ご質問いただきありがとうございます。
これは写実的証拠の内容や使い方にもよりますが、その写実的証拠が犯行状況などを撮影した現場写真などの非供述証拠といえる場合であれば、伝聞証拠にはそもそも当たりません。伝聞証拠は供述証拠であることが前提なので、非供述証拠となるものについては、そもそも伝聞法則が適用される余地はありません。そのため、321条以下を検討することはありません。
この場合は、自然的関連性や違法収集証拠排除法則からの証拠禁止との関係で問題がなければ、証拠能力が認められます。
録音テープの場合には、その録音された会話などを話した原供述者が存在するため、その原供述者の供述過程が問題となり、伝聞証拠としたうえで後は伝聞例外を検討します。つまり、録音テープに録音された音声や会話といった録音内容の真実性が問題となる場合には、伝聞証拠となります。そしてこの場合は、録音された会話等の原供述者が被告人以外か被告人本人かに応じて、321条1項各号又は322条1項で伝聞例外を検討します。
最後に伝聞例外を検討する場合には、録音自体は機械的に行われており、供述録取者の供述過程に準じる過程が存在しないので、お考えのように署名・押印が不要となります。署名・押印は、捜査官などの供述録取者の録取過程に問題がなく、原供述者の供述の正確性を保証する意味合いがあるところ、録音テープの場合には機械的正確性をもって原供述者の供述が録音されており、録取の過程に問題がないからです。