2023年度入試では英語による第1次選抜が実施(再開)されます(https://www.law.hit-u.ac.jp/lawschool/2022/03/information/2057/)。
2022年3月21日現在、2023年度入試ではどの程度の水準まで1次選抜が行われるか、確定・公表されていません。
なお直近では、「定員の約4倍」を目安(2019年度入試)→「定員の約3倍(▲1倍)」を目安(2020年度入試:以下「3倍基準」と表記します)と定められています。そしてこれは、2020年度当時のロー志願者数減少傾向に基づく変更だと考えられています(私見)。
上記3倍基準の詳細については、同ローの2020年度入試募集要項を参照願います。
当時の出願者数は定員の4倍に満たないため、1次選抜不合格者は殆ど出ていません。しかし、それでも足切り自体は存在しました。
2020年度入試に出願した受験生に対して追跡調査した結果、TOEIC475点の者は一次選抜に通過しているが、同435点の者は1次選抜で足切りされている事実が判明しました。(その他の事項の詳細については、https://www.law.hit-u.ac.jp/lawschool/exam/pastexam/を参照願います)
では、今年度も同程度の水準が維持されるかというと、2020年度に一次選抜の目安となる水準が改正されているが、現時点では不透明であるとしか言いようがありません。
昨今の制度改革や一橋大学法科大学院への出願者数大幅増加の傾向、多様性確保の見地から、大学側が上記3倍水準を見直すことも十分に考えられるからです。
つまり、規定上は2020年度の水準が2023年度入試についても維持される可能性は高いです。ただし、昨年度入試の出願者数・競争倍率を鑑み、実際の選抜では多少調整する・あくまでも「目安」であり、2019年度以前のように柔軟に対応する可能性が十二分に考えらえるということです。
いずれにせよ、確定情報については例年6月10日前後に公開されている『2023年度 一橋大学法科大学院入学者選抜試験 募集要項』までお待ちください。
昨年度入試と出願者数が近似している2012年頃の入試を見ても、受験生はTOEIC510点以上あれば概ね一次選抜を通過しています。ただし、現在の1次選抜水準(3倍基準)と当時では異なります。
もちろん、TOEICについては合格者平均程度のスコア(700点以上)であることが望ましいです。
ですが、一次選抜に通過する水準として考えるのであれば、仮に2021年~2022年程度の出願者数で、3倍基準を仮に厳格に運用した選抜であれば、全大学生の平均スコアである570点程度であれば、一次選抜に通過する水準としては及第点でしょう(私見)。
ただ、出願者数が昨今の水準であった場合に厳格に行うということは、考え難いです。一次選抜がメインとなる選抜ではないからです。
出願者相対で点数は上下しますが、これまでの入試傾向から分析する限り、500~510点以上あれば、及第点となる可能性は高いと思います。
なお、従来であれば450点以上あれば通過しています。そのため、一橋を志望するのであれば、(2020年度に一次選抜の厳格化がなされたものの)450点以上であれば一次に通過する可能性はないわけではないので、最終的なスコアがこの水準に収まった場合でも、志望するのであれば出願はすべきであるように思えます。
ではなぜ2020年度入試では、一次選抜の基準を3倍基準へと厳格化したのでしょうか。この背景には、2020年頃の出願者数の減少という要因もありますが、そのほかに合格者間のTOEICスコアの乖離幅が激しいということが背景にあるように思えます。
一橋大学法科大学院では
①英米法または法律英語の授業いずれかが(選択)必修とされています。
これらの講義を活性化させるためには、当然ですが学生の英語力が左右されます。
しかし、
②(合格者平均スコアは〔2018・2020年度を除く〕700点程度であり、かつ一橋大学学部出身者のTOEICスコアは比較的高い反面〔同出身者は基本的には700後半~800後半のスコアに集中〕)、一部の大学出身者には英語を極端に苦手としている方々が集中して多い(450~500点台に集中している)。
これによる弊害回避と教育成果の維持が要因かと考えます。
もちろん、1次選抜に通過する最低限のスコアがあれば、入学後はいわゆる学生間の共助の精神でなんとかなります。そして、あくまでも大学院入試であり、英語能力検定試験ではないので、1次選抜に突破できる英語力の水準を確保したら、それ以降は必要以上に心配する必要はないでしょう。
ただ、管理者側の目線で考えるのであれば、英語能力を示す客観的な指標・数値の悪化(乖離幅)は、法科大学院教育の成果を出すという観点から問題となります。一次選抜の目安の変更には、2020年度当時の出願者減少の傾向だけでなく、先の2点をも勘案した結果でしょう(私見)。
そのような事情もあるということを念頭に置きつつ、受験生は最低限の英語力(TOEIC等スコア)の取得やTOEIC等試験を出願に間に合うよう受験してください。
『TOEIC Listening & Reading Test』の試験日程については、https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/guide01/schedule.htmlに案内されています。
例年の出願期限を考えるのであれば、どんなに遅くとも9月実施の公開テストを受験する必要があります。そして、この試験を受験するためには、2022年8月1日15時までにインターネット出願をする必要があります。これに間に合わないと、有効期限内のTOEIC又はTOEFL-iBTの公式スコアがない限り、一橋大学法科大学院の受験は出来ませんので注意が必要です。
また過去のTOEIC公式スコアについても、合格後の手続(1月頃)に一橋大学法科大学院へ公式スコアを郵送する必要から、例年、出願の際に有効となるTOEICの試験日が定められているので注意が必要です。
過年度であれば合格手続日から2年前のTOEICのスコアであれば有効でした。また、形式的に有効期限を定めるのであれば、今までの運用を貫く蓋然性が高いです。しかし、昨今はコロナ禍の影響もありTOEICについても受験について制限されていました。そのため、有効期限については不確定要素が多く、今後の大学側の決定を待つに他ありません。
詳細については同法科大学院による告知または募集要項の確定までお待ちください。
なお、今年度より新たに導入された英語資格『TOEFL – iBT』の試験日程(会場受験)については、https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/toefl_ibt/centers_dates.htmlを参照願います。またスコア結果については、https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/toefl_ibt/scores.htmlを参照願います。
TOEIC⇔TOEFLの換算表を公開しています(https://www.law.hit-u.ac.jp/lawschool/wp-content/uploads/2022/03/20220309_hit_law_english_score.pdf)。大学の公式見解に基づくものであり、受験生は出願の際に参考にしてみてください。
2022年3月22日 藤澤たてひと
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