大学学部,大学院その他の教育研究機関において,どのような問題意識にもとづいて,学習,研究およびそれに関連する活動を行ってきたか
という部分について、学部の講義内容から書いた結果、担当教授の専門分野だったので当然ながら担当教授の論文に近いものになってしまいました。盗用を疑われるくらいなら書き直そうと思うのですが、大学院側で調査が行われるのでしょうか。
参考リンク
盗用とみなされる恐れについて不安であるという趣旨の質問、拝読しました。そこでまず、一般的な観点から説明させていただきます。
【説明の概要】
講義でもお伝えしているとおり、論文に記載されている内容については、要は事実としては動かしようがないです。そのため、あくまでも、それの引用に留まる範囲で「事実の説明」として用いることが可能です。(つまり、~のような見解の論文があるに留まる程度)
ただし、その事実から導いた、教授の意見といった「評価」までをも全て引用してしまうと、問題があります。
①前提として、そもそもご自身の主張がないため、読み手に説得的に伝わりにくいという難点も当然あります。自分の意見ではない他説の紹介では、論理的かつ説得的に説明するには、かなり踏み込んだ理解をしている必要もありますし、また考えていないこともあり論理的説得的に説明できないというケースが往々にして存在します。
②またステートメント課題との関連性をどのように導くかという点でも、そのまま用いるのは、論理矛盾を生じさせないかという点で、なかなかハードルが高い・難しいところもあります。
③上記を前提としたうえで
評価項目についても他人の意見を引用した場合、いわゆる盗用に該当する危険が当然あります。特に法律に関する見解でしたら尚更です、一般的にはローの入試担当教員らが数人で読むわけですから、それは読んですぐに「これは〇〇先生の見解だな」と察知してしまうでしょう。だからこそ、その説明過程や評価の過程できちんと自身の考えを入れなければ(=自身の評価がなければ)ならないということです。
【さらに具体的に説明すると・・・】
上記を理解したことを前提に、さらに踏み込みますと
事実として記載したものとして質問者さんの述べた「学部の講義内容」があるというのは、動かしがたい事実ですし、それにとどまる限りは許容されます。
ですが、その事実をどう評価するかは、一般的には人により千差万別です。
事実や日本語の読み方に留まるものついては当然動かせない(いわゆる「動かしがたい事実」)ですが、それが正しく読めていることを前提とした場合には、人の評価は「意見」「考え」となります。すなわち、解釈や評価については教授の主張が正しいという方もいれば、それは妥当な解釈ではない・誤っていると主張する方もいます。
法律の世界における判例・学説・有力説・少数説、それを見ればわかりますよね
そしてステートメントを受験生に課す趣旨は、「あなたの考えを、読み手にもわかるように論理的・説得的に伝える」ということが、根本にあります。
だからこそ、ステートメントにおいて「あなたの考えがない」のであれば、それは評価されないということとなってしまいます
【解決策】
解決策としては、その教授の主張を聞いたうえで、あなたがどう考えたか(同意・一部同意・不同意)ということを書き、
そのうえで後2者であれば、現代社会で生活するうえでその主張だと問題点・不都合が生じる場面がないかというケースを想定し、それと将来像を関連させるという書き方が考えられます
前者の場合は、それが問題となる場面、現代社会における諸問題の事実、特に身の回りの事実などを想定して記載し、評価(教授の主張に関しさらにその必要性を抱いた等という形で補強)し、そこからそのような問題に対処できる・未知の現代社会の諸問題を解決しうる考える力を有する法曹(もちろん具体的な像は説明する必要はありますが)としての将来像に結び付けるというというようにすれば可能です。
いずれも、レビューや研究評釈、論評をするときの基礎となります。
ロー入試だけでなく、今後も含めて参考にしていただければ幸いです (さらに読む)
慶應のステートメントにおいて、参考文献・引用文献を明示することはいかなる評価につながると考えられますか?
合格者答案をみると、文献名を出しているものもありますが、基本的には引用は行っていないように思われます。
しかし、大学学部でどのような学習、研究をしてきたかを説明するように要求しているため、引用も許されるのではないかと思います。
参考リンク
下記の通り
藤澤たてひと先生より回答がございましたので
ご確認お願いいたします。
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原則(前提)
参考文献・引用文献を明示するということは、いわば「自分の主張が、客観的に見ていかに妥当性・合理性を有するか」ということを、客観的に担保(証明)するためのものです。そして、これにより、読み手に対し、一応の説得力のある主張であると認識されることとなります。(訴訟を想定して頂くとイメージが湧きやすいでしょうか)
以上の観点からすると、①引用も許されるか否かという質問に関する回答は「許される」となります。
また、②いかなる評価に繋がるかという質問の回答については、上記より、「その主張に妥当性が認められるか・根拠(理由)のある主張であるか」という限りにおいて、評価がなされることとなるでしょう。すなわち、それがあるからといって評価されるということまでは、以下(a)書類というごく例外を除き、大学側も想定をしていないということです。
(募集要項や説明会で案内のある通り、(a)TOEIC900点以上を証明するスコア書類については、その証拠書類があるだけで点数が自動加算がされる例外に位置付けされます。)
課題の文字数制限について(本問の個別事情)
もっとも、たとえば合格者答案②のように、判例をa説得力のない文章が出来てしまうこともあります。
そのため、構成段階では引用することを考慮して作成したとしても、実際の主張では削除することも十分に考えられます。
上記対立軸(引用はしたい、しかし文字数や内容の厚さとの関係で問題がある場合)を踏まえた上での解決策について
もっとも、このような事象は例年受験生に起こっています。そのため、改善策としては、
⑴まず、引用した文献をステートメント書類に添付
⑵ステートメントには主張をかいたうえで、その後にカッコ書き等で、「~については別添書類①下線部分参照願います」と記入し、資料を添付(※もちろん、どの書類が別添資料①であるか読み手にわかるように、資料にも「別添資料①」名などを記載の上で)し、その引用対象箇所に蛍光ペン等で線を引く
ということで対応することも可能です。
ーーー (さらに読む)