ご質問をいただきありがとうございます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
-----
この場合は、挙げていただいたように、乙に普通預金債権自体はあることから、単なる引き出し行為に直ちに2項詐欺罪が成立するわけではありません。
ここは、預金債権自体が直ちに財産上不法の利益にはならない点に注意です。普通預金債権自体は乙が取得しており(3個目の回答参照)、誤振込を黙ったまま引き出した現金100万円という「財物」が本問の被害品です。財産上不法の利益とは、お金・物以外で最終的な被害に遭った権利というイメージです。
すなわち、普通預金債権自体は乙に取得されているので、誤振込を告げなかった点に不作為を見出し、この不作為を1項詐欺罪の実行行為たる「人を欺く」行為(欺罔行為)と構成します。