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職業選択の自由  合格答案のこつ たまっち先生の 「論文試験の合格答案レクチャー」 第 14 回~平成26年司法試験の憲法~

2022年8月24日   たまっち先生 

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たまっち先生の
「論文試験の合格答案レクチャー
第 14回
「職業選択の自由」合格答案のこつ
平成26年 司法試験の憲法から

第1 はじめに
   職業選択の自由、規制目的だけで違憲審査基準を決定するという立場を判例はとっていない

  こんにちは、たまっち先生です。第14回となる今回は、平成26年の司法試験の憲法を題材として実際のA答案とC答案を比較した上で、どのような点に注意すれば合格答案を書くことができるのかをレクチャーしていきたいと考えております。

 今回扱う問題は、平成26年司法試験の憲法です。本問は、職業選択の自由を聞く問題です。職業選択の自由といえば、規制目的二分論を思い浮かべる受験生が多いと思いますが、単に規制目的だけで違憲審査基準を決定するという立場を判例はとっていません。

 このような判例の立場を踏まえ、どのような点に気をつけて論じれば、憲法答案として評価されるのかを本記事を通じてレクチャーしていきたいと思います。

| 目次

第1 はじめに
  職業選択の自由、規制目的だけで違憲審査基準を決定するという立場を判例はとっていない

第2 A答案とC答案の比較検討
  【A答案とC答案】
  【比較検討】
    1 権利設定・権利の重要性
    2 制約の有無・制約の強度性
第3 本問の考え方
  1 規制目的二分論と判例の状況
  2 本問の考え方
   ⑴ 制限される権利
   ⑵ 制約の態様
   ⑶ 規制目的
   ⑷ 違憲審査基準の定立
第4 平成26年司法試験憲法を選んだ理由
  判例は規制目的によって審査基準を決定していると誤解している受験生が多い印象

第5 B E X Aの考える「合格答案までのステップ」の「7、条文・判例の趣旨から考える」、「8、事実を規範に当てはめできる」との関連性
第6 最後に
  経済的自由は、出題可能性が低いと言われているが…⁉

第2 A答案とC答案の比較検討

【A答案とC答案】

では早速、A答案とC答案を2つを見比べてみましょう。

A答案

C答案

1 A県B市の自然保護区域におけるタクシー運行につき許可制を定める本件条例2条並びに許可基準を定める同4号各号は、同地域においてタクシー運行する自由を侵害し、憲法22条1項に反し違憲無効である。ゆえに、本件不許可処分は法令上の根拠を欠き、取り消されるべきである。
2 憲法22条1項は、「職業選択の自由」を保障している。職業は、人が社会清潔において生計の資本を獲得する手段であるのみならず、分業社会において自己の個性を発揮し、その人格の形成・発展に寄与するものである。このような職業の意義に照らせば、同項は狭義の職業選択の自由のみならず、職業遂行の自由も憲法上の権利として保障していると解する。しかるに、自然保護地域においてタクシー事業を営むこと自体ができないということは採算性が極めて悪くなり、A県では事実上タクシー事業を営むこと自体ができないことを意味する。ゆえに、本件条例は職業遂行の自由のみならず、狭義の職業選択の自由に対しても制約していることになる。
3⑴ 憲法上の権利といえども「公共の福祉」(13条後段、22条1項)による制約は免れず、また、経済的自由権は精神的自由権と異なり政策的観点からの立法裁量があることは否定できない。しかし、かかる立法裁量には事の性質に応じた広狭がある。
ここで参照されるべきは、薬事法判例である。同判例は、距離制限を許可基準として定めていた当時の薬事法の憲法適合性に関して、いわゆる厳格な合理性の基準を採用したと解される。しかも、かかる基準は許可制自体の憲法適合性のみならず、許可基準についても妥当するとされている。このような比較的審査密度の高い中間審査基準が採用された理由としては、①許可制という事前規制であったこと、②狭義の職業選択の自由への制約であったこと、③許可基準が距離制限という本人の努力では如何ともしがたい客観的要件であったこと、④規制目的が社会的弱者保護という積極目的ではなく、害悪の防止という消極目的であったこと、が考えられる。
⑵ そこで、本件条例についてみると、①本件条例も許可制という事前規制を定めたものであって、基準違反に対して行政処分を科したり刑事罰を科したりするといった事後規制よりも制約の態様は強い。しかも、上記のとおりこれは職業遂行の自由のみならず狭義の職業選択の自由への制約に至っている。さらに、③許可基準についてみると、本件条例4条1号(車種要件)は、お金さえ払えば満たすことのできる要件であるから主観的要件とも思えるが、しかしC社のように高額の電気自動車を購入することで低賃金運送が困難となりタクシー事業自体を断念せざるを得ないケースを想定すると、実質的には客観的要件として機能する。また、同条2号(営業所要件)は、C社のような新規参入業者にとっては、5年間は自然保護地域への運行ができないことにより、これは本人の努力ではいかんともしがたい客観的要件である。さらに、同条3号(運転者要件)は、イロハに該当する運転者を雇用すればいいだけであるから主観的要件とも思えるが、イロハ全ての要件をクリアしている運転者はすでにB市の既存のタクシー事業者に雇用されている可能性が高く、新たに該当者を探し出して雇用するのは極めて難しい。C社のような新規参入業社が元々雇用している運転者についてイロハの要件を充足させれば良いが、最低でも10年はかかってしまう(3号ロ参照)。ゆえに、運転者要件も実質的には客観的要件として機能する。
なお、④規制目的については、積極目的か消極目的かで基準を形式的に二分する、いわゆる規制目的
二分論を最高裁が採用しているとは解されず、目的は一考慮要素にとどまると解される。本件条例のように目的に積極・消極が混在している場合にはいずれの目的にも割り切ることはできず、その他の要素(上記①〜③)を踏まえて立法裁量の広狭(裁量統制の密度)を決すべきである。
⑶ 以上の検討に照らすと、本件条例の許可制及び許可基準については薬事法判例の射程が及び、厳格な合理性の基準、すなわち規制目的が重要であり、かつ、規制目的と規制手段との間に実質的関連性が認められる場合に限って合憲となる、という憲法適合性判定基準が用いられるべきである。なお、の判断の際には、特に、より制限的でない他に選び得る規制手段がないか否かを綿密に検討しなければならない。

