ご質問いただきありがとうございます。
3行目のパチンコ等に生活費をつぎ込んだという事情は、Xが有印私文書偽造罪に至るきっかけとなる事情ですので、独立して触れる必要はないと考えます。
この事情は、たしかに単純横領罪と捉える余地も全くないわけではないのですが、仮に単純横領罪など財産犯を検討させる場合であれば、もっと多くの事情が問題文に記載されるはずです。しかしそのような事情はないため、この3行目の事情は、Xの有印私文書偽造罪につながる前提事情に過ぎないと読み、独立して触れる必要はないと考えるのが無難です。
Yのクレカ貸与とそれに伴う指示は、幇助犯とは考えません。幇助犯とは、既に犯罪を行う決意を固めた者を援助する場合をいいます。すると、Yの上記行為は、その行為によってXが詐欺罪等に走ってしまったきっかけとなったものなので、既に犯罪を行う決意を固めた者を援助したとはいえず、幇助犯に当たりません。
ここは、Yの上記行為によって、Xが詐欺罪等を行うのを決意させてしまったものとして、教唆犯を検討すべきです。