ご質問ありがとうございます。
まず、実務上で採用されている旧訴訟物理論を前提とすると、実体法上における権利関係の存否について裁判所の判断を仰ぐ場合には、訴訟物ごとに訴訟提起をするというのが原則的な運用になります。つまり、原則的には複数の請求をする場合は、請求の数に応じた訴訟を提起することになります。
もっとも、同じ当事者間において複数の訴訟手続をバラバラに提起すると、それに応じて裁判期日が増えてしまい、訴訟当事者の訴訟全体に費やす時間が膨大になってしまいます(裁判所全体としても枠が決まっているにもかかわらず同じ当事者の裁判が複数係属しているとパンクしてしまうというリスクが生じてきます)。そこで、現在は、単純併合(複数の訴訟手続を1つの訴訟手続にまとめる)という形を認めることによって、訴訟当事者も裁判所も訴訟コストを抑えるという運用がなされています。
質問に沿う形で回答をすると、原告が単純併合による複数請求訴訟を提起を認めているのは、裁判所や当事者の訴訟コストを削減できるというメリットを享受するためだと理解していただけると思います。