部分社会の法理は、司法権の定義である㋐当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争か否か、㋑法を適用することで終局的に解決できるかという問題に関係します。
富山大学事件は、単位の認定が㋐権利義務なのかが問題となりました。一般市民法秩序との関係を有しない内部的地位ならば、法律上の権利義務関係ではないとうことになります。
また、法の適用がなく、内部規範との抵触の場合にも、㋑法の適用により解決できないという場合もあります。特に宗教問題の場合は、これに該当します。
他方、エホバの証人剣道受講拒否訴訟は、退学処分という法的地位であることが明らかでした。また、学校関連の法令上の権限が問題でしたから、㋑も満たします。なので、部分社会の法理は登場しないのです。