不同意決定を受けたとしても、不同意のまま新築等を進めたことによって生じる効果は、中止命令・勧告(条例7条)と、それらに従わなかった場合の公表に過ぎません(8条)。 また3条は、新築等の際に同意を得ることを求める規定であり、不同意の場合に新築等そのものを法的に直接封じる規定ではありません。
すると、不同意決定によっても新築等そのものが法的に直接封じられるわけではなく、あくまで、同意を得ずに新築等を進めた場合に、中止勧告という行政指導がなされるに過ぎません。また、中止命令もするかしないかの裁量があるので(7条柱書の「できる」という文言)、不同意決定の効果として直ちに中止命令がなされる可能性は高いとはいえません。
さらに、公表については弁明の機会がありますが(8条2項)、聴聞ほどの慎重な手続もなく、罰則等の制裁の定めもないため(条例末尾の(注)参照)、公表は事実上の制裁に過ぎないといえ、これも処分性を否定する要素となります。
以上をまとめると・・・
①不同意決定を受けた場合に新築等を進めた場合でも、なされる処理は行政指導たる勧告や出される可能性の高くない中止命令であり、新築等を法的に直接封じる効果までは見出しにくいです。
②公表についても、罰則の定めがなく慎重な手続規定もないことから、事実上の制裁に過ぎないといえ、処分性を否定する要素となります。
③その結果、不同意決定には処分性が認められないという処理になります。
このように解しても、中止命令には処分性があるので、中止命令の方を取消訴訟や差止訴訟で攻撃すれば足りるため、不同意決定に処分性がなくとも大きな問題は生じないのです。