ご質問ありがとうございます。
これについては、お考えのように、「別訴提起して併合を促すよりも、当初併合されていた方がよい(ましだ)」という捉え方で差し支えないと考えます。
まず、別訴提起(133条1項)+弁論併合の職権発動の促し(152条1項)という手段の場合、訴訟をそれぞれ別に提起する負担と、裁判所の弁論併合の促しをする負担がそれぞれあります。
これに比べると、当初から通常共同訴訟(38条)としておけば、最初からまとめて審理してもらえるので、上記の2つの負担を負わずに済みます。
たしかに、事後的に分離されるリスクもありますが、それでもイチから別訴提起をして弁論併合を求める方が迂遠ですし、通常共同訴訟とすれば証拠共通の原則がはたらくので、その分だけ訴訟追行の負担が減ります。
そのため、当初からまとめて審理できるうえに証拠共通の原則がはたらく点で、通常共同訴訟の方が有利であり、同訴訟を提起すべきだったといえます。
また本問では、同時審判申出訴訟(41条)は想定していないと考えます。
同訴訟は、両請求が「法律上両立し得ない」(同条1項)ことが必要ですが、A会社とY個人のいずれに代金請求できるかについては非両立とまではいえない(つまり、XがAとY両方と売買契約を締結したと判断される可能性もあれば、両方とも契約を締結していないと判断される可能性もあり、両請求が実体法上あちらを立てればこちらが立たずの関係ではない)ため、同時審判申出訴訟は想定されていないと考えます。