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一橋大ロー受験生必見! 一橋大学法科大学院入試 傾向と対策 ~2022年度 法科大学院入試対策ガイド 第8 回~

2021年11月1日   藤澤たてひと 

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一般記事 - 法科大学院・ロースクールを選ぶ - 藤澤たてひとの法科大学院受験シリーズ 2022年度版

8 一橋大学法科大学院入試 
傾向と対策 

11月13日試験を全力解説
一橋大ローを受験するなら見て損はありません!

(法学未修者コース・法学既修者コース共通です。)

  2022年度 法科大学院入試対策ガイド第8回は、一橋大ロー受験生必見 全力徹底解説!「一橋大学法科大学院入試 傾向と対策」です。

目次
1.入試科目
2.憲法
3.民法
4.刑法
5.民事訴訟法
6.刑事訴訟法
7.小論文(法学未修者)

 

1.入試科目 

 一橋大学法科大学院における入試科目は,憲法・民法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法である。配点については不明であるが,問題用紙表紙の記載内容(例として2019年度入試)から憲法100点,民法100点,刑法90点,民事訴訟法50点,刑事訴訟法60点の蓋然性が高い。

2.憲法

 一橋大学法科大学院については,2015年度入試以前については統治も出題されていた。また,過去には人権分野より1題,統治分野より1題が出題される傾向にあったが,現在は主に人権分野から出題される。

 人権分野・統治分野から出題していた頃の試験委員の教授が現在他の大学で教えていることや,既習1年次の憲法担当教員から外れたことから,試験問題の傾向が2015年度以降顕著に変わった。近年の試験委員はいわゆる新四人組と呼ばれる渡辺先生であることが強く考えられる。(そして恐らく2年次の憲法科目を担当しているのであろう。)

 2015年度入試以降,2019年度入試までは最新判例を題材として出題されていた(一例としてhttps://www.tkc.jp/law/lawlibrary/commentary/list/?tag=509)。2020年度入試頃までは最新判例から出題される可能性が高い旨を受験生らに伝えていたが、情報の拡散能力は恐ろしく、近年では出題傾向が変更されてしまった。
 なお昨年度入試問題については『事例問題から考える憲法』の設問15に非常に似た演習問題がある。最近は同書籍を含めた演習書に記載された問題から類題が出題されており,ネタ本をシフトしているようにも思える。

 それでも念のため最新判例から出題される可能性のある重要判例を以下ピックアップしておきたい。的中又は外れたとしても,受験生は最後の復習によく押さえておくとよい。特に規範部分についてはきちんと書けるか,手持ちの百選等で確認していただきたい(下記掲載裁判例では,たとえば薬事法判決など著名な判例より規範を引用しているため)。

・職業選択の自由関連:https://www.lawlibrary.jp/pdf/z18817009-00-011902044_tkc.pdf
・生存権関連判例:https://www.lawlibrary.jp/pdf/z18817009-00-011892042_tkc.pdf
・同性婚関連:https://www.lawlibrary.jp/pdf/z18817009-00-011872032_tkc.pdf
・表現の自由関連(重要):https://www.lawlibrary.jp/pdf/z18817009-00-011851996_tkc.pdf
・孔子廟判決:https://www.lawlibrary.jp/pdf/z18817009-00-011882034_tkc.pdf

 近年の傾向としては,表現の自由(21条)に関する論点が頻出している。特に表現の自由に関する諸論点については,重点的に抑えていただきたい。
 【入試過去問 論点一覧】
・2021年度入試:表現の自由,そのほかプライバシー権・請願権・思想良心の自由
・2020年度入試:表現の自由と名誉権との対立構造について
・2019年度入試:集会の自由(表現の自由)
・2018年度入試:職業選択の自由

3.民法

 問題文や傾向を見る限り,2018年度と,2019~2020年度,2021年度入試の試験委員はそれぞれ異なっているように思える。恐らく2018年度は滝沢教授,2019年度~2020年度は現在の司法試験委員の教授,2021年度以降は問題形式を踏襲しつつも傾向が変わったため,別の教授が作成しているように思える。そうすると,今年度についても2021年度と同様の問題形式で出題されることが考えられる。

