ご質問いただきありがとうございます。
①について
本問では、「必要な処分」を超え違法とはしない方が無難です。
「必要な処分」とは、捜索・差押えという本体的処分に伴う付随的行為と考えられますが(『リーガルクエスト刑事訴訟法〔第2版〕』128頁)、本問におけるカバンの鍵の破壊と中を除く行為は、捜索という本体的処分そのものと考えられるので、「必要な処分」とはいいにくいと考えます。
この場合は私見になりますが、捜査比例の原則(197条1項本文)を使うのが一手と思料します。捜査比例の原則は、「強制の処分」にあたると否とにかかわらず、その目的達成のために必要・相当な範囲で行うことができる(『リーガルクエスト刑事訴訟法〔第2版〕』49頁)ので、捜索の行為態様が行き過ぎであれば、上記の捜査比例の原則から違法とする余地があると考えます。もっとも本問では、行為態様に関する事情が少ないので、この部分は問われていないと考え、端的に適法とするのが無難です。
②について
米子強盗事件の規範を使う場合でも、答案例と同様に、まずは強制処分か否かを検討するという処理になります。
ここでは、行政警察活動である所持品検査が「捜索」に該当するか、又は「強制にわたる」場合には違法となります(『リーガルクエスト刑事訴訟法〔第2版〕』61頁)。そこで、警職法2条3項が警職法上の強制処分を禁止していることを踏まえ、警職法2条3項の禁止する強制処分は、刑訴法197条1項但し書の「強制の処分」と同義と解される(『事例演習刑事訴訟法〔第3版〕』38~39頁)として、強制処分か否かを検討します。ここは、警職法2条3項との間で強制処分の該当性を検討するという形になります。