ご質問ありがとうございます。
このタイプの問題の対策としては、短答対策で得た知識を何とか転用するのが現実的です。
まず、令和5年の憲法の素材となった判例自体は、短答過去問で何度も出題されています。そのため、短答過去問をやり込んでいれば、少なくとも「職業の秘密」からの比較衡量で規範定立していたということは頭の片隅には入っている形になります。
そこから、試験本番では短答過去問で得た知識として規範が「職業の秘密」からの比較衡量だったという点さえ何とか想起できれば、後は規範を現場でそれとなく記述し、そのうえで問題文の事実を使い切るつもりで検討すれば大きく沈むことはありません。
これは残酷な言い方になってしまうのですが、この問題を見た時に素材判例や「職業の秘密」からの比較衡量の規範が本当に全く思い浮かばなかったのであれば、事前の準備不足と言われてもやむを得ない側面はあります。
短答過去問は、中村先生も仰るように「試験委員会からの公式インプット素材」といえます。そして、短答過去問でこの素材判例が「職業の秘密」からの比較衡量の規範で処理されているという点が何度も出題されている以上は、何となくでもよいので、この素材判例では「職業の秘密」からの比較衡量の規範が使われていたというレベルの理解・記憶は最終合格に当たって求められているといえます。
そのため、近年の予備試験の憲法論文の対策としては、4S論パタの人権パターンを押さえるのと並行して、①短答対策など日頃の学習を通じて、主要な判例の判断枠組みは大雑把でもよいので何となく把握しておくこと、②論文試験本番では、短答対策で得た知識を何とか想起して大まかでもよいので判断枠組みを定立したうえで、後は問題文から検討してほしいポイントを見抜いてそこを重点的に論述し、当てはめでは問題文の事実を使い切るつもりで少しでも豊富・的確に論述するのが現実的です。
やや厳しいことも言ってしまいましたが、日頃の学習を通じて重要判例の判断枠組みを大まかでもよいので地道に押さえつつ、論文ではその重要判例についてカジュアルに言及するという心構えで学習いただければ大丈夫です。