 現司法試験型ではなく,小問のうち1つは旧司法試験の事例問題に似ている。その反面で,小問2については改正法の知識を問うという点で,民法についての基礎知識や理解力が強く問われる試験問題となっている。

 ただし,ここ毎年必ず総則分野の問題を絡ませて問題が作成されている。特に代理や時効,取消権行使については今一度きちんと復習していただきたい。そして受験生には,論証集を覚えるよりも,定義を確認しつつ,最終的には入門書等(予備校の受験本でも可)を用いて知識の総復習を行うとともに,重要条文を今一度確認していただきたい。特に新法施行により大きく変わった箇所(旧法では一大論点であった危険負担や瑕疵担保責任など)について,新法ではどう変わったか,どのように解答すればよいか,今一度総復習していただきたい。

 改正民法が施行されているが,予備校の演習書ではまだ改正法についての問題演習の量は薄く,網羅できていないように思える。近年の法科大学院入試では,試験委員も予備校の現状を気付いているようで,法改正箇所から出題されることが非常に多い。

 まだ2週間あるので,ぜひ最後に総復習をしていただきたい。

 【入試過去問 論点一覧】
・2021年度入試小問1:詐欺及び錯誤取消,121条の2第2項の解釈を問う出題
・2021年度入試小問2:不動産対抗要件,詐害行為取消権に関する基本知識を問うもの
・2020年度入試小問1:未成年者の法律行為の取消に関する諸論点,即時取得
・2020年度入試小問2:請負人の契約不適合責任に関する諸問題
・2019年度入試小問1:物権的返還請求権の抗弁を検討する問題(例:94条2項類推適用)
・2019年度入試小問2:総則における取消権行使を検討させる問題

4.刑法

 こちらも,近年では出題者が変更されたように思える。事実,刑法教員が定年となったため,他の法科大学院に移っていることから,その蓋然性は高い。

 しかし,近年の出題についても過年度のものを踏襲している。具体的にはいずれも「〇の罪責を論じなさい」というものである。

 既修者コースに早期卒業入試枠・制度が導入された2019年度では,賄賂という受験生にとっては比較的理解が薄い範囲から出題されているものの,全体的な難易度は易化したが,近年では放火等の論点を出しつつ,上記年度よりも難易度は向上している。

 特に放火罪,財産犯については近年頻出である。放火罪は勿論のこと,詐欺・横領・窃盗・強盗といった分野については,いわゆる事件記録を検討させる課題や、一般的な事実認定教材においても頻出であるため,必ず復習していただきたい。また,刑法については特に定義集・論証集を用いた総復習が非常に有益であるため,個人的にはお奨めしたい。そしてその際には,どの構成要件要素について検討しているのか,条文の文言に則してきちんと復習していただきたい。

 【入試過去問 論点一覧】
・2021年度入試小問1:放火罪,不作為犯の成立要件と因果関係の判断
・2021年度入試小問2:1項強盗・2項強盗・事後強盗,詐欺罪と窃盗罪の峻別方法
・2020年度入試小問1:共謀共同正犯の成否,共犯と錯誤
・2020年度入試小問2:現住建造物等放火罪の要件等について理解力を問うもの
・2019年度入試小問1:殺人罪における実行の着手(間接正犯),方法の錯誤
・2019年度入試小問2:賄賂罪(単純収賄罪等)における要件検討と理解力を問うもの

5.民事訴訟法

 一橋大学法科大学院には民事訴訟法の教員は充実しているためであろうか,毎年出題傾向が異なる。あくまでも寄せられた情報や在学生等へのヒアリングに基づき情報を精査する限りでは,毎年出題者は次年度(つまり皆さんが一橋大学法科大学院に入学する年度)の担当教員が作成している可能性が高い。

