ご質問をいただきありがとうございます。
今回、「刑法2−3−4について、3点質問が~」とご投稿を分けていただいておりますが、今後は「(例)刑法2−3−4」に対するご質問としておひとつの投稿におまとめいただけますと幸いでございます。何卒よろしくお願い申し上げます。
以下、講師からの回答をお伝えします。
-----
まず、Aの2回の振り込みについては、いずれも財物の移転となります。
1回目の200万円振り込みは甲の講座に現金200万円が振り込まれたので、財物の移転といえます(答案例12行目)。また、2回目の200万円振り込みも、乙の口座に振り込まれており、現金が口座に移転しているので、ここも財物の移転といえます。
そして、乙は誤振込された200万円のうち100万円を窓口でおろしていますから、ここも100万円という財物が被害品となります(答案例37~38行目)。乙は、あくまで誤振込によって預金債権を取得したのであり(答案例27行目)、この預金債権を使って誤振込の100万円という財物を掠め取っているという構図になります。本問における最終的な被害品は、引き出された100万円という現金ですので、この100万円という現金を被害品たる「財物」と構成します。
したがって、本問では被害品(客体)は、いずれも財物になります。おそらくですが、乙に預金債権があることから直ちに財産上の利益ありと混同してしまったかと思われますので、この部分にご注意いただければ大丈夫です。
本問では、預金債権を誤振込について黙秘したまま行使して誤振込の100万円を最終的に掠め取っていますので、被害品は財物たる100万円と考えることになります。そのため、本問で問題となる被害品はすべて「財物」となります。