ご質問ありがとうございます。
本件は、供述者をWという「被告人以外の者」と考え、Wの供述した内容を記した公判調書を伝聞証拠とするからです。
本件では、Aの『』内の台詞は供述証拠ではないと考えるので、Wを供述者と見ます。そのため、被告人Aの台詞の伝聞該当性が問題とならないことから、324条経由で322条を検討しないのです。
そして、供述者が被告人以外の者であるWと考え、Wの発言を記録した公判調書を321条1項で検討します。
仮に、Aの『』の台詞が供述証拠として伝聞証拠に当たるのであれば、この台詞の伝聞例外を考えることになるので、その場合であれば324条・322条を使いますが、本件ではAの台詞をそもそも供述証拠としていない(又は供述証拠と見ても、精神状態供述なので伝聞法則の趣旨が妥当しない)ので、この法律構成はとらないのです。