1 Cは、本件条例2条が、A県の自然保護地域でタクシーを運行する自由を侵害し、憲法22条1項に反し違憲無効であると主張する。
2 憲法22条1項の趣旨は、生活基盤を確保する点にあるので、職業遂行の自由を認めなければ、生活基盤を確保できないから、「職業選択」には営業の自由も含まれる。
A県の自然保護地域でタクシーを運行する自由も営業の自由の一内容として、憲法22条1項の保障のもとにある。
3 本件条例2条は、自然保護地域におけるタクシー運行をA県知事の許可にかからしめるので、上記自由を制約する。
4⑴ 営業の自由は、個人の生活の基盤を確保し、人格的価値を有するので重要な権利である。A県の自然保護地域でタクシー運行をする自由は、C社のように業績が悪化したタクシー会社にとって、従業員等の生活の基盤を支えている。また、新たに直結する特急列車の乗り入れを利用し、低運賃で運行することでより多くの観光客を獲得しようとする点は創意工夫の余地が大きく、人格的価値が高い。また、首都圏の観光客にとって、低運賃で自然保護地域を観光することが可能となる点は、利便性が向上する点で公共的価値が高い。
⑵ 他方、本件条例2条は、許可制により、A県の自然保護地域でのタクシー運行の自由を直接制約する。また、本条例4条の運行許可基準は一見すると営業態様の制約のように見えるが、営業所(2号)及び運転者(3号)においてB市内での継続要件を設けているので、県外からの新規参入にとって実質的に参入規制となっているから、制約態様は厳しい。
⑶ さらに、本件条例1条は、目的として、輸送の安全、自然保護を上げているので目的は消極目的である。
⑷ したがって、重要な権利に対する消極目的による重大な制約であるから、経済的自由であることを考慮しても、①重要な目的、②①を達成する上で手段が実質的に関連していなければ、本件条例2条は、憲法22条1項に反し違憲であると解する。

【比較検討】

1 権利設定・権利の重要性
 権利設定段階については、A答案は、職業遂行の自由(営業の自由)の問題とは捉えておらず、狭義の職業選択の自由の問題であると捉えることができているのに対して、C答案は、薬事法判決の立場を引用して職業遂行の自由(営業の自由)の問題と捉えています。

