ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
-----
質問のケースでは、要件事実的(訴訟構造的には)に、「CがBに所有権喪失の抗弁を出し、それが認められ、Bは負ける」と言う説明が成り立ちます。
しかし「民法」で扱うのはあくまでも「民法の話」です。「177条の説明」としては、「登記を具備していないB は、自己への物権変動をCに対抗できずに(いったん)負ける」になります。「177条の理解」としては、「Bが登記を具備していないから」、「この段階では(とりあえず)Bの主張は認められない」になります。→「暫定的なBの負け」
*なお、質問のように「Cに登記がある場合」、所有権喪失の抗弁を喰らうことが明らかなので、実際の訴訟で「登記のないBが登記のあるCを訴えること」は考えにくいです(Cが背信的悪意者である、と言う主張ができるときくらいでしょう)。
「所有権喪失の抗弁」は、原告が所有権に基づく請求をしてきたときに、被告が原告に対して「自己の登記具備に基づいて」、原告に対し「所有権喪失の抗弁」を出す、と言うケースが多いと思います。
「所有権喪失の抗弁」は、「Bに登記がなく、Cが登記を具備した以上、完全に所有権はCに移転し、Bは『無権利になるので』Cが勝つ」、と言う話です。文字通り「所有者ではないからBは負ける」と言うロジックであり、対抗要件による説明ではないです。→「確定的なBの負け」
質問の事例であれば、「Bに登記がなく」+「Cに登記がある」ケースなので、Bが負ける説明としては「所有権を失うから」になります(Cが登記を備えたからBは負ける)。