ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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本問は物権的構成で書くのはやめておいた方がいい問題ですが、その理由は登記や占有絡みではなく、「当事者間に契約関係がある」からです。
まず、当事者間に契約関係がある場合には、その契約関係に基づいて物の引渡しや金銭の支払いを請求できないかを考えます。本問では売買契約という契約関係があるので、この契約関係に基づいて乙不動産の登記や引き渡しができないかを考えます。
これに対し、物権的請求権が出てくる場合は「当事者間に契約関係がない」場合です。当事者間に契約関係がない場合には基本的に何も請求できませんが、その場合でも誰に対しても主張できる物権的請求権は使用可能です。しかし本問は、当事者間に売買契約がありますので、契約関係に基づく請求を行います。
このように当事者間に契約関係があるかないかを見ることで、使うべき法律構成を正しく選びやすくなります。本問のように契約関係がある場合には、その契約に関する条文を債権法や総則から探して使います。
一方で契約関係がない場合には、物権的請求権・法定債権3つ(事務管理・不当利得・不法行為)・相続や時効・債権者代位権や詐害行為取消権あたりが候補になる場合が多いです。