 憲法の違憲審査基準は、権利の重要性及び制約の強度性の2面から決されますので、当然実務家としては強い権利で主張し得る場合には、強い権利を選択すべきだといえます。そして、後述するように、C社は、観光地であるB市の自然保護地域に着目して新規参入を決めているわけであって、同地域でタクシー運行ができないとなれば新規参入の目的自体が達成できないことになりますから、本問ではまさにC社がB市の自然保護地域においてタクシーを運行するという職業を選択する自由そのものが問題となっているといえます。そして、判例の判旨からも営業という職業選択の一態様よりも、狭義の職業選択の自由の方が権利としての重要性が高いことは明らかです。

 このように考えると、本問では、単に営業の自由の問題と捉えるべきではなく、狭義の職業選択の自由の問題と考えるべきだといえることになります
したがって、権利設定段階で、すでにA答案とC答案には差が付いていると評価できます。

2 制約の有無・制約の強度性
 次に、制約段階を見てみましょう。
 A答案は、薬事法判決を踏まえた上で、本件条例の規制が新規参入者に対する許可制を定め、その許可要件として客観的要件を科していることを個別の条文を丁寧に挙げながら具体的に検討できているのが分かります。単に関連判例を踏まえることができているのみならず、判例との事案の違いを具体的に指摘しながら私見を展開できている点で、非常にレベルの高い答案といえるでしょう。

 他方で、C答案について見てみると、C答案も本件条例が許可制を採用していること、許可要件として実質的に参入規制となるような要件を科していること、については指摘できています。一見すると、C答案もよく書けているように見えます。

 しかしながら、C答案が低い評価にとどまっている理由としては、A答案は許可条件のそれぞれが客観的要件となる理由を丁寧に指摘できているのに対して、C答案は許可要件を挙げただけで何の理由もなく参入規制となると結論づけてしまっており、私見に至るまでの過程が一切示されていません。要するに、「事実→結論」、となっており、「事実→評価→結論」のうちの「評価」が抜けてしまっているわけです。これでは、採点者もなぜこの受験生が許可要件を参入規制と捉えているのかを理解することができず、得点を与えることができません。このような理由によって、C答案の評価は低くなっていると分析することができます。

 もう一つC答案の評価が低くとどまっている理由を挙げるとすれば、A答案は薬事法判決の射程が及ぶかという観点から検討ができているのに対して、C答案は薬事法判決の理解を示せていないという点でしょう。C答案の方も、権利設定段階では薬事法判決を若干引用しているようにも思えますが、薬事法判決の重要な判示は、①小売市場判決同様、職業選択の自由に対する制約に関して立法裁量を認めつつも、その立法裁量は事案に応じて狭まることを認めた部分、及び②審査基準を設定する上で規制目的のみならず、規制の方法や態様等を重視する必要がある旨判示した部分にあります

 したがって、答案作成においては、この部分を意識して薬事法判決を引用すべきです。これを踏まえて、両答案を見てみると、A答案は、上記①、②の点を踏まえて違憲審査基準を設定できているのに対して、C答案は、②については若干意識できているように読めますが、前述したように「評価」が抜けていますし、①の点については一切踏まえることができていません。このような点から、両答案には差が付いたと分析することができるでしょう。

第3 本問の考え方

1 規制目的二分論と判例の状況

 規制目的二分論は、社会公共に対する弊害を防止するという消極目的の場合には審査基準を厳格にし、社会経済政策という積極目的の場合には明白の原則を採用するというものです。このような区分は、小売市場判決と薬事法判決とを整合的に理解するために学説上説かれたものであり、この規定目的に応じて裁判所の審査密度も変化するものだと説明されてきました。

 小売市場判決では、中小企業保護制約の一環として制定された小売商業調整特別規制法の定める小売市場の許可性の合憲性が問題となった事案で、「社会経済の分野において、法的規制措置を講ずる必要があるかどうか、その必要があるとしても、どのような対象について、どのような手段・態様の規制措置が適切妥当であるかは、・・・立法府の裁量的判断にまつほかな(く)、立法府がその裁量権を逸脱し、当該法的規制措置が著しく不合理である場合に限って」違憲と判断すべきものとしました(明白性の原則)。

 これに対して、薬事法判決では、薬事法の定める薬局解説の許可制の合憲性について、小売市場判決と同じく立法裁量が尊重されることを原則としつつも、この裁量の範囲には、「事の性質上」広狭があり、「裁判所は、具体的な規制の目的、対象、方法等の性質と内容に照らして、決すべきだ」としました。その上で、許可制が「職業の自由に対する強力な制限」である点に着目して、①「その合憲性を肯定しうるためには、原則として、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し」、また、②消極目的による場合には、積極目的規制にかかる小売市場判決とは異なって、「許可制に比べて職業の自由に対するより緩やかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によっては目的を十分に達成することができないと認められることを要する」(L R Aの基準)としました。