 そうすると,在校生らの情報を精査する限りでは,2019年度入試の民事訴訟法担当者と今年度の入試担当者が同様である可能性が非常に高い。

 2019年度入試については,当時改訂されたばかりであった『Law Practice民事訴訟法(第三版)』にて最新判例を踏まえ演習問題が追加された個所から出題された(同書発展問題4)。また,民法改正により影響が生じかねないことから当時学説等で議論が盛んであった独立当事者参加についての問題が出題される等,当時の事情を踏まえた上で問題が作成されていた。

 そのように考えると,今年度の入試についても複雑訴訟についてもきちんと復習をしておく必要がある(固有必要的共同訴訟など)。また,今年夏に『Law Practice民事訴訟法』も第四版に改訂されていることから,改定箇所の問題について一通り目を通しておくことを薦めたい。

 なお,2021年度入試についても,『LawPractice民事訴訟法(第三版)』【基本問題6】をやっていた方にとっては,同入試は復習問題のようなものであった。一橋大学法科大学院の教授らが作成していることもあり,繰り返すが同書籍の重要性は非常に高い。同演習書に載っている範囲から出題される傾向にあることから,受験生はぜひ一度は目を通していただきたい。
 当社では同書の解答例を付した講義を販売している(https://bexa.jp/courses/view/296)。仮に解答例等不明点があれば、ぜひ有益に利用いただきたい。

 【入試過去問 論点一覧】
・2021年度入試:代表権と表見代理(小問1),弁論主義第一テーゼの適用範囲(小問2)
・2020年度入試:157条の理解力を問う問題(小問1),一部請求と残部請求(小問2)
・2019年度入試:当事者適格(訴訟担当制度),既判力の及ぶ範囲,独立当事者参加
・2018年度入試:境界確定の訴え(小問1),控訴をしない旨の合意の有効性(小問2)

 参考までに・・・
 2019年度入試民事訴訟法については,私藤澤による監修のうえ,幣ブログにおいて問題解説を行っている。出題の趣旨が出る前に作成したものであるが,自分で解くことが出来ない等の壁にぶつかった際には,ぜひ一読していただきたい。平易な言葉で私藤澤が当時の受験生(合格者)に対して解説したものを,文字起こししたものである。
・前提:https://law-information2019.hatenablog.jp/entry/2018/12/29/120829
・当事者適格:https://law-information2019.hatenablog.jp/entry/2019/01/03/215708
・既判力・独当参加:https://law-information2019.hatenablog.jp/entry/2019/01/09/174408
・合格者による模範解答例(講義を纏めた上で作成したもの。監修に留まる)
https://law-information2019.hatenablog.jp/entry/2019/01/10/004124

6.刑事訴訟法

 2015年度以降,かつて一橋大学法科大学院の刑事訴訟法の担当を務めていた村岡啓一教授の意向もあり,刑事訴訟法の入試問題では伝聞法則は出題しないという暗黙の了解があり,2020年度までそれが維持されていた。入試に出しても受験生の殆どが理解していない(教授の及第点を取ることが出来る水準の合格者答案がない)ことから,入学後の補講期間や夏期を利用して,集中講義をし,伝聞法則を含めた証拠法の理解を一橋大学法科大学院生に伝えるというものである。

 しかし,昨年度,突如として伝聞法則に関する問題が出題された。出題者が今までと変更があったことが強く予想され,恐らく昨年度の出題者は,法科大学院にて刑事証拠法の講義を担当する教授(『基本刑事訴訟法』等の著者)であろうか。

 今年度についても入試担当者が踏襲されるとは限らない。しかし,一橋大学法科大学院入試で2015年度前後から続いていた黙示の慣行は崩れ去ったため,受験生は証拠法も含めて勉強する必要がある。

 なお,2020年度以前の問題については,非常に難易度が高い問題であり,基本概念から解答を導くことが出来れば,一応の水準を突破できるものであった。2020年度以前のような問題が出題された場合には,たとえば当事者主義等といった基本概念をきちんと理解しておかなければ太刀打ちが出来ない。つまり,同年度以前では論証パターン答案を潰すために作成した問題であり,受験生の理解力が非常に問われるものである。

