ご質問ありがとうございます。
詐欺罪は窃盗罪と同じ領得罪(他人の個別財産を取得する犯罪)であるところ、上記①②の理由付けは詐欺罪にも当てはまる面がある故に、同罪にも不法領得の意思が必要であると考えます。
まず、①の使用窃盗とは、他人の財物を無断で一時使用することをいいます(大塚ら他3名『基本刑法 第3版』135頁)。
すると使用窃盗には、窃取によって得た財物を一時使用する場合だけでなく、欺罔行為による騙取で得た財物を一時使用する場合も含まれると思います。そのため、詐欺によって財物を騙取して一時使用する場合もあり得るので、詐欺罪にも権利者排除意思が必要になると考えます。
また、②の毀棄隠匿罪との区別については、専ら毀棄隠匿目的で窃取を行う場合もあれば、専ら毀棄隠匿目的で欺罔行為からの騙取によって財物を得る場合も考えられます。
すると、専ら毀棄隠匿目的のもと、詐欺によって財物が騙取される場合も窃盗罪と同様に想定されるので、詐欺罪にも利用処分意思が必要にあると考えます。
以上のように、窃盗罪と詐欺罪では実行行為の態様こそ違うものの、領得罪という点では同じなので、それ故に不法領得の意思が求められるのだと考えます。