 この両判決を通じて規制目的二分論が形成されたと解されてきました。しかし、積極目的・消極目的の区別は相対的ですし、また、複合的な目的の法令である場合には、基準を対応させることが難しいという問題点もあります。この点に関して、最判平成元年3月7日は、公衆浴場の適正配置規制に関して、「既存公衆浴場業者の経営の安定を図ることにより、自家風呂を持たない国民にとって必要不可欠な厚生施設である公衆浴場自体を確保しようとすること」にあるとしているように、消極目的・積極目的の両目的を併有する点に着目した上で合憲判断を行っています。このことから、最高裁は、単純に規制目的のみで合憲違憲を判断していないことがわかります。

 薬事法判決自体、純粋な規制目的二分論に立脚していること自体疑わしいというのも事実です。そもそも同判決は、許可制(及び許可条件としての距離制限)が「職業の自由に対する強力な制限である」点に着目して審査密度を上げているのであって、職業の自由に対する規制措置一般についての議論を展開しているわけではありません。薬事法判決は、規制目的のみで審査密度を決するのではなく、「具体的な規制の・・・態様や方法等」(届出制なのか許可制なのか、職業選択そのものに対する制限なのか営業の自由に対する制限なのか)に着目しながら、審査密度を決定しているからです。このように考えると、薬事法判決は、純粋な規制目的二分論には立っていないということができます。

 したがって、本問を考えるにあたっては、規制目的を重要な要素としつつも、薬事法判決の「具体的な規制の・・・態様や方法等」を参考に、どのような自由(狭義の職業選択の自由なのか、営業の自由なのか)がどのような態様(許可制なのか届出制なのか)に着目しながらより緻密な検討をしていく必要があります。

2 本問の考え方

⑴ 制限される権利
 本件条例のよって制約されるC社の権利をいかに解するべきでしょうか。薬事法判決によれば、職業の自由に対する規制が憲法上是認されるかどうかは、「規制の目的、必要性、内容、これによって制限される職業の自由の性質、内容及び制限の程度を検討し、これらを比較考量したうえで慎重に決定されなければならない」としており、審査基準の判断において、制約される人権の性質の検討を不可欠としていることがわかります。

 本件では、C社が本件条例によりB市の自然保護地域におけるタクシー運行ができなくなっているわけですので、これがC社の営業の自由を制約するのか、より根本的に、狭義の職業選択の自由そのものを制約すると評価できるのかについて、まず検討する必要があります。

 考え方としては、C社が自然保護地域に参入できなかったことを自然保護地域における営業ができなくなったとして営業の自由の問題と考える立場です。自然保護地域が営業エリアの1つに過ぎないと考えれば、この考え方でも違和感はないことになります。しかし、原告側としては、いかなる場所で事業を行うかということは職業の選択自体にも関わっているわけですから、本件条例が狭義の職業選択の自由という、より根本的な権利を制約していると主張すべきです。C社は、観光地であるB市の自然保護地域に着目して新規参入を決めているわけであって、同地域でタクシー運行ができないとなれば新規参入の目的自体が達成できないことになります。
 そして、C社にとって収入が見込めるエリアでタクシー運行を行うことは、タクシー運行という職業を選択する上で、重要な動機となっています。このようなことを踏まえると、本問ではまさにC社がB市の自然保護地域においてタクシー運行という職業を選択する自由そのものが問題となっていますから、狭義の職業選択の自由の問題と捉えることが可能となります。したがって、本問は、単に営業の自由の問題と捉えるべきではなく、狭義の職業選択の自由の問題と考えるべきだといえるでしょう。

 薬事法判決によれば、職業選択の自由は、「各人が自己のもつ個性を全うすべき場」としての職業が「個人の人格的価値とも不可分の関連を有する」として、職業選択の自由の重要性を強調していますので、本問においてはC社の人格的価値とも絡めながら、C社が自然保護地域においてタクシー運行する自由の重要性を主張する必要があることになります。

⑵ 制約の態様
 本件条例では、C社の新規参入にあたり、許可制が採用されています(本件条例2条)。そして、一般的に許可制は、薬事法判決において、許可制は、「職業の自由に対する強力な制限である」とされています。したがって、本問においても、許可制が職業選択の自由を強度に制約するものであることを指摘する必要はあるでしょう。

