ご質問ありがとうございます。
まず憲法においては、パターナリスティックな制約といったような特定の要素・性質等から一義的な評価や結論が導かれることは多くはありません。同じような要素・性質等であっても、違憲・合憲のどちらにつながるかは事案や文脈による場合が多いです。
そのため、「パターナリスティックな制約であれば違憲の方向に評価される」とか「パターナリズムな考えに基づく目的は原則として違憲であるが、青少年は未熟であるから情報の選別能力が不十分であるため、例外的に目的の重要性が認められる」というように、特定の要素や性質等から、一義的な評価や結論が出るわけではない場合が多いと考えます。
これは憲法の面白くも難しい点ですが、様々な要素・性質等を柔軟に考えたうえで、事案や文脈に応じて適切な処理を行えるかが重要であり、一義的に答えや評価が定まるわけではない場合が多いのです。
そうすると、P11の答案例であれば、青少年は尊重されるべき個人としては未成熟であることから、パターナリスティックな制約は重要といえます。
つまり、成年者に対してパターナリスティックな制約をするのであれば、それは成年者という成熟した大人に対する余計なおせっかいとして重要とはいえないとする余地も十分ありますが、本問は「青少年を刺激の強い性的表現から守る」という文脈なので、青少年保護の観点から重要といいやすいと考えるのです。
このように、パターナリズムな考えに基づく目的だから原則違憲・例外的に重要という一義的なものではなく、あくまでも事案・文脈によって相対的にその意味合いを考えることになります。
結論として憲法は、(できれば判例・学説を念頭に置いたうえで)問題文にある様々な要素を柔軟かつ常識的に粘り強く考え、それを分かりやすく文章表現できるかという点が重要なので、ぜひ4Sの学習を通じて柔軟に考える視座を身につけられるととても良いです。