ご質問いただきありがとうございます。
これは、取締役会決議での意思決定という会社内部の事情は外部の人からは分からないので、そのような外部から把握しにくい事情によって、外部との取引安全を害すべきではないという発想です。
ここでは、会社の内部事情を知らない外部の人はてっきり新株発行が問題なく有効だと信じて取引しているので、会社の内部事情という外部の人からは分からない事情によって新株発行が無効となってしまうと、「有効だと信じて投資したのに…」となってしまいます。要するに、外部からは把握しにくい会社の内部事情によって新株発行が無効となってしまうと、内部事情を知らない外部の人にとっては不意打ちになり、取引安全を害します。
すなわち、Eが取締役会決議での意思決定を容易に知りえないというような会社の内部事情については、その内部事情を根拠に新株発行を無効としてしまうと、内部事情を知らない外部の人はてっきり問題なく新株発行が有効だと信じているのを不意打ちで裏切られることになります。
したがって、外部から把握しにくい会社の内部事情によって新株発行を無効としないようにすることで、内部事情を知らない外部の人の取引安全や信頼(新株の取引安全の重視)を守ることにつながるのです。