、規模を小さくしたり街宣車やプラカードを使用しないこととしたり、政治的な批判を行わないということを書面で市に出したら許可がおりました。
だけれども、もともとなされた不許可がおかしいよねということで国家賠償請求を提起したという事案です。
これに対して本判例についてですが、庁舎前広場なのでまず庁舎それ自体について話すと、庁舎それ自体は公用物なんですね。公用物とは、公務のために使用するためのものになります。つまり、みんなに使用させてあげるためのものではないのです。
さらに、本判例は、庁舎前広場も庁舎同様に公用物だと判断しました。
なので、市民会館という公共用物の性質に着目した泉佐野の射程は、公用物である本判例には及ばないということになります。
これに対して宇賀裁判官は庁舎前広場は公共用物だとしています。
この庁舎前広場は、広場管理要綱で管理されていたんですね。その広場管理要綱にどんなことが定めらていたかというと、第3条で「庁舎前広場は、本市の事務又は事業の執行に支障のない範囲内で、原則として、午前8時から午後9時までの間、市民の利用に供させるものとする。」と定められていました。
ここを捉えて、庁舎が公用物だとしても、庁舎前広場は公共用物だと評価しています。
○【参考】オウム真理教解散命令事件 全文
https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-55883.pdf
イメージはこんな感じです。ただ、あくまで1つの考え方なので気を付けてほしいですが、受験的には1本、筋は通るかなというところです。
問題文を読むところ~答案完成までの思考過程を丁寧に追体験できる内容で、試験本番に通用する力を養えます。 この記事で得た気づきを、学びとしてさらに深めたい方は、ぜひご覧ください。
2025年12月24日 大谷大地
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