ご質問ありがとうございます。
自動車の所有権に関する通則法13条2項の判例(最判平14.10.29)は、自動車について船舶・航空機と異なる扱いをすることが前提にあると思われるので、当該判例の射程は船舶や航空機のような輸送機には及ばないと考えられています。
まず、船舶・航空機のように常に移動している動産については、通則法13条で目的物所在地の法を適用すると、その動産が偶然滞在していただけの地の法が適用されるリスクがあります。
そこで、船舶・航空機については、その所在が転々とする一方で登録国が密接な関連性を有することから、13条の「所在地法」の解釈として(あるいは13条ではなく条理による解釈として)旗国法・登録地法を準拠法にするべきとしているのが通説的見解です。
そして上記判例は、自動車について船舶・航空機と異なる扱いをするに当たって、運行に供するかどうかという点から準拠法を検討しているので、同判例の射程は、自動車とは異なる船舶・航空機には及ばないと考えます。