ご質問ありがとうございます。
これはおそらく、「犯罪の完遂が物理的には可能だが、行為者の気持ちの問題として完遂ができない」という場合だと考えられます(『基本刑法Ⅰ』294頁参照)。
そうすると心理的に出来ない場合とは、同書293頁の事例4にあるように、客観的には犯罪の継続が可能だが、犯人が何らかの心変わりをし、これ以上は犯行を継続したくないと考えた場合があり得ます。
この事例4では、犯人Xが被害者Aを傷害後に、Aが出血したのを見てXが我に返り、応急処置をして救急車を呼んだという事例です。ここでは、Xの犯行継続は客観的・物理的には可能と思われますが、気持ちの問題として「大変なことをした」と我に返り、Xは心情的にこれ以上の犯行継続が不可能になっています。
このように、客観的に見れば犯行の継続・完遂は可能であるものの、犯人が何らかの理由で心変わりし、気持ちの問題としてこれ以上犯行を継続できないとなった場合が、心理的にできない場合であると考えられます。
この箇所については、『基本刑法Ⅰ』をお持ちであれば、同書の292~296頁を熟読してみて下さい。