 証拠法に関する問題や,2020年度以前の問題についても,理解力がモノを言う。予備校の入門書などでも構わないため,一橋大学法科大学院入試の場合は最後に全体をきちんと復習しておくことが合否のカギとなる。論証パターンもよいが,それでは対処できない問題がかつてより出題されていることから,受験生には残り少ない時間で,入門講義等を含めて一度短時間で総復習していただきたい。

 時間があるようであれば,同法科大学院刑事訴訟法教員が作成に携わっている『基本刑事訴訟法Ⅱ』(日本評論社)で論点を確認し,理解度を高める学習方法を薦めたい。

 【入試過去問 論点一覧】
・2021年度入試:伝聞法則,犯罪事実認定の際の推認過程の理解力を問うもの
・2020年度入試:被疑者の身体拘束からの解放手段,刑事弁護制度の趣旨
・2019年度入試:起訴便宜主義,訴因制度について理解を問うもの 
・2018年度入試:当事者主義,直接主義と口頭主義に関する諸問題

7.小論文(法学未修者)

 既に他の法科大学院入試対策や,BEXAにて連載済の『第三回 筆記試験対策について(法学未修者コース入試編)』で述べた通りである。ここでは内容が重複するが,小論文の対策についてはどの法科大学院入試についても共通することから,再掲する。

 日々の対策方法については,BEXAにて連載済の『第三回 筆記試験対策について(法学未修者コース入試編)』で述べたとおりである。一橋大学法科大学院では出題の趣旨が公表されているが,採点基準や解答例に関する案内は掲載されていない。そこで日々の演習や模試代わりに利用するのに最適な過去問として,関西学院大学法科大学院の入試問題が挙げられる。同大ローの入試問題は一橋大ローと問題文の量や設問形式が似ており,他方で出題の趣旨だけでなくロースクール公式の解答・解説も公表されている。ロースクール側が受験生に対しどのような解答を求めているか把握する材料としても適切であり,日々の小論文問題演習の材料として利用いただききたい。また,捨てずに保管しているのであれば,同大学学部入試の小論文等を利用することも有益であろう。

 次に,その他の一橋大ロー特有の注意事項を述べる。
一橋大ローの入試問題の特徴として,慶應ローよりも増して問題文の量が多い傾向にある。また文章も難解である。そのため,集中力を維持させるとともに,設問内容を適切に把握する能力が必要不可欠である。

 評論文は基本的に,主張箇所(claim)と,それを肉付けする具体的事実と根拠箇所(data(evidenceと表現するものもある),warrant)にわかれている。後者はあくまでも筆者の主張を正当化させるための事実や証拠に過ぎない。

 長文をメリハリつけずダラダラとよんでいると,読解中に集中力が切れ,内容を理解できず,問題文の主題と全く異なる解答を作成しがちである。そうすると,筆記試験の成績は期待できず,最悪の場合筆記試験で不合格となってしまう。

 問題文を読む際は,①まずは問いを正確に把握する,問われている内容が何か・キーワードは何か正確に把握し,②具体的な事実や例(例えば歴史上の人物の意見)を挙げている個所は,あくまでも筆者の主張・意見を補強する事実に過ぎないこと(もちろん,筆者がその意見を批判するために用いる場合もある),③筆者がどういう立場を採用しているのか文章全体から把握する(要は頭の中で要約する)ことが必要である。

 要は,不必要に具体的事実と根拠(data, warrant)が記載されている個所に引っ張られるのではなく,具体的な例を挙げた後又は挙げる前提として出てくる「筆者の主張」を適切に把握することが重要である。

 そのため,問題を解く際には,筆者が問題文で挙げる具体例に引っ張られ過ぎて,問いで聞かれている事項を見失わないよう注意したい。そして,なによりも試験時間中は集中力を切らさず,問題文の内容を適切に把握して欲しい。

 

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