薬事法判決を読めば、自己実現の価値は職業の自由でも認められることはすぐにわかるでしょうから、これが違憲審査基準に影響を与えているとはいえません(というか、およそ憲法上の権利として保障されるのであれば認められるような類の価値ではないかと思います)。
他方、自己統治の価値については、北方ジャーナル事件や博多駅事件などの判例上も認められているところですから、これを記載すること自体は誤りではありません。
自己統治の価値の程度問題が争点となり得る事例は、岐阜県青少年保護育成条例事件です。伊藤正己裁判官補足意見は、まさに自己統治の価値が低いことを理由に、青少年保護目的による自動販売機による有害図書販売の違憲審査基準として、中間審査基準(代替的伝達経路の準則)を適用しています。