ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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これについては、GPS大法廷判決との兼ね合いから「本件(GPS大法廷判決)で問題とされた被侵害利益が…憲法35条の保障するものであったことから、被侵害法益が重要なものであるということを簡明に説明できるため、このような表現を取ったものであって、強制処分として認められるためには非侵害法益がすべからく憲法の保障するものでなくてはならないことを意味するものではないと解される」という旨の調査官解説があります(『事例演習刑事訴訟法』20頁)。
そのため、上記解説から「非侵害法益がすべからく憲法の保障するものでなくてはならないということまでは意味しない」といえるところ、被侵害法益がそもそも憲法の保障するものであること自体が必須ではないと考えられるので、33条・35条以外の条文から「重要」かどうかを基礎付ける説明はあり得ると考えられます。
すなわち、被侵害法益の重要性について憲法による保障が常に必須ではないと考えられるので、33条・35条による保障だけが常に必須ということにならず、33条・35条以外の他の条文からも「重要」性を基礎づける余地はあると思料します。
また、上記解説の「被侵害利益が…憲法35条の保障するものであったことから、被侵害法益が重要なものであるということを簡明に説明できるため、このような表現を取った」という点から、33条・35条から説明できない権利は一律「重要」ではないということにはならないと考えます。
これは、本件で35条による説明が簡明だったために同条が引用されたという意味合いであり、33条・35条から説明できない権利だとしても「重要」性を否定することには直結しないと思料します。
したがって、他の条文から説明できる権利であっても「重要」性を基礎づける余地はあると考えられます。