ご質問ありがとうございます。
まずこれは、同一債権ではありません。Aが代物弁済として使ったのは「AB間の売買契約における100万円の代金債権(本件債権)そのもの」であり、AがCに対して本来負担していたのは、「AC間における貸金債務」です。
AはCに貸金債務を負っていたということは、Aは本来であればCにお金そのもので弁済することが予定されています。つまり、AはCに対して1万円札を100枚持っていく必要があります。
しかし、1万円札100枚分の支払いの代わりに本件債権という権利をCに譲り渡すことで、これは100万円を現金で払う代わりに100万円分の権利(本件債権)を渡したという処理になる結果、100万円という現金に代えて100万円分の権利で代わりに支払ったとなり、代物弁済となるのです。
また、問2の58行目以降で履行遅滞になっているのは、AB間の売買契約ではなく、AC間の貸金支払債務です。問2では、AB間の売買契約は解除されているので本件債権は消滅しており、あとはAC間の貸金債務が残るのみになります。この貸金債務の弁済をAが遅滞したのであれば、貸金100万円が損害となり、さらに遅延損害金や利息が付きます。
この問題は、ABCの3人が出てきて入り乱れるので、「誰の誰に対する請求が問題となっているか」を注意深く検討することが求められていました。