ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
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ご質問のとおり、本権説と占有説の対立は保護法益の争いですが、条文解釈上は刑法235条の「他人の財物」の意味をどう理解するかという問題として現れると整理してよいです。
また、242条が注意規定にすぎないという理解は占有説の帰結です。占有説では窃盗罪の本質を他人の占有侵害と捉えるため、自己の所有物でも他人が占有していれば窃盗が成立し得るからです。
したがって占有説における「他人の」は、所有権を意味するのではなく、他人の占有に属することを指すと理解されます。
教科書の「他人の=他人の所有権」という説明は、本権説の理解を示す文脈か、あるいは条文文言の通常の意味を説明しているにすぎず、占有説の解釈とは別の次元の説明だと思われます。