 その上で、本問における権利制約が主観的条件(=本人の努力次第で解決可能な条件)によるものなのか、客観的条件(=本人の努力次第で解決できない条件)によるものなのかを検討する必要があります。制約の態様としては、後者の方が権利制約としては強度なものということになります。このような考え方は、国籍法判決の判旨にも現れており、重要判例の理解が問われていることがわかります。

⑶ 規制目的
 採点実感によれば、「職業の自由に関するものであるが、これを規制する条例の目的が複合的であることが最も重要なポイントとなる。すなわち、本年の問題が問うているのは、複合的目的で職業の自由を制約する条例の合憲性である」、「条例の目的が消極目的・積極目的のいずれかに割り切ることができないものであるにもかかわらず、安易に、あるいは半ば強引に、消極目的規制の条例と捉えて、形式的に厳格な合理性の基準を適用している答案が目立った。・・・」などの指摘がされており、前述したように、単純な規制目的二分論で処理することの不合理性が指摘されています。したがって、単純な規制目的二分論に立脚して答案を作成した受験生は低い評価にとどまったと分析することができます。

 本件条例の目的は、1条に規定されています。1条を見てみると、本件条例の目的は、「タクシーによる輸送の安全の確保」、「自然保護地域の自然保護」、「観光客の安全・安心に配慮した観光振興」を図ることにあります。このうち、輸送の安全や観光客の安心・安全という目的は、B市の住民の生命・身体を確保と関連するものであり、消極目的ということができます。他方で、自然保護地域の保護や観光振興は、B市の経済政策に関わるものですから、積極目的ということができます。このように、本件条例は複合的な目的を有していると整理できます。

⑷ 違憲審査基準の定立
 以上を踏まえると、まさに狭義の職業選択の自由が、許可制や客観的条件という強力な手段によって制約されているわけですから、その違憲審査にあたっては、慎重に行う必要があるといえます。したがって、違憲審査基準は中間審査ないしL R Aの基準が妥当といえるでしょう。

第4 平成26年司法試験憲法を選んだ理由
   判例は規制目的によって審査基準を決定していると誤解している受験生が多い印象

 職業選択の自由について、受験生に質問してみると、判例は規制目的によって審査基準を決定していると誤解している受験生が多い印象を受けます。しかし、判例は純粋な規制目的二分論を採用していないことは明らかであり、規制目的のみならず、どのような権利がどの程度制約されているかによって審査基準を設定していると思われます。このような点についてまさに正面から問われたのが平成26年の司法試験なのです。

【問題文及び設問】

平成26年 司法試験の憲法の問題を読みたい方は、⇩⇩をクリック


https://www.moj.go.jp/content/000123136.pdf

 本問では、司法試験委員会があえて複合的な目的を有する本件条例を出題しており、純粋な規制目的二分論では処理できないような問題となっています。このような複合的な目的を有する条例の憲法適合性が問われた場合に、どのような点に注意して答案を作成すれば高い評価が受けられるかを知ってもらうために、本記事の題材とさせていただきました。

第5 B E X Aの考える合格答案までのステップ
  「7、条文・判例の趣旨から考える」、「8、事実を規範に当てはめできる」との関連性が強い

 B E X Aの考える「合格答案までのステップ」との関係では、「7、条文・判例の趣旨から考える」、「8、事実を規範に当てはめできる」との関連が強いと思います。

 前出のA答案もC答案も憲法答案の型自体はできていますが、事実に対する「評価」に大きな差が生まれています。上位答案を作成するには、規範定立のみならず、事実を規範に適切に当てはめる力まで必要となります。受験生の皆様には、この点を念頭に置いて本記事を読んでいただきたいと思います。

第6 最後に
 経済的自由は、出題可能性が低いと言われているが…

 いかがでしたでしょうか。今回は、平成26年の司法試験を題材として職業選択の自由について考えていきました。

 経済的自由は、精神的自由に比べて出題可能性が低いと言われているものの、現に職業選択の自由は、平成26年、令和2年の本試験で問われており、対策が不要というわけではありません。判例の立場を正確に整理しておき、出題された際には上位合格を目指せる答案を作成できるように準備しておきましょう。

 今回もBEXA記事「たまっち先生の論文試験の合格答案レクチャー」をお読みくださり、誠にありがとうございます。
 今回は
平成26年司法試験の憲法から「職業選択の自由」合格答案のこつ について解説いたしました。次回以降も、たまっち先生がどのような点に気をつけて答案を書けば合格答案を書くことができるようになるかについて連載してまいります。ご期待ください。

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