確かに、侮辱罪の厳罰化が先日可決されましたね。しかしながら、依然として名誉毀損罪の法定刑に比べると侮辱罪の法定刑は軽いため、少なくとも名誉毀損罪との関係で法改正前の判例・学説の議論の前提が崩れるとは必ずしもいえないと思います(なお、直近の司法試験や予備試験との関係では現行法で出題が予想されるため、受験生がこの点について今の段階から深入りをすることは正直おすすめしません。試験に影響が出るのであれば基本書や予備校本、学者の先生方が論文をお書きになると思うので、その段階で勉強すれば足ります)。
名誉毀損罪と侮辱罪の関係性や保護法益論は司法試験の短答式試験で出題されていますし、どの基本書にも明確に書いていますので、そちらをまず解いて、解説を読んでみてください(念のため通説の見解に沿ってざっくり説明すると、両罪ともに外部的名誉を保護法益と考えられている一方で、事実の適示の有無によって区別されています)。
なお、侮辱罪の法改正が正式に施行されることになれば侮辱罪が成立する場合の逮捕要件が緩やかになることが予想されます(こちらは予備試験の短答式試験で将来的に出題される可能性はあるかと思います)。