ご質問ありがとうございます。
これは、信義則を根拠に、承諾した以上はその後に466条3項を持ち出して拒むことはできないという理解で差し支えないと考えます。
まず466条3項の趣旨は、債務者の支払先固定の利益の保護と説明されます(池田真朗『新標準講義 民法債権総論』158頁)。そのため、債務者が承諾をした以上は、この利益を放棄したものと考えられるところ、それを後から拒否するのは手のひら返しといえ、前後矛盾挙動といえます。
その結果、時効完成後の債務の承認の場合に、信義則上、時効援用権が消失するのと同様に捉え、本問のような場合でも、信義則を根拠に466条3項の援用が否定されるものと考えます。