ご質問ありがとうございます。
スケジュールについては、短答式試験当日に必ず身につけておきたい素材を選択し、そこから学習ペースを大まかに逆算するのが一手です。
まず、短答式試験を突破する上で不可欠な素材は、①過去10年分(令和4年~平成25年)の予備・司法の短答過去問、②知識まとめ用のテキストになると思います。
①については、短答式試験はパワープレイという側面があるので、短答過去問を最低でも10年分(余裕があればさらに遡る)はしっかりと解き切って自分の頭で正解が選べるようにし、正答率を100%にすることが必須です。そして、過去問演習で得た知識・経験をまとめるために、②のテキストが必要となります。
その上でスケジュールですが、一例としてお示しします。
①
まずは、2~3月にかけて、10年分の短答過去問のうち、正答率の高い問題(上3法で正答率60%以上・下4法で正答率50%以上)をセレクトし、これらの問題を集中的に解いてください。正答率は予備校各社の過去問集の問題か解説のページに記載あるので、それを指針とします。
司法試験系の学習はメリハリが重要なので、先に正答率の高い問題(≒重要基本事項を問う問題)を集中的に攻略して、幹となる基本事項を習得します。理想としては、1日に50問以上解けると良いです。50問が無理であれば、20~30問ほど1日に解きます
周回の仕方については、1周目で正解できた問題は2周目以降は除外し、1周目で解けなかった問題だけを拾って再度解きます。これを繰り返して、正答率の高い問題については、3月末日までに90%以上解けるようになっていることを目指してください。
もちろん、解説をチェックする場合は六法で条文を逐一引くことは必須です。条文を引けば引くほど法的な実力は上昇していくからです。
また、1問あたりにかける時間は、演習と解説のチェックで10~15分以内に収まるようにします。これ以上時間をかけても効果が薄い場合が多く、スピードをつけて過去問を周回できず、いつまでも知識が定着しないというリスクがあるからです。
それから、3科目以上同時並行させない方が無難です。つまり、1~2科目ごとに分野・単元をまとめて解き進めた方が定着しやすいです。例えば、憲法の人権分野を進める場合は、他の科目と同時並行させるよりも、まずは人権分野の問題をまとめて一気に解く方が定着しやすいです。
1問あたりにあまり時間をかけず、科目や分野ごとにスピードをつけて過去問を周回することを意識してください。短答過去問は短い期間に繰り返し演習することで、知識や経験が身につきやすいという面があるからです。
②
次に、4~5月にかけて、上記①で解かなかった正答率の低い問題を同じように周回していきます。予備試験の短答式試験に確実に合格するためには、正答率の低い問題もある程度正解できるようにしておく必要があるからです。
これらの問題を①と同様に周回し、5月末日までに90%以上解けるようになっていることを目指してください。
③
6月からは、科目ごとに2通りの攻略ルートを使い分けます。
第1のルートとして、当該科目の10年分の過去問の正答率が90%に達していないならば、まだ解けていない問題を集中的に拾って繰り返し解きます。最終的に10年分の全短答過去問の正答率を100%にします。
第2のルートとして、当該科目の10年分の過去問の正答率が90%を超えて100%に近くなっているのであれば、更に年度を遡り、平成21年までの過去問を①②で示した方法で解き進めます(平成18~20年の司法の短答過去問も解ければ望ましいですが、最近の問題とは傾向が少し異なるので、遡る場合は平成21年度までを基準にするのが一手です)。
いずれのルートにしても、10年分の予備・司法の短答過去問の正答率を100%にすることは必須です。予備試験の短答式試験を確実に突破するためには、まとまった年度分の短答過去問の正答率を100%にすることが不可欠だからです。
④
上記①~③と並行して、定期的にテキストの通読をして、過去問演習で得た知識や経験をまとめていきます。
目安としては、1週間に1日ほどのペースでお手持ちのテキストを分野・単元ごとに一気に通読してください。通読する科目の目安としては、苦手意識のある科目から通読します。
過去問演習と並行して定期的に通読を行ってください。
⑤
一般教養については、6月から解けそうな問題を選択する練習をした方が望ましいです。法務省のホームページから過年度の問題をダウンロードして、約40問ほどある一般教養の問題の中から、少しでも解けそうな問題を探す訓練を行ってください。3~5年分ほどの問題について練習できれば足ります。
一般教養は捨ててしまう人も多いですが、現場で諦めずに解けそうな問題を探して考え抜くことで点数が10~20点は変わるので、過去問に目を通すことは行っておいた方が良いです。
以上のスケジュールは一例ですが、大切なことは、過去10年分の予備・司法の短答過去問の正答率を100%にする(=自分の頭で考えて、すぐに正解を導けるようにする)ということです。
もちろん、過去問については現行司法試験が開始された平成18年度からのすべての短答過去問に取り組みたいところですが、過去問の分量が年々蓄積されていることや、マークシート式の試験は概ね8~10年分の短答過去問をしっかりと理解して正答率を100%にすることで突破できるケースが多いことから、絶対防衛ラインとして10年分の予備・司法の短答過去問は確実に習得しきることは必須です。もちろん余裕があれば、更に過去問を遡って1問でも多くの過去問を習得してください。