ご質問をいただきありがとうございます。
この場合には、「乙は現場で全ての事情を了解していることから、不法領得の意思は問題なく認められる」と認定するのが一手です。
本問では、たまたまN支店内にいた乙が、甲から声をかけられて全ての事情を了解しているので、乙の主観面においては、犯罪成立において問題となる点はないと読み取れます。
そのため、問題文の下から7行目にある「直ちに全ての事情を了解」というフレーズを使って、故意や不法領得の意思を認定すれば足ります。また、このフレーズに気づけなかったとしても、乙の主観面において不法領得の意思の成否にかかわる事情はないので、「乙の行為態様から、不法領得の意思は問題なく認められる」と簡潔に認定しても問題ありません。