ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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この場合は、当事者への強制力までは認められないだろうと考えられます。
まず『新民事訴訟法』(成文堂)の237~238頁には、「職権調査というのは当事者の申立てがなくとも、職権によって顧慮するというだけであって、顧慮してその点を取り上げた後で、それに関する資料の収集をどうするかは職権調査とは別の領域の問題である」とし、その上で職権調査事項かつ弁論主義の範囲に属する訴訟要件である「任意管轄、訴えの利益、当事者適格(対世効のないもの)に関する資料収集は弁論主義による」との説明があります。
この説明からすると、裁判所は職権調査によって上記訴訟要件を顧慮することはできるものの、実際の資料収集については弁論主義によって当事者に任されていると読めます。
そのため、資料収集自体は当事者の責任かつ権能となり、当事者が上記訴訟要件について協力的でない場合には、裁判所が強制することもなく、資料が足りなければ訴訟要件を満たさないという扱いになると考えます。