第16回:「ポケモンGO」のビジネスモデルに学べ~ 顧問先が持つ「ポケモノミクス」の種を活かせる弁護士に ~

 皆さんこんにちは。マーケティング・コンサルタントの瀬本です。本連載は「弁護士さんが中小企業の顧問先を増やし、収益を上げる」為の講座です。

その経済効果に「ポケモノミクス」との声も

 今、街中でスマホ片手にポケモンGOをプレイしている人が急増中です。主要な都市やレアポケモンが出る公園などにはそれまででは考えられないほどの人で溢れているとのこと。
 世界中を席捲している「ポケモンGO」が日本でも7月22日に配信スタートしました。これまで屋内で遊んでいたスマホゲームプレイヤーが続々と屋外へ。彼らのライフスタイルを変えたその経済効果は10兆円規模とも言われ、「ポケモノミクス」とさえ言われるように。
 確かに筆者の自宅周辺にある公園や川辺でも夜にスマホ片手に何かを探している男女の姿を見るようになりました。このスマホゲーム、配信前から大きな経済効果が予想されていましたが、今やその予想を覆すほど大きなものに。
 欧米圏で「ポケモンGO」アプリのダウンロード件数の3分の2を占めるアップルは、アイテム課金手数料だけで年30億ドルを稼ぐだろうと予想。米国などで配信が始まった6日以降、任天堂の株価は約2倍に上昇し、時価総額は約2兆円も跳ね上がったようです。コラボしている日本マクドナルドは大幅な集客増が見込まれ、その経済効果は「トータル10兆円規模で政府の景気対策並みになる」と予想する経済評論家もいるくらいです。
 本当に10兆円規模であるならば、オリンピックでの経済効果をはるかに上回ることに。その効果はすでに関連業種にも波及し、全国の家電量販店では充電器の販売額が前年度の1.9倍となり、売り切れ状態。その影響力に「ポケモノミクス」との声も。
 

ハイブリットのビジネスモデル

 このゲームが従来のものと比較して大きく違うのは「外へ出て歩く」こと。家の中にこもっていたら楽しめないだけに、多くの人が外へ。確かに、この行動が消費促進につながる事になる可能性は大きいと思います。外へ出たらのどが渇き、腹も減る。当然、自販機やコンビニ、そして飲食店や駐車場の利用者は増えるでしょう。「靴メーカー」が儲かるという人もいれば、「交通違反者が増えて違反金による税収入が増えるのでは」というような笑えない話も。中には「レアポケモンが出る店」とのPRを行い集客増に結び付けている路地裏のレストランや、このブームを利用して自社の業績UPを狙うしたたかな中小企業も出てきました。
 今後、多くの企業が「ポケモンGO」とのコラボを進めることは容易に予想されます。これまでは課金が収入のメインであったスマホゲームですが、企業とのコラボによってそのビジネスモデルが大きく進化する可能性も。これまでは、ひとつのコンテンツにはひとつの収益モデルというのが基本でした。ところが「ポケモンGO」の場合は課金、広告、コラボ等の多角的な収益が見込まれます。まさに「ハイブリッド」なビジネスモデルです。その傾向は「妖怪ウオッチ」ですでに示唆されていたことですが、改めてその可能性が拡がっていることを感じます。
 

中小企業にも「ポケモノミクス」の種がある

 最近トーンダウンした感がありますが、配信当初は「ながら歩き」による事故や、庭先に侵入された住民とのトラブルなどを通して社会問題として報道されていました。ただ、批判するだけが能ではありません。「ポケモンGO」はキッカケさえあれば多くの人が多くの消費を行うという事実を証明してくれています。「光るもの」であれば、どんな小さな会社の技術や商品であっても大企業とコラボする可能性が拡がっていることは間違いありません。
 先月、筆者もベンチャー経営者が開発したある画期的な技術を使った商品を見つけて大手企業に紹介したところ、さっそくこの商品を売りだす為のプロジェクトが誕生しました。今、彼のところには様々な業種の大企業から契約の打診が。おそらく百億単位でのビジネスになることでしょう。例え零細であっても光るものを持っている会社であれば「ポケモノミクス」的なビジネスを生むことができるという好事例だと思います。
 筆者はこのような「光るもの」を持った中小企業と有力企業との媒体となることで、顧問先からの信頼を得ています。顧問先のトラブル解決やリスク回避の為のコア業務だけではなく、顧問先が持つ「光るもの」を活かすような行動をしてみませんか?おそらくあなたの活動領域は格段に拡がるはずです。もし、そのような種があっても、どこにどのように繋げて良いかわからない場合は筆者に相談して下さい。皆さんの顧問先を収益力ある企業へと進化させるお手伝いができると思います。次回は8月31日です。

 

講師紹介

瀬本 博一

米国PWU大学院でPh.D(経営学博士号)を取得。

1957年生まれ

米国系コンサルティング会社主任コンサルタントを経て

㈱CESを設立。代表取締役。

2000年に弁護士、税理士等の全国組織「NPO法人PRENET21」を設立し、

事業再生の第一人者として中小企業の競争力UPを指導。300社にのぼる会社を優良企業に成長させた実績を持つ。

近年は弁護士事務所や税理士事務所のビジネスモデル改革を指導し、収益力UPを実現。

15社の社外取締役等も務める。

著書に「御社だけのビジネスモデルを創りなさい」「CLマネジメントの時代」「事業承継の考え方と実務」他多数。経済誌「コロンブス」にて事業再生ノウハウを連載中。
 

ビジネスモデルの神様が伝授する「儲かるしくみ」バックナンバー

講師著作の紹介

2016年8月9日  

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