流儀の受講者です。①先生は、被侵害利益の内容等を、保護要件の補充的な考慮要素として位置付けられています。一方、基本行政法(3版327頁以下)では、被侵害利益の内容等を、「個別保護要件」との名の下で、独立の必要条件として位置付けており、混乱しております。どちらを是とすべきでしょうか。又②公益の中に吸収解消させるに止めないことと個々人の個別的利益として保護すべきことは、分けて当てはめるべきでしょうか。
①被侵害利益の内容等は、保護要件でも個別的保護要件でも問題となり得るところ、とりわけ個別的保護要件で用いるケースが多いと思います。
②は個別的保護要件の当てはめの規範ですので、区別するというよりは、その中で被侵害利益の内容等を当てはめることになります。
丁寧なご回答をありがとうございます。
保護要件の下での根拠法令の解釈の際に、ダメ押し的に被侵害利益を考慮することがある、というお話しだったんですね。理解が進みました。ありがとうございました。
なお、私としては、被侵害利益の勘案による個別的利益の切り出しは、根拠法令の趣旨解釈で必要十分な場合もあると考えます(基本行政法が個別保護「要件」と名付けているのは、あたかも被侵害利益の内容・程度を常に考慮すべきであるかのような論調です。仮に一考慮要素に過ぎないという理解を前提としているのであれば、ややミスリーディングな気がします)。
そのため、伊藤先生の理解を支持しておりますが、先生ご自身の見解を聞きたいです。