これは論文問題としては、②狭義の同一性について基本的事実関係の同一性・非両立性を検討すればよいケースがほとんどです。つまり、基本的には②を中心に検討し、①を併せて検討することはほぼありません。
論文問題で訴因変更の可否が出題される場合には、検事の設定した当初の訴因と裁判所が心証を得た事実にずれがあり、検事が有罪獲得に当たって当初の訴因を裁判所の心証どおりの事実に変更できるかが問われる場合が多いです。そのため、②狭義の同一性が問題となり、当初の訴因と裁判所が心証を得た事実に基本的事実関係の同一性・非両立性があるかを問題文の事実を使って検討します。
したがって、論文問題では②のみ検討すれば大丈夫な場合がほとんどです。①は、住居侵入罪と窃盗罪のように2つ以上の犯罪をしても牽連犯として一罪になる場合の話が典型例ですが、これが今の論文で問われることはほぼ無く、問題文の事実の検討をさせやすい②だけが出題される場合がほとんどです。