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財産権の判断基準について
判例の総合衡量の一般論を示した上で、下位基準として、権利内容や制約の程度を考慮し、立法裁量が広いと合理的関連性を、立法裁量が狭いと実質的関連性を要求する手法を採っても問題ないでしょうか。
「正当化の厳格度は、個人の自己責任に基づく生活形成と権利内容の関連によって定まる」（渡辺ほか『憲法Ⅰ〔２版〕』375頁）という説がありますが、判例との乖離が大きく、悩ましいです。
違憲審査基準につき、合理的関連性の基準と実質的関連性の基準を区別するのはよいと思います。
判例の総合考量については、結論を左右するものではないので、触れるとしても簡潔でよいと思います。
もっとも、何をもって「立法裁量が広い」とか「狭い」とするかの問題があります。ひとつの目安としては、原則としては立法裁量が広いが、①既得権に対する制約である場合、②憲法上の財産権の原則形態に対する制約である場合には、そことの乖離につき立法事実に立ち入った判断を要する、という整理が良いように思います。
判例の総合考量については、結論を左右するものではないので、触れるとしても簡潔でよいと思います。
もっとも、何をもって「立法裁量が広い」とか「狭い」とするかの問題があります。ひとつの目安としては、原則としては立法裁量が広いが、①既得権に対する制約である場合、②憲法上の財産権の原則形態に対する制約である場合には、そことの乖離につき立法事実に立ち入った判断を要する、という整理が良いように思います。
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ご回答ありがとうございます。
流儀の平成18年解説と合わせて参考にさせていただきます。
ちなみに、裁量の広狭を左右する他の要素としては、（目的二分論を除き、）職業の自由と同じように考えても差し支えないでしょうか。例えば、制約の強度（当該財産権を全面的に奪うか否か）や、権利の性質（例えば、危険な廃棄物の所有権に対する制約だと、財産権の重要性が相対的に低く、審査密度が下がる）などが思い浮かびます。
なお、内容形成事案では、先生の挙げられた要素を考慮できないので、このような要素を考慮せざるをえないと思いますが、既得権事案でも、様々な要素を考慮して判断枠組みを設定した方が試験的には得策な気がしております。
流儀の平成18年解説と合わせて参考にさせていただきます。
ちなみに、裁量の広狭を左右する他の要素としては、（目的二分論を除き、）職業の自由と同じように考えても差し支えないでしょうか。例えば、制約の強度（当該財産権を全面的に奪うか否か）や、権利の性質（例えば、危険な廃棄物の所有権に対する制約だと、財産権の重要性が相対的に低く、審査密度が下がる）などが思い浮かびます。
なお、内容形成事案では、先生の挙げられた要素を考慮できないので、このような要素を考慮せざるをえないと思いますが、既得権事案でも、様々な要素を考慮して判断枠組みを設定した方が試験的には得策な気がしております。
2023年5月11日
内容形成事案でも、森林法事件判決のように原則形態を観念できるか否かを考慮して、裁量の広狭を決定できますね。訂正いたします。
また、試験的に得策と言いましたが、一方で、審査基準定立のための考慮要素をある程度限定しないと、考慮要素がいたずらに広がり、審査基準の定立が冗長になって、説得性が下がりそうですね。
もっとも、表現の自由などは、理論さえおさえれば、自ずと考慮要素が見えてきて、下手な予備校答案を書くことはなくなるのですが、財産権についてはとても悩ましいです。
また、試験的に得策と言いましたが、一方で、審査基準定立のための考慮要素をある程度限定しないと、考慮要素がいたずらに広がり、審査基準の定立が冗長になって、説得性が下がりそうですね。
もっとも、表現の自由などは、理論さえおさえれば、自ずと考慮要素が見えてきて、下手な予備校答案を書くことはなくなるのですが、財産権についてはとても悩ましいです。
2023年5月11日
そうすると、原作形態がないことが明らかな内容形成の事案では、原告は、基準を厳格化することを諦めるしかないのでしょうか。
例えば、大沢秀介ほか『憲法事例演習』(弘文堂、2017)329頁以下の参考答案では、規制の強度などで審査密度を決定していて、そのような答案と差をつけられないか心配です。
基本的に規制の強度などを考慮しない根拠があれば、教えていただきたいです。
例えば、大沢秀介ほか『憲法事例演習』(弘文堂、2017)329頁以下の参考答案では、規制の強度などで審査密度を決定していて、そのような答案と差をつけられないか心配です。
基本的に規制の強度などを考慮しない根拠があれば、教えていただきたいです。
2023年5月11日
伊藤たける
弁護士/基本憲法Ⅰの共著者
あきらめる必要はありません。証券取引法判例と「区別」する理由はどこにあるのかを説得的に論じることで、既得権侵害や森林法事例に近いと論じれば足ります。
2023年5月11日
平成29年予備試験を例にすると、収穫された農作物の廃棄命令は、財産権の内容を形成するに過ぎないため原則として立法裁量に委ねられるとしても、専門技術的な判断が必要な短期売買差益の提供請求（証取法164条）と異なり、その具体化について立法事実の把握が容易であり、
2023年5月11日
平成29年予備試験を例にすると、収穫された農作物の廃棄命令は、財産権の内容を形成するに過ぎないため原則として立法裁量に委ねられるとしても、①ルールの内容形成にあたり、専門技術的な判断が必要な短期売買差益の提供請求（証取法164条１項）と異なり、廃棄命令についてはそのような判断は不要で、立法事実の把握が容易であるため、証券取引法事件判決よりも慎重に判断する、あるいは②農作物の使用収益権は収穫した者に帰属するのが原則であるから、原則形態が観念できる事案において慎重な判断を行った森林法事件判決の射程が及び、慎重に判断する、というような立論をしていくことになるんですかね。
2023年5月14日
ご回答ありがとうございます。
結局、職業の自由や財産権のような判例法理が確立している権利類型については、判例ベースで審査基準を定立し、そうでない権利類型については、流儀の図式に素直に従って審査基準を定立すればいいんですね。
先生のおかげで、財産権の答案をしっかり書けるようになりました。
お礼も兼ねて、読むのを先延ばししていた基本憲法を購入しましたので、これで勉強させていただきます！
結局、職業の自由や財産権のような判例法理が確立している権利類型については、判例ベースで審査基準を定立し、そうでない権利類型については、流儀の図式に素直に従って審査基準を定立すればいいんですね。
先生のおかげで、財産権の答案をしっかり書けるようになりました。
お礼も兼ねて、読むのを先延ばししていた基本憲法を購入しましたので、これで勉強させていただきます！
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