ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
-----
本問特有のひねりとして、「Aについて甲乙両名が利用行為をしている」という点があります。そのため、甲の単独の間接正犯としてしまうと、このひねりの部分に答えられないという問題点が生じます。
したがって、間接正犯については上記のひねりに答えるという形で、甲乙両名の行為2・3について先に共同正犯を認めた上で、Aを甲乙両名の間接正犯の被利用者として処理するのが答案例です。
もっとも本問は非常に難しい問題ですので、実践的には甲の単独で間接正犯を認めても合格ラインに乗ると考えられます。
そのため、甲が乙への協力依頼を通じてAを一方的に支配利用しているとして、甲・A間で単独の間接正犯→甲乙間で重なり合う傷害致死罪の限度で共同正犯とするのが、実践的にはあり得ます。
ちなみに、挙げていただいた甲乙の障害からの傷害致死⇒甲の殺人罪の間接正犯は、順番が逆の方がおそらく無難です。より重い行為から検討するのがセオリーなので、黒幕である甲の単独の間接正犯→協力した乙との関係で甲乙に傷害致死罪の共同正犯の方が流れがよいと考えます。